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『ニッポン無責任新世代』   

ここしばらく後藤ひろひとの作品を見ていなかった。あ、NHK-BSの「カマドウマの夜」は見たけど。
今回も、原田泰造はあまり好きじゃないし止めとこうかな、と思っていたのだが、
震災後、仕事が立て込んであまり舞台を見てないし、久しぶりに見るはずだった「THE SPOT」はなんだか面白くない感じに延期されてしまったしで、ここんとこぱっとしないので、
この際厄払いになりそうな、ぱっとした軽い物がみたい。
と思ったのだった。
こーゆーときにブログをやってる大王はありがたい。
みーんなTwitterに流れてしまっている中、無駄な話を無駄に長文でそして熱く語ってくれる大王のブログを見ていると、その熱気にあやかるために舞台を観ようかなって気分になる。
あたるちゃん(中村中)が、歌うお掃除おばちゃんやるみたいで、おちゃらけてるあたるちゃんて、観てみたかったし。
と、言うわけでシアタークリエ。

この劇場で大王の作品を見るのは「ガス人間第1号」に次いで2回目なのだが、実は前回、あまり良い印象を持たなかった。
座席の位置によって舞台の見え具合が違うし、席の間隔が狭い。今回も前の席にすごく頭のでかい奴が座ったので、そいつがシートに沈みこむように座り直すまで見づらかった。
あと、客におハイソな年配客が多く、大王のマニアな笑いに全く理解を示さない客が多い、というのも苦手ポイントだ。
東宝系の劇場に作品をかける喜びが前面に出ている舞台なのに、ウルトラマンが分からないのでは楽しさは3割減だ(実は俺もよく知らないのだが、そこは大王のブログで予習をしておく)。
作品中、演者が客席の中程や後ろの客用の出入り口から登場して、そこで何かちょっとしたことをやることも多いのだが、
「身体をひねって後ろを見る」という動作がかなーりしんどいらしい年配客は、いちいちそっち観たりしない(また、シートが立派なクリエは通路がよく見えない)。

以上のことをあらかじめ覚悟して観にいった。
「Eさんフロムペルー」が近くに座っていた。

ストーリーについてはとりたててあれこれ言うことではない。
タイトルから想像できるように、植木等の「無責任男」とか「シャボン玉ホリデー」とかのノリで、ダメ社員達が、楽しいノリで大逆転。的な。
代表取締役が最大株主じゃないから経営権がない。とかぶっとんだこと言われても、つっこんだら負けだから。
こういう話は楽しくて気分爽快になれれば何でもありだから。

こういうサラリーマンものの話って、今も昔も
「1番エライ奴連れてきて解決」「主人公は社長と個人的な知り合い」で決まるんだな。って思った。
後、社員が全員会社やめた後、これからどうするのかって話になったとき、
金になるウォーターサーバーの技術持ってんなら、みんなで新しく会社立ち上げればいいだろjk
って思ったら、「あの会社で何かをやるべきだ」とか言い出して、みんなで元の会社に戻っちゃったとこが、昭和を感じさせた。
「サラリーマンもの」はあくまでも1つの会社に所属すること前提なんだよな。
フィールドが「会社」だけだから「無責任男」は存在できる。そこから出るのはルール違反。だからこそ「1番エライ奴連れてきて解決」もできる。


最後は悪い奴は土下座し、エライ奴は気持ちいい啖呵を切り、みんなハッピーでめでたしめでたし。
ここが大王の作品の良いところ。
多少腑に落ちないところがあっても、もうちょっとあたるちゃんに歌って欲しかったと思っても、とにかくぶっちぎって最後一緒にわーっと盛り上がれる。
お客さんもみんな僕たちと一緒だよ。そばにいるよ。という気持ちが感じられる。
ただその上さらに「まずはやってみる無責任」とかちょっと説教っぽいこというのがめんどくさかったけど、
東日本大震災チャリティ公演なんだし、大王が震災後いろいろ悩んでこの本を書いたらしいと言うことも知っていたので、大王っぽいからまあいいやって思った。
考えてみれば、震災後、新作の舞台を見るのはこれが始めてだなあ。

