犯行状況再現写真は犯罪証明に使えない
9月27日の最高裁の判例なんだけど、はじめ、当然のことすぎてわけわかんなかったんだよー。
あ、言い訳すると、うちの事務所、当番弁護士やめてから、めっきり刑事裁判と縁がなくなっちゃってさー。

で、記事もよくわかんないんだな、これが。結局判例それ自体を当たった方が早い。
まず、これは伝聞法則(刑訴320条)の適用の問題だ。「証拠能力なし」つってるけど、再現写真はいついかなる場合も証拠にならないと言ってるわけではないからね。
伝聞法則は「又聞きはダメ」ってこと。だから「又聞き」がありうる供述証拠だけに適用がある。
で、ここでは警察官の作る「実況見分調書」についてる「犯行再現写真」に伝聞法則の適用があるかってはなし。
ただ、「実況見分調書」は供述証拠だ。書証だけど、供述証拠。だから伝聞法則の適用がある。で、伝聞法則には割と広い例外があって、その内の1つ(321条3項)で、書いた人が証言すれば証拠採用OKになる。
だから、この記事の
「調書などの供述書面を証拠採用するためには、「供述が信用できる特別の状況がある」などの条件をクリアする必要がある。だが、捜査機関が作成する現場の図面などの実況見分調書は特別に、その条件を満たさなくても採用できるとされてきた。」
は、ひいき目に見ても誤解を招く表現だ。特信状況の条件はない(つまり321条1項の適用はない)けれど、書いた人が証言するという別の条件があるから。
実際この場合も警察官が証言してるし。

次は、「犯行再現写真」に「実況見分調書」とは別の伝聞法則が適用されるかってこと。
こっからややこしくなるけど、供述証拠かどうかは、証拠ごとに決まるのではなく、その証拠でどんな事実を証明したいのかという、証拠の使い方次第で決まる。
1つの証言でも、ある事実については又聞きじゃないけど、別の事実については又聞きってことはよくある。
つまり、「犯行再現写真」は「実況見分調書」とは別の事実を証明しようとしているのではないかってこと。
この判定は、つっこんだ判定といって良い。
だって、証拠提出する側はこの2つを分けてるなんて言ってないからだ。
形式的には、「犯行再現写真」は「実況見分調書」と同じ、犯行現場の状況の証明にすぎない。二審だって、証拠一覧に「実況見分調書」と分けて「犯行再現写真」だけ載せているわけではない。
しかし、ホンネ的に「犯行再現写真」は犯罪そのものを証明しようとしているのではないか。犯行現場の状況の証明の名を借りて、犯罪立証をしようとしているのではないか。写真って、絵的に説得力あるし。
と、ゆーわけで、「犯行再現写真」は別の供述証拠であり、再現した人に公判廷に出てきて貰わなければならない。
とゆー判例。

最初からそー言えよお。しちめんどくさい言い回しばっかしやがって。
by k_penguin | 2005-10-01 18:51 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)
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法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。
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