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後悔すれども謝罪なし 広島死体遺棄

広島死体遺棄 奪った金を7容疑者で山分け…後悔しても謝罪なし

この事件に関しては、「謝罪がない」ということがちょいちょい見出しになている。
謝罪がないことが強調される事件というのは珍しいなあ、などと思っていたが、今回のこの見出しで、ちょっとよく考えてみる気になった。
「後悔しても謝罪なし」
この見出しからは2つのことがわかる。
後悔と謝罪は違うものであること、そして、被疑者達は後悔では足りなくて、反省して謝罪すべきだ、という価値判断があることである。
 でも、なぜ後悔ではダメなんだろう?なぜ「謝罪」が要求されるのだろう?

 一般的に、謝罪がないことはけしからんこととされている。今回の記事についているtwitterをざっと眺めた感じでも多数は「けしからん」と憤っているが、その理由は書かれていない。反省して謝って当然のことと考えられているようだ(そもそもtwitterにいちいち理由とか書く奴はいないような気もするが)。
 その一方で、少ないが(それでも思っていたよりは多い数の)tweetに「謝る必要は無い」というものがあった。これまたほとんどが理由抜きのいい放しなので、なぜ反省する必要は無いのかの理由はわからず仕舞いだ。
「取り調べ室で「天国の××ちゃん、ごめんなさい」とか言わないとダメなのかな?」
tweetした方に真意を尋ねてみたが、逆ギレされただけだった。
どうも、新聞の書くことと、捜査機関のやることに片端から文句を言いたいだけの人らしい。
このような「何でもいいからただ記事に文句を言いたい」方は除外するとして、他には、「どうせ反省なぞしないのだから謝罪を求めるだけ無駄」という趣旨のものがあった。これは根っこでは反省が必要だという考えと同じである。

・・・てゆうか。
今までは、というか、これ以外の事件では、俺も反省が必要か否かということを取り立てて問題視していなかった。
とすると、むしろ考えるべきなのは、なぜこの事件において俺がこのことを問題ととらえたか、である。
で、考えてみた。そして、わかった。
被疑者の一部は犯罪に関わっていない可能性がある。と俺が考えているからだ。

今回の事件はLINEを通じた知り合い達によるものであり、被害者と面識のない者達も暴行現場に集まっていた。
LINEで盛り上がって面白そうだという野次馬根性だけで出かけて、事件に巻き込まれた面があるのは否定しがたい。
現場にはいたが、犯罪には関わっていないのだとしたら、それは(殺人については)無実であり、無実の者は反省や謝罪のしようがない。
でも、後悔はあり得るし、現に彼らは、軽い気持ちで出かけて事件に関わってしまったことを後悔しているだろう。

無実の者に、後悔はありえても反省はない。無くて当然なのだ。
「後悔しても謝罪なし」
という見出しには、彼らが犯罪を犯した、という先入観が入っている。
取り調べもその方向で進められているだろう。
しかし、おそらく実態は、彼らは、自分は無実だと思っているのだ。
多分混乱していて、はっきりと無実の主張ができていないのだろう。まだ子供だし、その場に集まり、暴行を止めることができず、被害者の金を山分けした(口止めの意味があったであろう)。そこまで関わったらおまえらが殺したと同じじゃないか、とか言われたら、自分の感覚が信じられなくなり、罪を認めるかもしれない。
まあ、認めた方が良いような方も中にはいるのかもしれないが。

さて。
ここからは今回の事件とは別の話として、再度、冒頭のテーマに戻る。
 仮に犯罪を犯した者であっても、後悔だけではいけないのだろうか?
 と、言うのも、後悔であろうと反省であろうと、それをした者は「同じ過ちを2度と繰り返さない」と思う点で共通する。
そして、彼らが同じことをしなければ(つまり再犯が防止されれば)、我々部外者からすればそれでいいではないか。
まあ、反省して人間的に成長してもらった方が彼らのためには良いであろうが、一般人の多くは彼らの人間的成長なんてどうでも良いと思っているだろうから、それならば、後悔だろうと反省だろうと、いや、再犯防止という点では死刑であろうと、どれでも同じなのではなかろうか。

刑事裁判では情状として「反省」が重視される。昔から日本の刑事裁判では何となくそうなっている。裁判後の処遇でも、仮釈放などで「反省」は重視されている。しかし、外国人犯罪者の中には「反省」の概念の重要性がわからない者もいる。また、冤罪には「反省」はあり得ない(そして多分「再犯」もないだろう)。

私たちはなぜ彼らに「反省」を要求するのか。
あらためて考えると、いろいろ謎ましいことではある。
by k_penguin | 2013-08-05 23:40 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


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