とにかく一本締めもできたし、カーテンコールは2回したし(2回目は照明もつき扉も開けられ、席を立つ年配客が多い中、残りの客が熱意でもぎ取ったという感じ。こういうのって、小林さんの舞台ではあり得ないなあ)、
楽しめて満足な舞台なのであった。
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by k_penguin | 2011-07-31 01:14 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)

「名和晃平―シンセシス」「フレデリック・バック展」   

東京都現代美術館(Mot)2本立て。
Motは毎年この時期にジブリ関係の展覧会をやって客を集めるのだが、今年は「コクリコ坂から」ではなく、ジブリからソフトを出す「木を植えた男」のフレデリック・バック展だ。
「木を植えた男」は原作もアニメも有名な作品だが、コクリコ坂よりは一般の知名度は低く、夏休みのかき入れ時にふさわしいのかな?とちょっと思うのだが、
しかしまあ、俺的にはどうでも良かった。
俺のメインは名和晃平の方で、フレデリック・バックはついでに過ぎなかったからだ。

名和晃平は日曜美術館で、細胞分裂したような鹿を見て興味を持った。
いがらしみきおのホラーっぽい短編に「みんなサイボー」っていうのがあって、
人間は細胞で出来ているって習った小学生カズキくんは、周囲の大人達がだんだん細胞の塊に見えてきて、その人が考えてることも、本当はその人自身じゃなくて、細胞が考えているのかも知れない、とか考えはじめて・・・って話なんだけど、
細胞の塊としてのニンゲンの画が、細胞というよりおにぎりみたいな感じで、どーもイマイチ「細胞に支配されてるニンゲン感」がなくて、話は良いだけに残念つーか、もったいないなあ、と思ったことがあった(いがらしの画は愚直すぎるところがある)。
で、名和晃平のPixCellシリーズを見て、
 あ、これじゃん。このイメージに置き換えて読めばいいんじゃん。
とか思って、で、見に行ってみたのだった。

実体と映像の境界あたりとか、無機物と有機物の境界あたりとか、なんか、そーゆー揺れをきれいにそつなく見せる作品が多かった。
なんか、そつがなさすぎる気すらして、その辺小谷元彦に似てるところがある。
いがらしの作品では、細胞はニンゲンとは別個独自の考える存在で有機的なものだけど、ここでは無機的なイメージ。
サイボーもこもこの鹿とか、カビが生えた仏像とか、本来だったら気持ち悪くて生理的に目を背けてしまうような物を、素材をうまく使って口当たりよく仕上げてる。
毛皮を使ったPixCellのexeシリーズなんか、溶けかかってる動物みたいできもかったけど、きれいなガラスのビーズに覆われてる細部を見れば「きれー」で済むし。
それと同時に何かごまかされてる様な気もするのは、俺がいがらしの細胞のイメージを持ったままこの展覧会を見たせいかなあ?

最後の「LIQUID」は面白かった。シリコンオイルを発光させた液体から絶え間なく泡が湧き出ている作品。
無機的な外観なのに、ぽこぽこふつふつプツプツごにょごにょと、ずーっと囁くような音が聞こえてまるで発酵してるよう。
もやしもんみたいで、かわいかった。



次はフレデリック・バック展。
入り口でコクリコ坂の色紙プレゼントをしていたが、ことわる。

最初の部屋でいきなりメインの「木を植えた男」の映像展示。しかもほぼ全部上映。
1人で木を植えて歩いて、荒れ地を緑の森に変えた羊飼いの男の話(実話に基づく)で、さぞや苦労に苦労を重ねた重い話かと思いきや、
10万個ドングリ埋めて樹になるのは1万本だ、と言ってはいるけど、割とさくさくわさわさ木が生えるイメージ。
別にただドングリ埋めただけじゃなくって、苗床作ったり、土地にあわせた樹木を選んだり、長い時間かけた試行錯誤を繰り返したはずだと思うけど、あまりその辺の描写は無くって、いいとこどりみたいなのがなあ・・・。
画や技術はすばらしいと思うけど。

