小林賢太郎テレビ5 の2(マルポ便)   

KKTV5については、以前にもう書いたんだけど、重要な作品であるマルポ便については書いてなかった。
 なんでかっていうと、明らかに『うるう』と同じテーマを扱っているであろうと思われたから、自分的にしんどかったから避けたのだ。
『うるう』については、このブログに記事がいくつかあるから、詳しくはそれを見てもらうとして、まあ、自分としては、あれは息子のことを扱ったのだ、と、婉曲的に主張していて、で、あの作品はソフト化されなかったから、今やその当否について誰も検証できない、という状況の訳で、
そんな状態だから、多分ソフト化されるであろうマルポ便について、おさらいの意味も込めて、1度ちゃんと書いておきたいな、と思ったのだった。
最近ようやく休みがとれたので、あらためて録画を見て、書いてみる。

長いよ
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# by k_penguin | 2013-08-15 00:42 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

後悔すれども謝罪なし 広島死体遺棄   

広島死体遺棄 奪った金を7容疑者で山分け…後悔しても謝罪なし

この事件に関しては、「謝罪がない」ということがちょいちょい見出しになている。
謝罪がないことが強調される事件というのは珍しいなあ、などと思っていたが、今回のこの見出しで、ちょっとよく考えてみる気になった。
「後悔しても謝罪なし」
この見出しからは2つのことがわかる。
後悔と謝罪は違うものであること、そして、被疑者達は後悔では足りなくて、反省して謝罪すべきだ、という価値判断があることである。
 でも、なぜ後悔ではダメなんだろう?なぜ「謝罪」が要求されるのだろう?

 一般的に、謝罪がないことはけしからんこととされている。今回の記事についているtwitterをざっと眺めた感じでも多数は「けしからん」と憤っているが、その理由は書かれていない。反省して謝って当然のことと考えられているようだ(そもそもtwitterにいちいち理由とか書く奴はいないような気もするが)。
 その一方で、少ないが(それでも思っていたよりは多い数の)tweetに「謝る必要は無い」というものがあった。これまたほとんどが理由抜きのいい放しなので、なぜ反省する必要は無いのかの理由はわからず仕舞いだ。
「取り調べ室で「天国の××ちゃん、ごめんなさい」とか言わないとダメなのかな?」
tweetした方に真意を尋ねてみたが、逆ギレされただけだった。
どうも、新聞の書くことと、捜査機関のやることに片端から文句を言いたいだけの人らしい。
このような「何でもいいからただ記事に文句を言いたい」方は除外するとして、他には、「どうせ反省なぞしないのだから謝罪を求めるだけ無駄」という趣旨のものがあった。これは根っこでは反省が必要だという考えと同じである。

・・・てゆうか。
今までは、というか、これ以外の事件では、俺も反省が必要か否かということを取り立てて問題視していなかった。
とすると、むしろ考えるべきなのは、なぜこの事件において俺がこのことを問題ととらえたか、である。
で、考えてみた。そして、わかった。
被疑者の一部は犯罪に関わっていない可能性がある。と俺が考えているからだ。

今回の事件はLINEを通じた知り合い達によるものであり、被害者と面識のない者達も暴行現場に集まっていた。
LINEで盛り上がって面白そうだという野次馬根性だけで出かけて、事件に巻き込まれた面があるのは否定しがたい。
現場にはいたが、犯罪には関わっていないのだとしたら、それは(殺人については)無実であり、無実の者は反省や謝罪のしようがない。
でも、後悔はあり得るし、現に彼らは、軽い気持ちで出かけて事件に関わってしまったことを後悔しているだろう。

