人気ブログランキング | 話題のタグを見る

死刑に関する2,3の事柄

俺個人としては、死刑制度は余り好きじゃない。
第一、人が死ぬというのは余り気持ちがよいものではない。
それに加えて、もしもそれが冤罪だったとしたら、かなり朝の目覚めは悪くなるだろう。
俺は少々刑事裁判の関するあれこれなどを調べたり、刑事裁判に間接的に関わったりしているが、そーゆーことを通じて知ったことは、
・・・思ってたよりも少ない証拠で事実認定をしている。
ということだ。
別に捜査機関や裁判所を責めてる訳じゃなくて、
そもそも、重大な犯罪を犯す者はそれがばれないように細心の注意を払ってやるわけだし、ばれないためには何だってやる気だし、
で、人間がそれだけの力を振り絞ってやったら、まあ、証拠が出てこなくても当然と言えば当然なのだ。
そんなわけで、「もしかしたら冤罪」は、死刑制度が好きではない理由として俺の中では結構重要な要素だ。

じゃあ死刑廃止論者かというと、別にそういうわけではない。
大体、世論の体勢が死刑存続にあるこのご時世において、無理矢理死刑廃止したって受け入れられない。
何か凶悪犯罪が起きるごとにみんなが「そらみたことか」と、死刑廃止のせいにしてぶーたれるだけだ。
そして俺としては、「死刑廃止!」とさわやかに言い切れない理由は、現在の犯罪者の更正のシステムがちゃんと機能しているかどうか疑問であるという点が大きい。
社会復帰の可能性がない者をただ生かしておくというのも、なんだか夢も希望のない話で、税金の無駄遣いって感じがする。
ちなみにここで、「社会復帰の可能性がない」ってとこを犯罪者の性格の問題で片づける傾向があるようだが、それも考えなしだなって気がする。
更正の責任を負うのとか面倒だから、犯罪者の性格のせいにして、死刑にしとけばてっとり早くてベストじゃん?
的な思考が透けて見えるような気がして、何となく嫌。
個人の性格形成はかなり社会に負う部分が大きいのだが。

そして、今回のニュースだけど、
「アムネスティ・インターナショナル日本」は20日、東京・渋谷の街頭で、裁判員裁判で死刑判決という結論を「出せる」か「出せない」か、通行人に投票してもらった。その結果「出せる」が110人で「出せない」の97人を上回った。

質問設定がやや抽象的だが、
「証拠的にもまあ犯罪を犯したことであろうことが確実であり、かつ、それが今までの判例に照らしても死刑相当と判断されるケースの場合に」「死刑判決を出せるか」という意味だと解釈する。
この場合俺がどうするか聞かれたら、もう迷いなく死刑判決を選択する。
だって、そうしなければ、今までの裁判結果とのバランスがとれないからだ。
同じことをやらかしたとして、たまたま死刑が嫌いな裁判員に当たったら死刑を免れ、そうでない人に当たれば死刑になる、なんて
おみくじをやるような裁判にするわけにはいかない。
自分の好みとか言っている場合ではないのだ。

そーゆー意味で、このアンケートを死刑制度の賛否とは全く別の問題として俺はとらえる。

死刑制度と言っても、いろんなとらえ方があって、場面によって考えも変わるってことになるけど、人の命が関わる重要な問題なのだから、こういう思考になっても不思議はないんじゃないかって思う。
むしろどんな場面でも判で押したように、一点の迷いない澄んだ瞳で「死刑反対!(or賛成!)」と言っている人の方が、なんだかあやしーなって気が
俺はするんだけどね。
Commented by smashige at 2010-03-04 21:48
死刑に賛成する人の割合は今が一番多いと別の報道でも読んだ気がしますね。
日本の社会もどんどん変わっていきますが、昔から日本人はハラキリを厳格に行い、その様式を厳密に定めてきましたもんねー。
武士の世では子供は生まれてすぐに切腹のやり方を教わったと大学の講義で聞いたような気もします。
武士道とか歴女とかがはやっていますし、日本の文化を大切にする最近の風潮の一部なのかもしれないですね。
僕としてはそんな軽薄な風潮ではなくて、死刑の問題を通じて、せめて命の尊さとか社会のあり方に対する考えとか、そういうような考えをする人がもっと増えればいいなー、なんて思いました。
Commented by k_penguin at 2010-03-04 22:29
私としては、ハラキリは自殺の一種で、
強制的に殺される死刑とは別物ってイメージですが、
その辺どうなんでしょうかねえ・・・
日本文化と関係あるのかなあ?

まあ、最近は残酷な犯罪のニュースが多いですから、
死刑に賛成する人が多いのは
よくわかりますけどね。
Commented by uneyama_shachyuu at 2010-03-08 23:15
少なくとも江戸中期以降、ハラキリは、自殺ではないですね。扇子腹という言葉があるのがその証拠。ちなみに、四十七士は、ほとんどが扇子腹で、一人だけしっかり腹を掻っ切った後、介錯されておりますです。はい。つまり、形式を保った打ち首であるのが実質で、単なる打ち首とは違うのは、武士に対する最大の礼儀があるかないかの違いです。
Commented by k_penguin at 2010-03-09 01:05
>形式を保った打ち首
 なるほど、言われてみればそうですね。
なーんとなく、三島由紀夫がハラキリのイメージにあったもので・・・。
by k_penguin | 2010-02-21 22:41 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(4)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


by k_penguin