『小林賢太郎テレビ K.K.T.V.2 ~ポツネン旅に出る~』

小林賢太郎がNHK BS-hiでレギュラー化を狙うKKTVの第2弾。
前回よりも作り込んだ感があって、映像的にもとてもきれい。
つかみは相変わらずうまいし、「フシギ感」があって偶然途中から見た人も引きつけられそうな感じ。
テレビ番組としては新鮮な感覚があふれていて、評価されてもおかしくない上手な作りの作品だと思う。
が、
俺にはどうしてもこの作品が良いとは思えないのだ。
上手ではあるけれど。

何より、コントといってるのにクスリとも笑えない。
しゃべりが棒読みのように感じる部分が多く、あえて笑わせることを避けているような雰囲気が感じられる。
そして、笑うこと以外の要素を読んでいくと、
「そうだけど、だから何?」
という感想しかない。

すべては孤独を紛らわせるための1人遊びであることを思わせるポツネン氏と「バク」の話。
そしてポツネン氏と小林賢太郎が同一人物であることを示すために、ドキュメント部分とドラマ部分の区別が曖昧になっている。(番組からのお題制作ドキュメント部分にまで、その時点ではまだ存在していないはずの小道具などをわざと映りこませていてご丁寧だ)。

孤独を紛らわせるために部屋からでないで外国に行く方法を考え、その外国でもぽつねんと1人。
本当に寂しいのなら、外国でも人とふれあうことを考えるものではないだろうか?
人とふれあうことを諦めた者が孤独を語って、説得力があるだろうか?

世界各国を切り貼りした日本地図を指して「日本から出ずに世界を旅するための地図」と言い張るポツネン氏。バイヤーの竹田さんは「そうだけど・・・」(今回のポツネン氏は「そうだけど」な物を作ることを生業としている)。

ポツネン氏の主張には説得力がない。
わざわざ孤独になるためにNYくんだりに来ておいて、
 TVを見て笑ったときとか感動を分かち合う人がいないとき、きついって思う。
という言葉に説得力がないように。
彼はそれを自覚している。
でも他人を説得する術を考えようとはせずに、子供のように同じことを繰り返すだけ。
彼が今寂しいと感じている事実そのものだけが彼にとって重要なのだ。
「寂しい!」と叫びたいのだ。
なぜ寂しい状態になったのかとか、その寂しさが真の孤独かどうかとか、他人に言ってもどうなるもんじゃないとか、
そーゆーことはもう全くどうでも良いのだ。
ただ「寂しい!」と叫びたいのだ。

でもそれはいけないことだと思ったから、代わりに
「インドは九州です!」と言っているのだ。

・・・そして、聞かされた側は、
「そうだけど、だから何?」


バイヤーの竹田さんのように、「そうだけど」な物がお気に召す人はいるかも知れない。
でも、俺はちょっと引いてしまう。
「寂しい!」と叫ぶ代わりに生まれてきた「そうだけど」な作品は、
森の中を走る小さなバクのように見えるからだ。



・・・あと、ふつーのダメ出ししまーす。

「クイズ」の問題と答えがひどすぎると思った。
アメリカ・ニューヨーク州が所有しているリバティ島の像は自由の女神である
○か×か

 これでは「ニューヨーク州が所有している」のが「リバティ島」なのか「リバティ島の像」なのかがわからない。
答えからすればどうも「リバティ島の像」らしいが、それなら
「アメリカのリバティ島にあるニューヨーク州が所有する像は自由の女神である
○か×か」と問うべきであろう。

答えの「リバティ島は連邦政府の所有地なので、自由の女神はニューヨーク州のものではない」も意味不明。
土地とその上に建つ建造物の所有者が違うなんてざらにあることだ。借地の場合とか。土地が連邦政府のものだから上物もそうだという理屈は成り立たない。
自由の女神像は贈与によって1886年に所有権がフランスからアメリカに移転し、その後売ったりあげたりしていないから今もアメリカに所有権があるのだ。

ついでにネットで調べたところ、
リバティ島は(ニューヨーク州ではなく)「連邦政府の領土」とは出ているが、リバティ島がアメリカの国有地、つまり所有地であるかどうかは不明だった。
でもまあ大事な土地だから多分国有だろ。そうでなくても領土権はちょいちょい所有権って言われたりするし。そこはあまり深く考えないでおこう。


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小林賢太郎テレビ 1・2 DVD-BOX
by k_penguin | 2010-08-30 12:32 | エンタ系 | Trackback | Comments(2)
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Commented by yuma at 2010-09-04 20:42 x
昨日やっと見れました。
うーん、あれはコントではなくて、「0655的な何か」な気がします。
手品系映像作品エンターテイメント、っていうと、自分的には一番しっくりくるかなぁ。
最後の「3D」は、前回の「テレビ」より完成度高い気がしましたが、終わった後の礼賛映像で気持ちがちょっと冷めてしまいました(天邪鬼なのでw

ていうか、前から不思議だったんですけど
「ポツネン」っていつから人の名前になったんでしょう?
KKTVからですかね?

見ようによっては、「小林賢太郎」が「ポツネン」に喰われたようにも見えました。
もうちょっと色々考えてみたいと思います。
Commented by k_penguin at 2010-09-04 22:23
>「0655的な何か」

あー、それを言うなら、0655と2355の中間くらいのテンションですかねえ。
つかみはすごいうまいんですよね。
常に画として成立してるし。
CGの小島さんや、衣装の伊賀さんは良い仕事してるなあってしみじみ思いました。

>「ポツネン」っていつから人の名前になったんでしょう?

 いつからでしょうねえ。
maruのときはまだそうじゃなかったように思います。
演劇ぶっくあたりで、スタッフが「ポツネン氏」って呼んでいるみたいな記述があって、
「あれって人の名前なん?」とか思ってたら、KKTVで正式採用されていた
って感じだったかなあ。

>「小林賢太郎」が「ポツネン」に喰われた

そうなんだけど、そもそも小林賢太郎=ポツネンですからねえ。
「そうだけど、だから何?」って私が思う由縁の1つです。


法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


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