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俺の母親が振り込め詐欺にあうわけはない・弁護・被害者編

被害編
捜査編

さて、前回からの事件の展開をお知らせすると。
あれから警察がまた調書を取り直してきた。また、検察官の事情聴取もあった。
警察の作った最初の調書には母親は大変不満であった。
まず、「声が似ていたのですっかり弟本人がと信じてしまいました」と、自分があっさりだまされたかのように書かれている。本当は何度も「本人と声が違う」と怪しんだのに、これではまるで自分がバカのようではないか。
さらに、犯人について「厳しい処分をお願いします」と、言ってもいないことが書かれている。犯人なぞどうなろうと自分の知ったことではないのに。
警察に文句を言ったのだが、相手は、そんなことどーでもいーから早く署名しろよ的オーラをばりばり出していたし、母親も疲れ果てていたので、結局署名押印をしたそうだ。
まあ、確かに刑事手続において重要なのは「だまされたのかそうで無いのか」であって、怪しみながら騙されても、あっさり騙されても騙されたことには変わりなく、変わりないならわかりやすい方がいいわけで、
「厳しい処分をお願いします」にしても定型的表現であって、犯人をかわいそうだ、気の毒だと思っていない限り、「厳しい処分」でもいいわけなので、警察的には大した違いではないのだが、母親からすれば大問題であった。
警察は数日してから新たに調書を取り直し、それはまあ納得いくものだったそうな。
 警察官の出来も、上から下までいるんだねえ。
とは、母親の言葉。

これに対して検察官の調書は最初からちゃんとしていたそうだ。
騙された部分についても、最後まで怪しいとは思っていたが、低血糖の症状が出始めたので、早く済ませたくて金を渡した、としてあった。
特に母親が気に入ったのは、重要部分については母親の言い回しをそのまま使って書いていたことだった。

そして、逮捕-勾留-起訴と刑事訴訟法にそってことは進んだ。共犯が誰も捕まらないまま、組織的詐欺ではなく、単純詐欺で起訴されたらしい。
考えてみれば、振り込め詐欺のタイプが、騙した人に振り込ませるタイプの頃は、「出し子」(振り込まれた金をATMから引き出す役)は単純詐欺の共犯にはなりえなかった。実行行為はATMに振り込んだ時点で終わっているからだ。
これが直接現金で受け取るタイプになったおかげで、出し子にあたる役割が現金受取係に変わるわけだが(「受け子」と言うらしい)、そうなると、現金の受け取りは詐欺の実行行為の分担にあたるので、詐欺の共同正犯になり得ることになる。
実質的には同じ役割で、トカゲのしっぽに当たる末端がやることであるのに、難儀なことだ。

 …と、それはおいといて、起訴されたことは検察庁から通知が来た。
気を遣って検察庁の名が入っていない、担当検事の個人名だけ差出人として記載されている封筒を使ってきたので、母はますます検事が気に入った。
俺は、母親に、弁護士から弁償したいという連絡が来るかもしれない。と、一応言っておいた。
現行犯逮捕のケースであり、争点は量刑になるはずだからだ。
被告人の親族などに経済的余裕があって、かつ、被告人とまだ縁を切っていなければ、被害者と示談をし、「もう怒ってないから、どうか寛大な処分を」と、一筆書いた紙をもらって情状を少しでも有利にし、望ましくば執行猶予をとる。
弁護士であればこのようなことを考えるはずだ。
しかし、振り込め詐欺グループと関わっているような奴は親類縁者から縁を切られている可能性もまた高い。まして、高額な被害弁償なぞ期待できない。
弁護士から連絡が来るかもとは言ったが、俺自身、被害弁償は期待していなかった。

ところが弁護士から連絡が来て、被害額を全額支払う用意があるという。
犯人の親戚が被害額を全額支払うといい、実際弁護士に振り込んだのだ。
これにはびっくりした。
弁護士もこんなことは珍しいと言っていたが、本当に珍しいと思う。
とにかくこれで、被害申告が骨折り損にはならないですんだ、警察に言って良かった、ということになる。
本当に良かった、さあ、これで一件落着。

と、俺は胸をなで下ろしたのだが、母親はパニクっていた。
被害弁償を受け取る方が良いのかねえ。なんて言っている。
高齢の上に家から出ることを嫌う母親にとっては、弁護士事務所に行くだけで精神的肉体的な負担が高く、事務所に着いた頃には「帰りたい」で頭がいっぱいで難しい話を飲み込む余裕はないのだが、早く示談を済ませ、嘆願書を作りたい弁護士が、早くハンコが欲しい的なことを言ったので、反射的に警戒モードに入ってしまったらしい。
弁護士の事務所がどうも共産系らしく見える、などと訳のわからない不安を口にする母親をなだめ、示談金額を引き下げたいとびびるのを制し、振込銀行はどこにすれば良いんだろう、相手に振込手数料がかからないところを選ばないと。と言うのに耐え、何とか一仕事を終えた。
 正直、母親の示談金額を引き下げたいという気持ちはわかる。
相手の家も経済的に余裕があるわけではないし、今回の弁償のおかげでヤミ金などに手を出されて、家族全体が不幸になるのでは、こっちも後味が悪い。
しかし、慰謝料はともかく、被害金額を全額払わなければ詐欺による被害が填補されたことにならない。こちらの気持ちよりも、裁判官がどう思うか、の方が大切なのだ。