無実の者に、後悔はありえても反省はない。無くて当然なのだ。
「後悔しても謝罪なし」
という見出しには、彼らが犯罪を犯した、という先入観が入っている。
取り調べもその方向で進められているだろう。
しかし、おそらく実態は、彼らは、自分は無実だと思っているのだ。
多分混乱していて、はっきりと無実の主張ができていないのだろう。まだ子供だし、その場に集まり、暴行を止めることができず、被害者の金を山分けした(口止めの意味があったであろう)。そこまで関わったらおまえらが殺したと同じじゃないか、とか言われたら、自分の感覚が信じられなくなり、罪を認めるかもしれない。
まあ、認めた方が良いような方も中にはいるのかもしれないが。

さて。
ここからは今回の事件とは別の話として、再度、冒頭のテーマに戻る。
 仮に犯罪を犯した者であっても、後悔だけではいけないのだろうか?
 と、言うのも、後悔であろうと反省であろうと、それをした者は「同じ過ちを2度と繰り返さない」と思う点で共通する。
そして、彼らが同じことをしなければ(つまり再犯が防止されれば)、我々部外者からすればそれでいいではないか。
まあ、反省して人間的に成長してもらった方が彼らのためには良いであろうが、一般人の多くは彼らの人間的成長なんてどうでも良いと思っているだろうから、それならば、後悔だろうと反省だろうと、いや、再犯防止という点では死刑であろうと、どれでも同じなのではなかろうか。

刑事裁判では情状として「反省」が重視される。昔から日本の刑事裁判では何となくそうなっている。裁判後の処遇でも、仮釈放などで「反省」は重視されている。しかし、外国人犯罪者の中には「反省」の概念の重要性がわからない者もいる。また、冤罪には「反省」はあり得ない(そして多分「再犯」もないだろう)。

私たちはなぜ彼らに「反省」を要求するのか。
あらためて考えると、いろいろ謎ましいことではある。
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# by k_penguin | 2013-08-05 23:40 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

LIVE POTSUNEN 2013『P+』   

小林賢太郎の、フランス、モナコ公演のための舞台『P』の日本凱旋公演、つか、リメイク。東京グローブ座にて。
元が日本語わからない人向けの作品だったので、比較的台詞が少ない。
その代わり、今までよりカラフルな仕上がりだし、エンタメ度は間違いなくここ数年のライブポツネンの中で1番の盛りだくさんだし、客の反応も良い。
最前列であったので、いろいろ細かいとこまで見ることができた。「んあえお」で声が遅れて聞こえるのが、音響でやっているのではなく、本当に発声しているのもわかった(それがわかるのもどうかと思うが)。
とにかく、これなら他人にお勧めできるな。特にカップルにお勧めできる。仮に相方が小林賢太郎を知らなかったとしても、KKTVを事前に見せておけばすんなり馴染むだろうし、毒にもならない薬にもならない、無難に楽しい90分(前回の『P』から30分も増えている)が過ごせる。8時半頃終わるから、その後1杯引っかけられるし。

でも、なんか嫌い。
それが終演後の正直な感想。とにかく徒労感に襲われて、ぐったりしてしまった。
90分が俺にとって長すぎたというのはある。1度に集中できるのは60分までだな、と、見ながら思ったし。ソフトであれば途中休憩を入れながら気楽に見られたと思う。
また、俺は元々、笑いたいがために小林さんの舞台を見に行くのではなく、深読みをしに行くのであるから、気軽に楽しむモードに入ってなくて、それでついて行けなかっただけかもしれない。

で、その深読みなんだけど、台詞が少ないせいもあって、今までで1番わかりやすかった。しかし、内容がほとんどないに等しかった。
作り方を変えたのかと最初思ったが、作品世界の整合性が緻密である点は変わってないので、変えてはいないようだ。

