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冤罪被害者側が県警警部補告発

痴漢証拠を「捏造」、冤罪被害者側が県警警部補告発へ/神奈川

えん罪被害者からの反撃として、国賠ではなく、捜査官個人を刑事告発という方法をとったのが趣深い。
一人の捜査官が現行犯逮捕したらしいので、
捜査機関全体の不始末と個人の不始末が同一視されたのかもしれないが、個人責任が認められると、
今回はレアケースであって捜査機関自体には悪いところはなかったような感じになって、
トカゲのしっぽ切りのような結果になりはしないか。

刑事事件としての争点はもちろん故意の有無であろうが、
違法捜査抑制の要請に対して、捜査官個人の刑事罰という方法が適当かどうか、
という観点からの考慮が行われるのではないかとおも。

あと、刑事裁判に「保佐人」があるというのは知らなかった。φ(・ω・ )
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by k_penguin | 2013-02-19 13:44 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

『逆転無罪の事実認定』

amazonなか見!検索で見た目次に、「巨乳被告人事件」「痴漢無罪事件」など、美味しそうなタイトルが並ぶこの本。周防監督が帯を書き、紹介記事が朝日新聞に載ってたこともあって、一般書だと思って気軽に買ったのだが、中味は実際の事件を元にした事実認定のケースブックで、つまり専門書なのであった。

一般書なら、面白いかどうか、という視点から記事を書けばそれでよいが、専門書は役に立つかどうか、という視点から見るべきであって、面白いかどうかは二の次なので、記事は書きにくい。
実際、事実認定のあり方や、証拠の証明力の判定(人証について、偽証を完全に見抜くのはまず無理)などなど、刑事裁判に関わる専門家にはお役立ちな本だ。
いろいろな無罪のバリエーションが紹介されているので、裁判員裁判に関わる方が類似事件を探して参考にするのにも良いと思う。
ただ、読み物として読むとがっかりすること必至だ。
第一読みにくいし、
"真相はわかんないけど、少なくとも被告人は犯人じゃないっぽい。"
みたいな言い方で結論出すときがあって、テレビドラマ的展開を期待している方はがっかりするだろう。
無罪推定原則からすれば、被告人側は積極的に無罪を証明する必要はないので、これで良いのだが。


さて、それにつけても「巨乳被告人事件」が気になる、という方のために。
覚えている方もいると思う。
巨乳グラビアタレントが蹴破ったドアの穴から中に入れるか、胸がつかえて入れないかが争点となった事件。
テレビ、もしくはネットで斜め読みした記憶がある程度の事件で、「くまのプーさん」を連想させるいかにもテレビ向きな話、と言った印象だったと記憶している。

実際に実験してみれば、ドアの穴につかえることは明らかであるはずのこの事件。
なのに、一審は有罪となったのはなぜか。
それは要するに一審は、実験は必要ないと思ってしなかったからで、
なぜ必要ないと思ったかと言えば、被告人がドアの穴をくぐったのを見た、という証言があり、証人は被告人とは関係ない第三者であったこと、そして、被告人が壊したのでなければ、住人の男性が壊したらしいのだが、自分の住んでるマンションのドアを壊す、というのは「普通に考えれば不自然」であるからなのだ。
人の記憶というものはあやふやなものなのだが、記憶に基づく証言を重視しすぎた、つか、実質その証言だけを頼りにして有罪を決めてしまったわけだ。

それを、いいかげんだと批判するのは簡単だが、刑事裁判で、この程度の証拠で判断しなければならないことは多い。この本に載っている事件も多くは証拠自体の数が少なく、また客観的証拠に乏しいケースだ。
証言の信用性は、「そういうことは普通あるか」で決めるわけだが、犯罪なんてそうそう遭うもんじゃなくて、それ自体が「普通」じゃないだろ、とツッコミを入れたくなる。
自分の部屋で、二股かけていた女が鉢合わせしたので、一時的に逃亡。もういいだろうと戻ってきたら、ケンカはさらにヒートアップしていた。
さて、こんな場合、男は「普通」どうするか?
もう
  知 ら な い。
としか言いようがない。人によりけりだろ。
でも、こういうことで有罪無罪が決まったりすることもあるのだ。