まあ、とにかく嘆願書も出したし、やれやれこれでほんとに一件落着。

と、思ったら、夜に母親から電話がかかってきた。精神的に煮詰まったとき特有の震える声をしている。
なんでも、弁護士に「叱られたでしょう」と心配されたそうで、
弁護士と示談したことが検事にばれたらまずいのではないか。と、不安に怯えている。


もちろん弁護士は、母が詐欺に遭って被害を受けたことで家族に叱られたに違いないと思って気遣ったのであろうが、
実は誰も母を叱っていなかったのだ。
俺が母親を叱らなかったのは、母親が元々精神的に行き詰まりやすかったので、これ以上患われて寝込まれたりしたら面倒だ。と思ったからだ。
叔父も同じ思いだったのだろう。とにかく、母親はただでさえめんどくさい奴なので、なるべく元気で1人暮らしを続けて欲しい、寝込まれたりしてはかなわない、と親族は皆願っているのだ。
おかげで母親は自分が家族に叱られる筋合いはないと信じていて、弁護士の気遣いを、示談したことを検事に叱られるものと誤解したのだ。
もう、頭がくらっときた。

1時間かけて母親をなだめ、電話を切って、この記事を書き。
こんどこそ、一件落着
   と、なるかなあ・・・。


追記
判決が出て、無事に執行猶予がついたそうだ。
母親もほっとしていた。
これで母親本人も、一段落した、という気分になれたそうだ。
まだ精神状態が落ち着かないので
早く普通の生活になりたいと言っていた。
そうそう
叔父(本物)とは、
 電話で偉そうな説教してきやがったから、縁を切ってやった
と、言っていた。
そもそも、仲悪いんだよね。
それなのに、なりすました偽物は大金を引き出せるんだから、
詐欺って不思議だよね~。
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by k_penguin | 2013-04-21 00:30 | Trackback | Comments(2)

『西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を』

もうあまり舞台を見る時間がとれないのだが、やはり毎回見ているシティボーイズは観たいと思って、悩んだのだが、とりあえずチケットだけとってみた。
行くか行かないかは当日決めれば良いんだし。
で、その当日(6日土曜)、爆弾低気圧接近とかで、外出はなるべく控えてとか言われていて、
しかも公演はマチネならともかく午後5時からで、これって、終演頃確実にやばくね?
って、さらに悩んだんだけど、結局完全武装で出かけたのだ。雨は降っていたが、まだ風はそれほど出ていなかった。
ここまでして何を見たいのかな?前回まじめっぽくて期待外れだったのに。いやでも、今回は脚本代わって宮沢章夫だし。でもだからって当たりだと保証されてるわけじゃないし。
と、自分でぶつぶつ言っていた。
じいちゃん達が力一杯なんか(ほんとに「何か」としか言いようがない、なんか)をやるってだけで観るかね?しかし?

ところが世田谷パブリックシアターは、暴風雨の危険を冒して「なんか」を観にやってきた人たちでいっぱいだった。
世の中には常識で計り知れないことがあるのだなあ。

今回はプロジェクションを多用した舞台で、最初からシュールなテイストだった。俺は早々にストーリーをまとめるのを放棄した。
でも、内実は相変わらずだった。きたろうは相変わらず台詞をまちがえていたし、斉木しげるはワイルドだった。大竹まことは体力の限界に挑戦してゼイゼイ言っていた。除染ネタもあったし、「喫茶店に障害者が客としてやってきたことによる、他の客及び店主の動揺」ネタもあった。
戌井昭人の若い刑事はテンション高くて良かった。いとうせいこうと大竹まことの「先に説明してしまうコント」も面白かった。

カーテンコールで、最初に大竹まことが外の天気の状況を伝えてくれた。まだ本格的にはなっていないらしい。
そんな状況のなか集まった客達であるせいか、客の連帯感がいつもより高い感じがした。カーテンコールで客席からふつーに演者達に話しかけていた人が居たしw

舞台も客も濃厚だったけど、前回よりシティボーイズっぽくて、時代の気分もくみ取っている感じ。
迷ったけど、来て良かった。帰りの雨はひどかったが、まあ覚悟していたほどでは無かったし。
ただ、ほんとに濃ゆくて、頭が痛くなって、帰ってから寝込んでしまった。


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by k_penguin | 2013-04-07 23:59 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)


法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


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