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小林賢太郎の、フランス、モナコ公演のための舞台『P』の日本凱旋公演、つか、リメイク。東京グローブ座にて。
元が日本語わからない人向けの作品だったので、比較的台詞が少ない。
その代わり、今までよりカラフルな仕上がりだし、エンタメ度は間違いなくここ数年のライブポツネンの中で1番の盛りだくさんだし、客の反応も良い。
最前列であったので、いろいろ細かいとこまで見ることができた。「んあえお」で声が遅れて聞こえるのが、音響でやっているのではなく、本当に発声しているのもわかった(それがわかるのもどうかと思うが)。
とにかく、これなら他人にお勧めできるな。特にカップルにお勧めできる。仮に相方が小林賢太郎を知らなかったとしても、KKTVを事前に見せておけばすんなり馴染むだろうし、毒にもならない薬にもならない、無難に楽しい90分(前回の『P』から30分も増えている)が過ごせる。8時半頃終わるから、その後1杯引っかけられるし。

でも、なんか嫌い。
それが終演後の正直な感想。とにかく徒労感に襲われて、ぐったりしてしまった。
90分が俺にとって長すぎたというのはある。1度に集中できるのは60分までだな、と、見ながら思ったし。ソフトであれば途中休憩を入れながら気楽に見られたと思う。
また、俺は元々、笑いたいがために小林さんの舞台を見に行くのではなく、深読みをしに行くのであるから、気軽に楽しむモードに入ってなくて、それでついて行けなかっただけかもしれない。

で、その深読みなんだけど、台詞が少ないせいもあって、今までで1番わかりやすかった。しかし、内容がほとんどないに等しかった。
作り方を変えたのかと最初思ったが、作品世界の整合性が緻密である点は変わってないので、変えてはいないようだ。

前回の『P』から、(彼にしては)大きく変わっていた。オープニングは映像作品になっていて、絵と実写の合成やプロジェクションが増え、虚構と現実を行き来することがテーマであることが明確になっていた。
彼の内部の世界と外の現実世界(「リアル」な世界というのが今風か)は劇場を通じてつながっている。舞台の彼から客席の彼に指令が飛び、客席の彼は舞台へ上がり、そしてお客様に彼の内部の世界をご紹介して反応を得る。こうして彼は今このライブを通して、外、そしてお客である皆さんとつながっているんです。
この永久機関のような構造はKKTV2でも示されていたし、すごく「小林賢太郎っぽい」わけだが、それが明確になっただけ、その薄ら寒い嘘くささも明確になってしまって、それが嫌なんだな、と今からすれば思う。

とにかく、『P』と比べて、引きこもり度が確実に上がった。
「シーッ」てやる作品では、しつこくかかってくる電話をついに水中に沈めてしまい、2度とかかってこないようにしてしまう。外とのつながりを自ら切ってしまったのだ。
客席を向いた「枠」が2つに減ったので、各々の担当が明確になった。小さい方の枠は雑に扱われていて、「シーッ」をやった後、下に乱暴に落とされる(最前列だったので、びくっとするほど音が大きかった)。これはいわゆる「外界」。
もう1つの枠、Pにおいては、「魅力があるけど怖いものがいる」ということしかわからなくて、解釈上説が分かれていたが、そっちの大きい扉の向こうは、「何か」がいて、やりあったり妥協したり、すると見せかけてやっぱりやり合ったりしている。そういうことをする相手は「例の奴」(ジョンとか○とかときどきによって変わるヤツ)しかいないので、そいつがいるということになる。
ちなみに「電話」は、家の中にありながら外の誰かの声を伝えるものであるから、彼と何らかの親しい関係にある者への気持ち、思いを意味する。そして「水の中」は彼の深層の精神世界を意味するので、電話を水中に沈めるというのは、忘れることにした、と言うことである。
 こういうことをやっておいて、当人は部屋の中でにたにたしながら本眺めている。しかもそれを客前でやって、笑いをとっているって。
これでもう取り返しがつかないくらい俺はどん引いてしまった。

そんなわけで、後は何やられても笑う気になれなくって、なんか嫌だなあって思うのだ。
それって考えすぎじゃね?と思う方であれば、楽しめると思う。

これ以降は、考えすぎたい方に
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