前回の『P』から、(彼にしては)大きく変わっていた。オープニングは映像作品になっていて、絵と実写の合成やプロジェクションが増え、虚構と現実を行き来することがテーマであることが明確になっていた。
彼の内部の世界と外の現実世界(「リアル」な世界というのが今風か)は劇場を通じてつながっている。舞台の彼から客席の彼に指令が飛び、客席の彼は舞台へ上がり、そしてお客様に彼の内部の世界をご紹介して反応を得る。こうして彼は今このライブを通して、外、そしてお客である皆さんとつながっているんです。
この永久機関のような構造はKKTV2でも示されていたし、すごく「小林賢太郎っぽい」わけだが、それが明確になっただけ、その薄ら寒い嘘くささも明確になってしまって、それが嫌なんだな、と今からすれば思う。

とにかく、『P』と比べて、引きこもり度が確実に上がった。
「シーッ」てやる作品では、しつこくかかってくる電話をついに水中に沈めてしまい、2度とかかってこないようにしてしまう。外とのつながりを自ら切ってしまったのだ。
客席を向いた「枠」が2つに減ったので、各々の担当が明確になった。小さい方の枠は雑に扱われていて、「シーッ」をやった後、下に乱暴に落とされる(最前列だったので、びくっとするほど音が大きかった)。これはいわゆる「外界」。
もう1つの枠、Pにおいては、「魅力があるけど怖いものがいる」ということしかわからなくて、解釈上説が分かれていたが、そっちの大きい扉の向こうは、「何か」がいて、やりあったり妥協したり、すると見せかけてやっぱりやり合ったりしている。そういうことをする相手は「例の奴」(ジョンとか○とかときどきによって変わるヤツ)しかいないので、そいつがいるということになる。
ちなみに「電話」は、家の中にありながら外の誰かの声を伝えるものであるから、彼と何らかの親しい関係にある者への気持ち、思いを意味する。そして「水の中」は彼の深層の精神世界を意味するので、電話を水中に沈めるというのは、忘れることにした、と言うことである。
 こういうことをやっておいて、当人は部屋の中でにたにたしながら本眺めている。しかもそれを客前でやって、笑いをとっているって。
これでもう取り返しがつかないくらい俺はどん引いてしまった。

そんなわけで、後は何やられても笑う気になれなくって、なんか嫌だなあって思うのだ。
それって考えすぎじゃね?と思う方であれば、楽しめると思う。

これ以降は、考えすぎたい方に
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# by k_penguin | 2013-07-07 00:08 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(16)

瀬戸内国際芸術祭2013(ただし会期外)   

瀬戸内トリエンナーレ2013に行ってきた。
会期中に行けるかどうか、予定の見通しがたたなかったので、とにかく行けるうちに、と思って仕事を人に押しつけて、無理矢理行ってきた。
前回2010年に行ったとき回りきれなかったところを中心に、直島(約1時間)、宇野、豊島、犬島の2泊3日。
高松空港は一足早く、夏会期用の青い旗のポスター。
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海には、アカクラゲがいっぱいいた。
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直島
南寺、ANDO MUSEUM。
家プロジェクトでは、南寺ときんざを見ていなかった。前回は会期中で、人大杉だったからだ。
今回もきんざはダメだったが(鑑賞が1度に1人なんだもんなー)、南寺は待たずに入れた。
タレルの作品だったが、地中美術館のやつの方が仕掛けが大がかりだったな、と思った。
他の家プロジェクトでは、角屋が好き。
ANDO MUSEUMは今年開館。家プロジェクトではないので、別料金だよ。
ベネッセがらみの作品中心に紹介されている。地下の瞑想部屋が面白かった。
安藤忠雄の仕事を知るという点では、以前乃木坂「間」でやった展覧会の方が情報量は多い。

宇野
前回もちょびっと参加していたのだったが、トリエンナーレは香川県主導のイベントであるため、あまり目立たなかった宇野(岡山県)。
今回はあやかるぞってことで、ねじこんできたらしい。
芸術祭オフィシャルショップもある。
アラーキーの写真が町のあちこちに貼ってあるけど、なんか、ひなびた地方の港町の風情と妙にマッチしてるんだよね。
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白井美穂
公式ガイドブックによれば、「宇野駅前の6体の動物たちが、変装して、芸術祭の来訪者を待ち受ける」
うーん・・・