第一審判決後に新証拠が出たことをきっかけに無罪に転じたケースもある。
こういう場合は誰が裁判官であっても無罪を出す、と思いそうだが、そうでもない。
念のために再尋問をした証人が、一審と同じ証言をし、とても嘘をついているように見えなかったのに裁判所からの帰り、警察で偽証を自首したため(嘘をつき続けるのに疲れてしまったそうだ)無罪の決め手ができた。など、震撼するケースもある。
このケースの背後には、当然多くの、「念のために再尋問したけど、結果はしないのと同じだった」があるはずだ。「万が一」を拾うための9999があるのだ。
その9999を無駄と思ったら、「1」を拾うことはできない。
信用性が高いと一般に思われている科学的証拠も、ちゃんと検討しなければ役には立たない。
防犯ビデオをコマ落としで見る。
鑑定人だけに見えてるタイヤ痕を"それは証明できてない。"と言う勇気を持つ。

事実認定の道は地味で長く、退屈で、しかも「一件落着」的爽快感は、必ずしもない。
と、心して読むべし。(`・ω・´)


逆転無罪の事実認定
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by k_penguin | 2012-09-07 21:10 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(2)

追記しますた

痴漢冤罪にあったら・実用(の可能性ありそう)編に追記した部分。

追記 2012.3.22
弁護士に聞く!痴漢を疑われた際の本当に正しい対処法

定期的にこーゆー記事って出るのかなー。
この手の記事の中には、やたら弁護士呼べ呼べいうのがあるけど、
弁護士が無料で書く記事は、所詮弁護士の宣伝て意味も混じってるってこと、
理解した上で読んでね。
 …いや、呼ぶなとは言わないけど、医者にかかっても手遅れな場合があるように、弁護士呼べばすべて解決って思わないでねってこと。

で、この記事の、
(1)服の上から触ったレベルの痴漢
のとこの
少なくとも現行犯逮捕はされません(刑訴法217条)。

の部分は、間違いだと指摘しておく。

刑訴法217条は一定の微罪(30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円))以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の場合は原則として現行犯逮捕はできないと規定している。
(例外は「犯人の住居、氏名が明らかでなく、又は犯人が逃亡するおそれがある場合」)
服の上から触るレベルは、法律的にいうと迷惑防止条例違反。
条例だから地域によって内容が違うこともありうるが、痴漢行為が罰則にある場合は、
2万円以下の罰金、拘留又は科料などとという、やる気のない罰則はまずあり得ない。
ちゃんと知りたい人は、自分の住んでる地域の迷惑防止条例、又はそれっぽい名前の条例を調べてね。

ちなみに東京都は「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」(迷惑防止条例5条1項、8条1項2号)、携帯でパンツを写した場合は「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」(迷惑防止条例5条1項、8条2項)だよ。
これは、そこそこマジに重い罪。
触るより写メの方が罪が重いんだね。きっつい!
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by k_penguin | 2012-03-22 23:03 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

痴漢で起訴の競艇選手に無罪

朝日。

捜査中の警官による現行犯逮捕にもかかわらず、無罪になったのが珍しい。
警官の証言は仕事で見聞きしたことだから、という理由で信用性が高いのが普通であるが、
判決の「逮捕して引き返せなくなったと疑うこともできる」
という部分は新しく、また鋭い指摘。
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by k_penguin | 2011-11-15 22:54 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

いわゆる新宿駅痴漢冤罪暴行事件

当ブログは痴漢冤罪も扱っているので、それ関係の事件は一応チェックしている。
この事件も夏頃からときどき新聞などに載っていた事件なので、知ってはいたがあえてブログに載せていなかった。

というのは、事件に直接関係した人が1人もいない中でやったやらないが論じられていることに疑問を感じたことと、
彼が生きている間は、警察は実質的に痴漢を認定していないことだ。
書類上は痴漢の被疑者として検察に書類送致しているが、それは死亡が分かった後であり、形式的に事件のケリを付けるために過ぎない。
つまりこれは少なくとも痴漢冤罪事件ではない。
これを痴漢冤罪のケースと勘違いする人が散見されるが、そうではない。


で、痴漢冤罪云々を離れて1つの事件として見てみるとして、
まとめブログに目を通してみた。
とりあえず、警察とJRが糾弾の対象になっているようだ。

確かに本人が死んじゃった今になってみればひどい取調に見えるが、
しかしそうでなければ、割とありがちな展開で、取調自体には違法は無さそうである。
夜11時の事件後、朝6時まで、徹夜はきついが、
本人が帰ると積極的に主張して説得にも応じないくらいの頑固さを見せなければ「任意」とされるし、被害者とされる女性も、この時点では告発意思が不明であり、告発する可能性がある以上事件直後の取調の必要性は高い。
そもそも警察を呼んだのは当人だし。

