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靖国参拝いろいろ

さて、1日違いで、東京高裁大阪高裁の判断が割れたわけだが、俺的に面白かったのは、それよりも、大阪高裁の裁判長が判決主文しか述べず、判決要旨を法廷で述べなかったことだ

総理大臣の靖国参拝を裁判で争う場合、原告(国じゃない方。必ずしも控訴人ではないため、この記事は理解しにくい。)敗訴を導くには大きく2つの理論がある。
1つは29日の東京高裁が採った理論で、靖国参拝を首相の私的行為として、政教分離に反しないとするもの。
もう1つは、昨年4月の福岡地裁が採った理論で、政教分離に違反する行為があったが、原告の利益は侵害されていない、とするもの。この理論をとれば、政教分離に違反していようがいまいが、原告敗訴なので、本当は政教分離違反を判断しなくても良い。だから、政教分離違反の判断はあくまでおまけだ。判決にも、政教分離違反の判断をするものとしないものがある。
靖国参拝の訴訟を起こす場合、金の請求は実際上の目的ではなく、裁判所による「違憲」との判断を得ることが目的だ。従って、原告敗訴でも、後者の理論でかつ違憲の判断さえされていれば一応OKだ。だから判決主文よりも判決要旨の方が重要になる。
今回の大阪高裁は原告敗訴だが、後者の理論でかつ違憲の判断をしたので、実質的には原告は喜ぶべき判決ということになる。しかし、さいばんちょはそれを法廷では明らかにしなかった。
どうも、原告団が喜ぶ顔を見たくなかったのではないかと思う。

大阪高裁は、平成4年に中曽根首相の公式参拝について後者の理論でかつ違憲の「疑いがある」という判断を出している。これが今回の判決を出すにあたりどの程度影響があるのかは俺にはわからないが、平成4年の判決より踏み込んだ違憲判断をしたのだから、裁判長が実は個人的に意に添わない判決をしたというわけではないのだろうと推測する。
別に原告団のためにこういう判決を出したのではない、と言いたかったのだろうか。
東京と大阪で判断が割れたことによって、最高裁判断を要求する雰囲気がでてくるのがうっとーしかったとか。
法律関係者というのは、プロ意識からくるのだろうが、どーも、下々のパンピーに対して冷たいところがある。あと、マスコミとかそーゆーのね。
何をやるにも裁判員制度をにらんでやらなければならない現状においては、なんか、それって逆に損してると思うんだけどね。
by k_penguin | 2005-09-30 15:58 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


by k_penguin