豊島
豊島美術館、かがみ-青への想い、ストームハウス、トムナフーリ他
前回、豊島美術館の開館直後だったため、15分の入場制限をされ、たんのーできなかったので、今回の主目的の1つはそのリベンジなのであった。
客の人数が少ないと、美術館内の音の反響のすごさがわかる。
サングラスをたたんだら、その音が響き渡ったのにはびっくり。
おっちゃん達の団体なんて、入ってきただけでおそろしい騒ぎになる。
外の鳥の声も、中の人も、ひとしくその存在が響き渡るし、床を転がる水滴は、風向きが変わると微妙にその動きに変化が起きる。
いやー、すごいなー。

今回の目的のうちには、トムナフーリの近くに生息するサワガニを捕まえること。も、あったのだが、空梅雨のせいで、あまり出てきていなかった。
でも、よく見ると。
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そして、トムナフーリ近くの民宿に泊まり、夜のトムナフーリを見に行く。
ぼんやり光っているトムナフーリを見るなら昼より絶対夜なのだ。
ただし、1人では行けない。作品に至る山道に明かりはないし急勾配だし、何が出てくるかわからんし。
宿の他の宿泊者達とかたまって懐中電灯をもって見に行く。
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ウシガエルが鳴くなか、光るトムナフーリ。
こ-ゆ-もんを作っちゃうっていうのがすごいな~って思った。

あと、暗闇でぼんやり光る系って、多くね?

唐櫃岡地区では、ピピロッティ・リストが新しく作品設置したんだけど、
以外と面白くなかった。
Motにある作品はもっと面白かったのになあ。
蔵の中という場所を生かせていないように思う。

「甲生地区は、今は会期外なんだけど、作品は置いてあるから鏡の船を見てけば?」
と、民宿のおっちゃんが言うので、連れて行ってもらった。
かがみの船は海の景色も映り込む。
とても繊細で、ぶつかってすぐに欠けてしまうんだそうで、実際一部欠けていた。海藻やフジツボみたいなもんも下の方にいっぱい着いていて
「夏会期までに直さにゃならん。」
と、おっちゃん。
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犬島
家プロジェクトの展示が全部模様替えしたので見に行く。
もちろん精錬所美術館も。
俺の1番の好みはやっぱりこの犬島だなあ。

野バラが点々と咲いている。
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家プロジェクトは2つギャラリーが増え、島巡りの範囲が広くなった。
案内板には「A邸」とかしか書いてないから、どこを見たのかちゃんとチェックしておかないと、同じところを2回見に行く羽目になったりするよ。
あと、思うんだけど名和晃平のオブジェって、よく吾妻ひでおに出てくるよね。

以上、今回のトリエンナーレでした。
新しい展示にぱっとしたのが少ないように思うんだけど、
多分メインは夏会期に披露されるんだと思う。
島の皆さんも
夏の繁忙期目指して、がんばるぞーっ!
って感じだった。


美術手帖 2013年 03月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2013 公式ガイドブック アートをめぐる旅 完全版 春 [雑誌]
通常の美術手帖と同じ大きさなので、扱いづらいところがある。
多分そのうち大判の夏用公式ガイドブックが出ると思う。
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# by k_penguin | 2013-06-11 23:54 | エンタ系 | Trackback | Comments(6)

小林賢太郎テレビ5   

エントリはたてたけど、そんなに感想は無いです。
最近は仕事が忙しい上に、体調を崩していて、テレビ番組自体をあまり見られなくなっています。
時間がないというだけでなく、テレビを見るという作業が目や身体に負担がかかる作業であることを実感するようになってしまい、少し気に入らないとすぐにOFFってしまったり、気に入っても連続して長時間見られない(録画した1時間番組は2回に分けて見る)、という具合です。15分番組なら1度で見られるので、Eテレを愛用しております。