なお、まとめブログの記事ではケンカで暴行を受けたのに「痴漢と決めつけ」られた、と要約しているが、
警察は110番通報をうけた場合、まず通報した本人から事情を聞くのがセオリーであるし、また「暴行の被害者として」新宿署に行っていることからしても、暴行の被害者であることは警察にも認識されていたようである。

被疑者取調は任意のものであっても相当にきつく、精神的肉体的に負担がかかる。
精神的に弱っている人の場合、発作的な自殺に追いつめられても不思議ではない。
ただし、本人が「自殺した」と言われているが、本当に自殺なのか(事故ではないか)、自殺として、取調との因果関係がどの程度なのかよく分からないこと、(他に何らかのストレスがあったのかもしれない)
そして、仮に取調との因果関係があったとしても、取調は国賠法上は違法と評価されないと考える。

まあ、俺がそう思ったとしても、国賠訴訟を母親達が起こしたいのであれば止めないし、
訴訟を起こすにはいろいろ情報が必要だから情報開示制度を利用するのは大いにありだと思う。
ただ、それを主張するのに、「息子の死の真相を追求する母の想い」とかお涙ちょうだい風の仕立てにするのはちょっとどーかと思うけど。
情報開示制度って、個人の主観的価値のための制度じゃないからね。
つか、なんかね、「母の想い」を利用して政治的主張してるっぽいふいんきもあるんだよな。
この事件はピントがぼけてるから、見せ方で冤罪のようにも、情報の秘匿のようにも、もしくは結局殴った奴が悪いってだけの話の様にも見せられて、
そのどんな話にでもなるってあたりが、きな臭い感じがする。
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by k_penguin | 2010-12-09 00:36 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

続・埼京線に防犯カメラ

JR埼京線が痴漢防止のための防犯カメラを「試験的に」導入したのが、去年の12月だった。
そしたら、今月4月早々、「試験導入で効果があったから」全編成に防犯カメラをつける、という。
埼京線の車内防犯カメラ、全編成に 「試験導入で効果」(アサヒ・コム)
4ヶ月しかたっていないのに、もう「効果」を認定したというその素早さに俺は驚いた。

ロンドンには連続テロ以降、防犯目的の街頭カメラが設置されているが、それによれば、犯罪数は防犯カメラ設置後しばらくは低下するが、数ヶ月で元に戻るそうだ。
つまり、防犯効果があるのは防犯カメラそのものよりも、防犯カメラを設置したというニュースの方なのだ。

今回の埼京線の「試験」の結果はYOMIURI ONLINEの記事によれば
警視庁によると、昨年都内で届け出のあった電車内での痴漢被害は、同線が全路線で最多の173件(月平均約14・4件)だったが、今年1、2月は計15件(月平均7・5件)とほぼ半減した。

と、いうもので、2ヶ月しかデータをとっていない。
しかも、「試験」は全部で33編成ある埼京線のうちの2編成(の車両の1両)についてのみ防犯カメラを設置したものである。
つまり、ほとんどの埼京線は今までとは変わらなかったのだ。
それで半減の効果というのは、防犯カメラそのものよりも、防犯カメラ設置のニュースが効いている、と考えても全然おかしくないと思うのだが。

なんだか、
試験以前に防犯カメラ導入は決定していた、
という香りがものすごく漂う。
…カメラ屋さんが暗躍したのではなかろうかね?
そーゆー目で見てみると、痴漢被害の件数をわざわざ月平均人数で比較したのもなんだか怪しく思えるし。
ちなみに朝日の方は、
警視庁によると、埼京線では今年に入り痴漢被害が大きく改善。1~2月の強制わいせつ事件は3分の1に減ったという。

だそうで、なぜか迷惑条例違反事件の数は無視だ(痴漢は法的には強制わいせつの場合と迷惑条例違反の場合がある)。



ところがこんなアヤスイ試験結果でも、大多数の人は防犯カメラ導入に賛成らしいのだ。
YOMIURI ONLINEの先の記事によれば「電車内へのカメラ設置への賛成が89%。「プライバシーが侵害されるか」との問いには62%が否定」。
まあ、俺は実家に行くときしか埼京線を使わないのであまり関係ないし、みんなが良いというなら、別にそれで良いんだろうが、
しかし、効果がない「防犯」カメラに見張られていて、プライバシーの不当な干渉とが思わないのだろうか?
軽く疑問を抱いて、そんなことをつぶろぐという過疎Twitterみたいなもんに書き込んだら、けっこういろいろなやりとりがあった。

そこでわかったのは、大体の人は、「オープンな場所では個人にプライバシー権なんて無い」
と、考えているということだ。
自分の方が少数派とわかった以上、
オープンな場所でも個人にプライバシー権は「ある」、という俺の考えの方を説明しなくてはなるまい。

この考えは法律を学んだことがある者にとってはむしろ「ふつー」の考えである。
なぜかというと、最高裁が「ある」って言っているからだ。
そして「ある」といっても実は結論は「ない」と余り変わらなかったりする。
オープンな場所でもプライバシー権はあるけど、人権という言葉から一般にイメージされるほど丁重な扱いを受けているわけではないからだ。
人権にもいろいろ格付けがされているのだが、「オープンな場所でのプライバシー権」なんて最下層にいると言ってもいい。
なんだったら人権なんて立派な言葉は気恥ずかしいので「利益」と呼ばれる場合すらある。
これが自分の部屋の中にいる場合のプライバシーとなると、格付けはもっと上に行く。人権の格付けは人権の名前ごとになされるのではなく、もっと細かく分類されているのだ。

そんなに低いのなら、じゃあ別に「ない」でいいじゃん。
て、思うところだが、これが「ない」と「ある」では大違いなのだ。

仮に、埼京線の車内にプライバシーは「ない」としよう。
こちらに守るべき権利がないのなら、論理的に権利侵害という事態は起こらない。
したがって、頭上のどこにどんなカメラがついていようと全く問題ない。
それが防犯カメラだろうが、どこかのけったいな埼京線マニアが自分で眺めるために勝手に設置したカメラであろうが構わない、ということになる。
痴漢もののAV作品の導入部分に使うため、混雑した車内の1カットがほしーなー、なんていう撮影も、そこで演技が始まらない限りOKだ。

こういう撮影も全部問題ないと思う人もいるかもしれない。
しかし、googleストリートビューに通行人として写りこんだり、家の表札が映ったりするのも嫌がる人がまだ多い世の中では、すべてを許すほど心が広い人はまだそういないのではないかと思う。
みんな、少なくとも何らかの「正しい」理由を必要としていて、全くフリーに撮影を許しているわけではないのだ。

たとえちょびっとであれ、こちらに守るべき人権(or利益)が「ある」と考えれば、それに相応するだけの「正当性」が要求されることになる。
たとえば、痴漢防止に役立つかどうかの実験のためのカメラであれば許せる。とか。


「オープンな場所では個人にプライバシー権なんて無い」と主張する人も、その反面、防犯効果について口にしていたりするから、多分無意識のうちに自分の守るべき利益と利益を制限する正当性を秤にかけているのだと思われる。
それらの無意識的な作業を俺は意識的に行っただけなのだが、
意識的に行ったがゆえにすっごく気になるのが、
今回の「試験」がおそらく形式的なものに過ぎなかったことなのだ。

俺は「痴漢防止に役立つかどうかの実験」だからカメラを許したのだ。
その実験を真面目に行わず、なし崩し的に防犯カメラを導入した、ということは、「正当性」がないのに、あると偽って防犯カメラを導入したということになる。
そこで嘘をついたという行為自体の不当性が俺は嫌なのだ。
防犯カメラの映像が悪い目的に使われたり、どっかに横流しされたりするなんて考えられない、と思う人もいるだろう。
しかしJR東日本は少なくとも、既に1度嘘をついているのだ。2度目がないとは言い切れない。

今回防犯カメラを全編成に導入することにより、結果的に痴漢が減って、良い結果が生じるかもしれない。
結果が良ければ別に導入の手続にちょっとばかり嘘が混じっていても、いーじゃん
って考えも確かにあり得る。
でも、その「嘘ついても、まあいーじゃん」って部分が積み重なっていくと、いずれ災いが起こるのではないか。

そーゆー気が俺にはするのだ。

c0030037_15284135.gif

JR東日本HP「埼京線における車内防犯カメラの設置について」より。
埼京線における防犯カメラ設置図
(なんか片寄ってるんだが、もしかして今後カメラ増やすつもりとか…?)