さて、KKTV5ですが、最近小林さんから遠ざかっていたので、何か新鮮な気持ちで見始めたのですが、すぐに、小林さんの作品は「ながら見」に向いていなくて、ちゃんと見なくてはいけなくて負担がかかることを思い出しました。
わざとらしい小芝居風の独特の言い回しがさらに強くなっていて、なれるまで時間がかかり、最初の15分を3回に分けて見る羽目になりましたが、慣れれば残りはすんなり見ることが出来ました。
で、「このネタ「デザインあ」で見たのと同じ」とか、「「シャキーン」で見た」とかは禁止だったな、というのも思い出しました(自分的に「○○のパクリ」というのは批判として禁じ手としています。あれはこちらの意図と無関係に強引に決め技になってしまいます)。
忍者ネタとか、作ってる方は面白いだろうけど、見てる方にそれが伝わらなくて、同じことをだらだらやっている感じがしてしまうなってコントが多いです。お題コントにそれがはっきり出ていたように思います。
どうやって無重力の表現をしているんだろう、とか、見てる側はあまり気にしないものです。CGなどを使わないことにこだわっていることはわかりますが、そのこだわりに何の意味があるのかがわからない。
作り手的には、こだわることにこそ意味があって、そのこだわりに意味が無ければ無いほどコーフンするものなんですが。それはわかってはいるんですが。

全体的な印象としては、まさに「うそつき君、絶好調」という感じでした。
周囲の人たちに良い感じに配慮してもらって、操作してもらえれば、僕、うまくやれるよ。てな感じ。

「マルポ便」について最後に残しました。あの作品が現在の心のお天気模様を示しているのは間違いないのですが、「座敷わらし」の存在がちょっと重くてしんどいせいもあって、あまり読んでいません。
メモとしては、番組導入部より、大泉さんは小林さんと同一人物と読むべきであろうこと、マルポ便の仕事仲間の妖怪は、公式HPで毛虫だといってるので、Dropの毛虫と考えて良いであろうこと、当然宅配便の仕事はツアーのことだということ。
あとはP+見てから考えた方が良いんじゃないこと思って、保留にしています。
なお、新しいアイテムとして、「牛」がでてきました。

あ、音楽にところどころペンギンカフェ・オーケストラが使われていて、嬉しかったです。
私が着メロにしている「Telephone and Rubber Band」も使われていました。



ペンギン・カフェ・オーケストラ-ベスト-




NHK DVD 小林賢太郎テレビ 4・5
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# by k_penguin | 2013-06-01 19:53 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

俺の母親が振り込め詐欺にあうわけはない・弁護・被害者編   

被害編
捜査編

さて、前回からの事件の展開をお知らせすると。
あれから警察がまた調書を取り直してきた。また、検察官の事情聴取もあった。
警察の作った最初の調書には母親は大変不満であった。
まず、「声が似ていたのですっかり弟本人がと信じてしまいました」と、自分があっさりだまされたかのように書かれている。本当は何度も「本人と声が違う」と怪しんだのに、これではまるで自分がバカのようではないか。
さらに、犯人について「厳しい処分をお願いします」と、言ってもいないことが書かれている。犯人なぞどうなろうと自分の知ったことではないのに。
警察に文句を言ったのだが、相手は、そんなことどーでもいーから早く署名しろよ的オーラをばりばり出していたし、母親も疲れ果てていたので、結局署名押印をしたそうだ。
まあ、確かに刑事手続において重要なのは「だまされたのかそうで無いのか」であって、怪しみながら騙されても、あっさり騙されても騙されたことには変わりなく、変わりないならわかりやすい方がいいわけで、
「厳しい処分をお願いします」にしても定型的表現であって、犯人をかわいそうだ、気の毒だと思っていない限り、「厳しい処分」でもいいわけなので、警察的には大した違いではないのだが、母親からすれば大問題であった。
警察は数日してから新たに調書を取り直し、それはまあ納得いくものだったそうな。
 警察官の出来も、上から下までいるんだねえ。
とは、母親の言葉。