追記 関連記事
朝日新聞「争論」「監視カメラ社会」
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by k_penguin | 2010-04-10 15:36 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(2)

埼京線内に防犯カメラ

痴漢対策として、いよいよ埼京線の通勤車内に防犯カメラが試験的に導入されるそうだ。
記事では痴漢対策としか書かれていないが、痴漢えん罪対策にもなると言うことで、痴漢えん罪を扱う当ブログとしてチェックしてみた。

果たして、手を離しても鞄が下に落ちないほどの満員電車内を、天井や網棚からのカメラでどこまで正確に捉えられるか、また、記事に書かれているような「抑止効果」があるかどうかはやってみなくてはわからないので成り行きは見守るしかない。

このような公共の場所での防犯カメラ・監視カメラには、プライバシーの侵害や他の犯罪捜査に利用される懸念があるとされていて、犯罪捜査でやる場合は決してフリーではなく、それなりの条件と制限の下で行われているのだが、一般にはあまりそーゆー意識はないようだ。
歌舞伎町の街頭カメラや、コンビニのカメラ(これは私人が設置している物なので問題は街頭カメラほど大きくない)などで、防犯カメラの存在自体が先行してしまっていることもあるだろう。
だいたいプライバシー権侵害というのは、「気にしなければそれで済む」というものなので、街頭カメラなぞ無視しておけばいい、ということで済んでしまう。
なにしろ世の中には、電車の中で0から化粧を始めたり、床の上に座ってくろついで物を食ったりというような強者もいるのだ。

そのかわり、そのようにして得られた映像の公開、と言うことになると、比較的敏感になると思う。
いい例がストリートビューで、同じ公共の路上からの映像なのに、ぼかしがたくさん入っている。
自分のうちが映るだけで嫌、という方の声も耳にする。

こうなってくると、防犯カメラの映像などについても
「自分が映されている」ということだけでなく、「その映像はどのように使用されるのか」ということも考えなくてはならないかもしれない。
裁判で証拠として使われるだけかもしれないし、何か別の役に立つことのデータとして使われるかもしれないし、
また、何か悪いことのデータとして使われるかもしれないし、映像がどこかに横流しされちゃうかもしれないし、
その際編集されるかもしれないしされないかもしれないし、
とにかく、映像が果たして何にどういう形で利用されるかわからないし、誰の目に触れるのかもわからない。
この辺のことって、個人情報の扱い方にも似ている。つか、顔が判別できればそれは「個人情報」にあたるしね。

今んとこ問題視されているのは「撮影時」の人権侵害だけだが、今後は「撮影後」の人権侵害についても問題になるんじゃないかと思う。


追記 2010年4月5日
JR東日本は防犯カメラ付き列車を6月以降順次増やし、全32列車の1号車に設置すると発表した。
痴漢防止に有効と確認できたとしている。
↑この記事に関するつぶろぐ

追記2
続・埼京線に防犯カメラ
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by k_penguin | 2009-12-12 22:00 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(2)

追記しますた

モトケンさんとこの場外で、痴漢冤罪にあったらどうしよう
って話になって、「逃げる(そして捕まらない!)」以外にほとんど無いよねって話になっていたら、
警察の中の人から、「逆に自分から警察に通報してしまう」というコベ転なコメントが入って、感動したので、自分の痴漢冤罪関連記事に追記しときました。

痴漢冤罪にあったら・実用(の可能性ありそう)編

そいだけです。

最近法律関係の記事が無くてすいません。
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by k_penguin | 2009-06-03 00:23 | Trackback | Comments(2)

痴漢冤罪の諸ジジョーを想像する

14日に出た最高裁の強制わいせつの逆転無罪判決についてちょこちょこ調べていたら、こんなん出てきました。
無実の訴えは法廷闘争に移り、1、2審とも弁護士から「大丈夫」と無罪判決の太鼓判を押されたが、実刑に。控訴審判決後、裁判長から「まだ最高裁がありますから」とまで言われた。

引っかかったのは、裁判長の「まだ最高裁がありますから」の方。
弁護士が無罪の太鼓判を押すのは当たり前。無罪が取れると信じて仕事をするのが弁護士だから。
でも裁判官は審判員だ。上告するかどうかは被告人次第で、裁判官が上告を匂わせることをいうのは審判員という立場とはしっくりこない。
つか、上告勧めるんなら、無罪判決書けよって話で。