これに対して検察官の調書は最初からちゃんとしていたそうだ。
騙された部分についても、最後まで怪しいとは思っていたが、低血糖の症状が出始めたので、早く済ませたくて金を渡した、としてあった。
特に母親が気に入ったのは、重要部分については母親の言い回しをそのまま使って書いていたことだった。

そして、逮捕-勾留-起訴と刑事訴訟法にそってことは進んだ。共犯が誰も捕まらないまま、組織的詐欺ではなく、単純詐欺で起訴されたらしい。
考えてみれば、振り込め詐欺のタイプが、騙した人に振り込ませるタイプの頃は、「出し子」(振り込まれた金をATMから引き出す役)は単純詐欺の共犯にはなりえなかった。実行行為はATMに振り込んだ時点で終わっているからだ。
これが直接現金で受け取るタイプになったおかげで、出し子にあたる役割が現金受取係に変わるわけだが(「受け子」と言うらしい)、そうなると、現金の受け取りは詐欺の実行行為の分担にあたるので、詐欺の共同正犯になり得ることになる。
実質的には同じ役割で、トカゲのしっぽに当たる末端がやることであるのに、難儀なことだ。

 …と、それはおいといて、起訴されたことは検察庁から通知が来た。
気を遣って検察庁の名が入っていない、担当検事の個人名だけ差出人として記載されている封筒を使ってきたので、母はますます検事が気に入った。
俺は、母親に、弁護士から弁償したいという連絡が来るかもしれない。と、一応言っておいた。
現行犯逮捕のケースであり、争点は量刑になるはずだからだ。
被告人の親族などに経済的余裕があって、かつ、被告人とまだ縁を切っていなければ、被害者と示談をし、「もう怒ってないから、どうか寛大な処分を」と、一筆書いた紙をもらって情状を少しでも有利にし、望ましくば執行猶予をとる。
弁護士であればこのようなことを考えるはずだ。
しかし、振り込め詐欺グループと関わっているような奴は親類縁者から縁を切られている可能性もまた高い。まして、高額な被害弁償なぞ期待できない。
弁護士から連絡が来るかもとは言ったが、俺自身、被害弁償は期待していなかった。

ところが弁護士から連絡が来て、被害額を全額支払う用意があるという。
犯人の親戚が被害額を全額支払うといい、実際弁護士に振り込んだのだ。
これにはびっくりした。
弁護士もこんなことは珍しいと言っていたが、本当に珍しいと思う。
とにかくこれで、被害申告が骨折り損にはならないですんだ、警察に言って良かった、ということになる。
本当に良かった、さあ、これで一件落着。

と、俺は胸をなで下ろしたのだが、母親はパニクっていた。
被害弁償を受け取る方が良いのかねえ。なんて言っている。
高齢の上に家から出ることを嫌う母親にとっては、弁護士事務所に行くだけで精神的肉体的な負担が高く、事務所に着いた頃には「帰りたい」で頭がいっぱいで難しい話を飲み込む余裕はないのだが、早く示談を済ませ、嘆願書を作りたい弁護士が、早くハンコが欲しい的なことを言ったので、反射的に警戒モードに入ってしまったらしい。
弁護士の事務所がどうも共産系らしく見える、などと訳のわからない不安を口にする母親をなだめ、示談金額を引き下げたいとびびるのを制し、振込銀行はどこにすれば良いんだろう、相手に振込手数料がかからないところを選ばないと。と言うのに耐え、何とか一仕事を終えた。
 正直、母親の示談金額を引き下げたいという気持ちはわかる。
相手の家も経済的に余裕があるわけではないし、今回の弁償のおかげでヤミ金などに手を出されて、家族全体が不幸になるのでは、こっちも後味が悪い。
しかし、慰謝料はともかく、被害金額を全額払わなければ詐欺による被害が填補されたことにならない。こちらの気持ちよりも、裁判官がどう思うか、の方が大切なのだ。

まあ、とにかく嘆願書も出したし、やれやれこれでほんとに一件落着。

と、思ったら、夜に母親から電話がかかってきた。精神的に煮詰まったとき特有の震える声をしている。
なんでも、弁護士に「叱られたでしょう」と心配されたそうで、
弁護士と示談したことが検事にばれたらまずいのではないか。と、不安に怯えている。


もちろん弁護士は、母が詐欺に遭って被害を受けたことで家族に叱られたに違いないと思って気遣ったのであろうが、
実は誰も母を叱っていなかったのだ。
俺が母親を叱らなかったのは、母親が元々精神的に行き詰まりやすかったので、これ以上患われて寝込まれたりしたら面倒だ。と思ったからだ。
叔父も同じ思いだったのだろう。とにかく、母親はただでさえめんどくさい奴なので、なるべく元気で1人暮らしを続けて欲しい、寝込まれたりしてはかなわない、と親族は皆願っているのだ。
おかげで母親は自分が家族に叱られる筋合いはないと信じていて、弁護士の気遣いを、示談したことを検事に叱られるものと誤解したのだ。
もう、頭がくらっときた。

1時間かけて母親をなだめ、電話を切って、この記事を書き。
こんどこそ、一件落着
   と、なるかなあ・・・。


追記
判決が出て、無事に執行猶予がついたそうだ。
母親もほっとしていた。
これで母親本人も、一段落した、という気分になれたそうだ。
まだ精神状態が落ち着かないので
早く普通の生活になりたいと言っていた。
そうそう
叔父(本物)とは、
 電話で偉そうな説教してきやがったから、縁を切ってやった
と、言っていた。
そもそも、仲悪いんだよね。
それなのに、なりすました偽物は大金を引き出せるんだから、
詐欺って不思議だよね~。
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# by k_penguin | 2013-04-21 00:30 | Trackback | Comments(2)

『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』   

もうあまり舞台を見る時間がとれないのだが、やはり毎回見ているシティボーイズは観たいと思って、悩んだのだが、とりあえずチケットだけとってみた。
行くか行かないかは当日決めれば良いんだし。
で、その当日(6日土曜)、爆弾低気圧接近とかで、外出はなるべく控えてとか言われていて、
しかも公演はマチネならともかく午後5時からで、これって、終演頃確実にやばくね?
って、さらに悩んだんだけど、結局完全武装で出かけたのだ。雨は降っていたが、まだ風はそれほど出ていなかった。
ここまでして何を見たいのかな?前回まじめっぽくて期待外れだったのに。いやでも、今回は脚本代わって宮沢章夫だし。でもだからって当たりだと保証されてるわけじゃないし。
と、自分でぶつぶつ言っていた。
じいちゃん達が力一杯なんか(ほんとに「何か」としか言いようがない、なんか)をやるってだけで観るかね?しかし?

ところが世田谷パブリックシアターは、暴風雨の危険を冒して「なんか」を観にやってきた人たちでいっぱいだった。
世の中には常識で計り知れないことがあるのだなあ。

今回はプロジェクションを多用した舞台で、最初からシュールなテイストだった。俺は早々にストーリーをまとめるのを放棄した。
でも、内実は相変わらずだった。きたろうは相変わらず台詞をまちがえていたし、斉木しげるはワイルドだった。大竹まことは体力の限界に挑戦してゼイゼイ言っていた。除染ネタもあったし、「喫茶店に障害者が客としてやってきたことによる、他の客及び店主の動揺」ネタもあった。
戌井昭人の若い刑事はテンション高くて良かった。いとうせいこうと大竹まことの「先に説明してしまうコント」も面白かった。