  と、ここで、ふと考える。
  無罪を出したいけど、出せない事情がある、のでは。

・・・はーい、ここで国策とか陰謀とかいう単語に飛びついた奴、スクワット100回ねー。

冤罪って誰も作りたいと思っていなくても生じてしまう場合が多々あって、
で、それが生まれる背景や構造はいろいろ複雑で、しかもケースによっていろいろだから、俺がここで考えただけで、わかるような簡単なものではないんだけど、
ちょっとさいばんちょの言葉から想像してみたことってことで。

まず、上告を匂わせるということは、無実かもしれないと思っていたということ。
ということは、冤罪を生み出す理由の1つとしてよく検察官の起訴自体に有罪の推定が事実上働いていることがあげられるけど、このケースにはこれが当てはまっていない。ということ。
検察官以外の関係者は、証人、つまり被害者だ。
この事件は被害者の証言以外に証拠がないという、痴漢にありがちのケースだった。
そして、証言自体には矛盾などの目立つ不備はなかった。
なお、これについて被害者は一度駅に降りたのにまた被疑者の傍に戻った、ということが証言の信用性がない理由っぽく報道されているが、
大勢の客に押されてまた同じドアから入ってしまった、という反論がされているようだし、
そもそも3年間あーだこーだ検討しあって、まだ分からないものを
報道された事実の断片から野次馬が正しく認定できるわけはない。
証言の証明力については、被害者、被告人、どちらの言い分も一通りありうる、程度のものと考える。

で、どっちもありえそう・・・という状態になったら、裁判官は何を考えるか。
教科書的にいえば、無罪推定原則になるわけだけど、
それとは別に現実問題としてこの事件でこういう判決を出したら、どういう事が起こるかってことも考えないわけにはいかない。
有罪を出したら、被告人はどうなるか。
そして
無罪を出したら、被害者はどうなるか。

仮に、無罪を出したら被害者は勇気をふるって痴漢を告発したのに、それを大人達に嘘つき認定されたことになる
(一通りのことを自ら証言したらしいので少なくとも本人は本当に被告人に被害を受けたと思っているという印象は与えているであろう)。
証拠が弱いので、検察官上訴は無いことも考えられ、そうしたら無罪は確定する。
被害者は17歳(高裁判決の時点では18,9だろうが)。ここで裁判で自分を否定されることにより受けるトラウマは大きい。
それを抱えたまま満員電車に乗り続けなければならないであろう期間も相応に長そう。

これに対して有罪を出した場合、被告人だって裁判で否定されることによるダメージは大きいが、ぶっちゃけ大人の男だ。娘さんよりは打たれ強そう。
うーん、ごめん。ここは若い者に譲ってもらえないだろうか。
上告審もあるし・・・・。

と、こーゆー算盤が全くなかった、とはいえないんじゃないかな、と。


それから、さいばんちょの言葉からは、最高裁なら無罪が出るかもしれない、というニュアンスも感じられる。
一,二審と最高裁で、どう状況は変わるのか。
最高裁でだって無罪が出れば、被害者のお嬢さんは傷つくだろーに。

ま、それもそうなんだが、最高裁の判決が出る頃には高校生も相応に大きくなっている。20歳くらいだよね。一応成年だよね。
で、事件も過去のことになりつつあるだろう。
おそらく最高裁では被害者自ら法廷で証言はしないだろうし、自分が直接関わらない分だけ、問題が遠のくってゆーか、まあ、そーゆー感じで、多分ダメージも少なくなると思うんだよね。

それに対して、被告人にとっては常に現在の闘いだから有罪で受けるダメージは以前と変わってないよね。
・・・つーわけで、無罪は出しやすくなると思うんだよね。
多分だけどね。


本来証言の証明力の話なのに、何かもうそーゆー次元じゃなくなってるんですけど。
でも、そういうことを全く考えないわけにはいかないんじゃないかな、と思う。
だって被害者の証言と被告人の主張しか判断材料がないんだもん。
証言を否定しただけで、人間を否定したわけじゃないのに、どーしてもそんな感じになっちゃうでしょ。

他に客観的な証拠があれば、まだこんな、人の人生を天秤にかけるような真似しなくて済むはずなんだよね。

マスコミはおおっぴらに語らないが、
痴漢冤罪は実質的に
痴漢冤罪の苦しみ(男性)vs痴漢被害の苦しみ(女性)、だと思う。
今回の逆転無罪判決だって喜ばれているが、被害者の人違いが産んだものだとしたら、被害者にとって、それは迷宮入りを意味する。

しかし、この2つが対決しても決して和解はありえず、不毛な闘いが激化するだけだ。
だからこの2つが直接対決してしまう悲劇をなるべく防ぐために、周辺システムである
刑事裁判を見直し、捜査のあり方を見直し、そして通勤ラッシュの解消を図るのだ。
そして、より直接的に対決を防ぐために、社会の雰囲気は、禁句を作る。
男性が言っちゃいけないのは「痴漢くらい少しは我慢しろ。」
女性が言っちゃいけないのは「冤罪くらい少しは我慢しろ」。

それらは確かに賢い人が言う言葉ではないが、
それでもフツーの人ならちょっとは口にしたくなる言葉だ。
その言葉が言えないことは、人を面白くない心持ちにするので、
話はいよいよめんどくさくなってくる。

うーん、やっぱ、余裕の無さはいろんな不幸につながるのかもね。


追記
モトケンさんの関連エントリ
痴漢冤罪と最高裁無罪判決と痴漢防止
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by k_penguin | 2009-04-18 01:27 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(6)

痴漢事件3題

痴漢事件(強制わいせつ)で逆転無罪判決が最高裁で出たという珍しい事例。
判決の分析をするには情報が足りないので、報告にとどめるけど、
最高裁で逆転無罪という点でも、有罪を無罪にするという二審判断と事実認定で大きく違う結論でありながら、差し戻しをせずに自判した点でも珍しい例。
自判したのは、なるべく早く被告人を裁判から解放するためと思われる。

毎日
小法廷は満員電車の痴漢について「特に慎重な判断が求められる」と初判断を示し、理由として「客観証拠が得られにくく被害者の証言が唯一の証拠である場合も多い。被害者の思い込みなどで犯人とされた場合、有効な防御は容易でない」と述べた。被害証言を補強する他の証拠を求める内容と言え、捜査や公判に大きな影響を与えそうだ。


被害証言を補強する他の証拠を吟味することを要求するという点では、民事ではあるが、最判H20.11.7がある。
今後そーゆー流れになる可能性はあり。

追記 判決文(pdf)

さて、大学教授の痴漢事件と言えば、当ブログとしては植草さんに言及せざるをえないのだが(植草さんも多分最高裁に上告中だったと思う)、
事例的に植草さんのケースと違うことは明らかとしても、
植草さんとの比較で興味を持ったのは、植草さんが、逮捕の時点でさっさとクビにされてしまったのに対し、この防衛医大教授が休職中という扱いになっていること。
裁判で決着つくまで大学は処分を保留してくれていたのね。
否認事件である場合、これがあるべき対応だと思う。
まあ、植草さんはそれほど重要な人材と思われていなかっただけなのかもしれないが。

痴漢事件つながりで、最近見つけたけど特にブログで取り上げていなかったものを2つ紹介しておく。

ONE OK ROCKメンバー痴漢で逮捕
・米国出身のファッションモデルでミュージシャンのALEX(アレク、本名・鬼澤アレクサンダー礼門
 =21)が5日午前8時ごろ、川崎市内を走っていた東急田園都市線の電車内で女性(21)の
 足を触ったとして、神奈川県迷惑防止条例違反の容疑で県警に逮捕された。

この結果全国ツアーは中止になり(ギターが逮捕されちゃ仕方ないが)、新曲発売も中止、ドラマの主題歌はおろされる
というさんざんな目に遭っているわけですが、
本人が痴漢を認めているか否認しているかについて全く報道されていない。
痴漢で逮捕ってだけでは、情報として足りないと思う。
せめて認めているか否認しているかの情報が欲しいとこ。
否認していたとしたら、ずいぶんかわいそうだという気がしたが、
テレビは時間が勝負だから、判決を待っているわけにはいかない。
正義よりもイメージ重視の世界だからってことで納得することにする。

キングオブコメディの高橋健一(今野じゃない方)

2007年7月、逮捕のみで釈放。
その後半年間活動自粛(どーもテレビで見かけなくなったと思っていたら・・・)。
本人が痴漢を否定し、相方がつっこんでるインタビューあり。

酔っているケースの場合、真実はますます藪の中。
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by k_penguin | 2009-04-14 21:23 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(3)


法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


by k_penguin

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