カーテンコールで、最初に大竹まことが外の天気の状況を伝えてくれた。まだ本格的にはなっていないらしい。
そんな状況のなか集まった客達であるせいか、客の連帯感がいつもより高い感じがした。カーテンコールで客席からふつーに演者達に話しかけていた人が居たしw

舞台も客も濃厚だったけど、前回よりシティボーイズっぽくて、時代の気分もくみ取っている感じ。
迷ったけど、来て良かった。帰りの雨はひどかったが、まあ覚悟していたほどでは無かったし。
ただ、ほんとに濃ゆくて、頭が痛くなって、帰ってから寝込んでしまった。


シティボーイズミックス PRESENTS 『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』 [DVD]
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# by k_penguin | 2013-04-07 23:59 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)

デザインあ展・「テクネ 映像の教室」展   

デザインあ展。
21_21DESIGN SIGHT。
デザインあ展は、休日は入場制限がかかるほど混んでいるとのことなので、
無理矢理平日昼間に行く。
平日でも混んでいた。子供連れと若い友人同士が目立つ。
体験型の展示が多い上に、いろいろ楽しい。
若いおねーちゃんが、
「4時間はここに居られるわ、私。」と言っていた。
1000円であっこまでいろいろ遊べたら、そりゃ混むわ。

写真は撮ってない。
写真撮影可で、Twitterに投稿できるので、みんないっぱい撮ってるからだ。
会場の様子はそっちを見てね。

「テクネ 映像の教室」展 東京ミッドタウン・デザインハブ
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こちらは無料。
無料だけあって、内容は、TVとほとんど変わりない。
ただ、プロジェクションを使った井上涼のインスタレーション「マチルダ先輩」の新作が見られるのはすてき。



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# by k_penguin | 2013-03-06 21:38 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

俺の母親が振り込め詐欺にあうわけはない・捜査編   

 *今回は、友人へのメールを転載します。

今日の昼に、母が振り込め詐欺にあった話をしましたが、
先ほどその母から電話がかかってきて、犯人が逮捕されたそうです。

母からさらに金をだまし取ろうと、昨日に続き今日もまた犯人が叔父になりすまして電話連絡を取ってきたため
ちょうど居合わせた警察が、母親の協力でおとり捜査をして、現金を受け取るためにうちにやってきた犯人を捕まえたのです。

これだけでもそこそこ楽しい話なのですが、
わたし的に興味深かったのは、
母が、詐欺の犯人についてはそれほど悪く思っていないのに対し、警察については大変心証を悪くしていたことです。

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# by k_penguin | 2013-02-27 00:56 | Trackback | Comments(0)

俺の母親が振り込め詐欺にあうわけはない・被害編   

母親が振り込め詐欺にあった。
毎日くそみたいに忙しいのだが、こーゆー面白いことがあっては、記事を書くしかあるまい。

俺の母親は東京近郊で1人暮らしをしている。
普通の年寄り相応に耳が遠かったり聞き分けがなかったり自分勝手な独り合点をしたりするが、
ぼけてはいない。
「どうして振り込め詐欺に引っかかっちゃう人が居るのかねー」
なんて茶飲み話をしたこともよくある。

そんな母親のところに知らない男から電話がかかってきた。
どなたですかと問うと、「俺だよ、わっかんねーかなあ」と言う。
その声が弟(俺にとって叔父)に似ているように思えたので、そうかと確認すると、そうだといい、携帯の番号を変えたと連絡してきた。
そのときは母親は、特に気にもしなかった。母親はそもそも携帯も、ナンバーディスプレイの電話機さえ持っていない。たまに叔父に連絡するときはもっぱら家電にかけるので、携帯の番号などに興味はないのだ。
ところが、その次の日、また連絡があった。いよいよ本題だ。

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# by k_penguin | 2013-02-25 21:22 | Trackback | Comments(1)