「木を植えた男」を見てしまったので、後はざっと流し見。展示物は多くて流し見でも大変なほど。
フレデリック・バックは1924年生まれなので、今まで書いた画の量はものすごいのだ。
世界のあちこちの少数民族の暮らしを紹介する作品も多く、「自然と寄り添う暮らし」が好きで、一貫して反物質主義、エコ賞賛。ちなみに白イルカ(ベルーガ)の乱獲を告発する作品もあるぞ。

・・・いや、いーんだけどさ。エコ。
でも、今や日本では、現実の選択として、原発とかどうしようって話になってるわけじゃん。
そこで、ただきれいな自然見せて、「ほら、こんなきれいな自然を守らなきゃ」って言われても、もうすでに日本じゃ放射能漏れてるしね。
感情に訴える表現としては優れてるけど、現実的解決を図る意識としては現実認識が古い、という気がする。


会場から出たロビーに、ヤノベケンジの「ロッキング・マンモス」があった。
車の部品や甲冑などで作られた巨大マンモスは、フレデリック・バックのアニメで工業化とか物質主義とかの象徴として描かれそうな姿だったが、
その背中にはゆりかごがついていて、赤ちゃんをあやすモビールもついているのだった。

・・・御年87歳のフレデリック・バックとちがって、俺たち既に、こーゆーもんと一緒に育ってきてるもんなあ・・・。

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いがらしみきおモダンホラー傑作集ガンジョリ (ビッグコミックススペシャル)(「みんなサイボー」収録)



I【アイ】 第1集 (IKKI COMIX)(いがらしの新作。面白かったので、ついで)
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by k_penguin | 2011-07-27 00:39 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

チャーミング ドロッセルが超合金で!   


すばらしいニュース!
ドロッセルはやはり超合金が似合うぜ!



今回はさすがに自立しないな。

これは自慢なんだが、
俺はドロッセルお嬢様用の椅子として、How High The MoonのVitraのミニチュアを買ったんだぜ!




ファイアボール [DVD]

追記
予約開始!
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by k_penguin | 2011-07-16 19:54 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

橋下さんの懲戒請求祭り、不法行為不成立   

*7月25日 追記しました

この件に関しては、もうあまり覚えていないんだけど、
不法行為不成立は意外、という印象を受けた。
で、調べてみたら、以前に記事書いてました。

一審判決のときの記事 橋下さんの懲戒請求祭りに損害賠償命令
二審判決のときの記事 橋下さん、賠償金減額
そして三審でめでたく賠償金なしになったわけだ。

最高裁HP

法廷意見の重要部分(下線部)を、砕けた言い方で訳すと、

テレビの娯楽トーク番組の1つで、煽動してるってほど悪質なものじゃないじゃん。
弁護士としてはどうかと思うけど、一般の不法行為ってほどじゃないよ。弁護士会内で処分すればそれでいいんじゃね?
今枝さん達だって、
懲戒請求のほとんど全部は門前払いされているんだしさ、それほど業務に差し障ったわけじゃないじゃん。
ま、多少は差し障ってるけど、社会の耳目を集める刑事事件の弁護活動をしている以上、多少は批判されても我慢しなよ。表現の自由♪表現の自由♪

…って感じ。

大概の判決がそうであるように、補足意見の方が面白そうだが
判決が21ページもあるので、まだ全部読んでない。今忙しいし。
あとで追記するかも。


7月25日 追記

補足意見のうちでは、最も原告(光市母子弁護団)に優しい、須藤裁判官のものが緻密な印象を受けた。
橋下さんが数の圧力で懲戒請求の結果がどうにでもできるみたいな言い方をしたことは、懲戒請求の使い方としては正しいあり方とは言えないことを非難しながらも、結局違法とはしなかったのは、
弁護士の業務にそれほど差し障っていないことと、
公共性がある弁護士という仕事では、他の一般の職業と違い、世間から批判を受けて説明しなければならない場合があったり、
守秘義務との関係でおいそれと反論できなくて、罵られても我慢しなければならなかったりする場合があるよ。
ということ、
あと、弁護士同士の罵り合いは弁護士会に任せた方が良いんじゃね?ってこと、
この3つかと。

一審からの判決の推移は、
・・・最初はひでーことするなーって思ったけどー、時間経って後から見てみれば、そんなでもなかったよねー。
という感じなんじゃないかな。


なお、朝日新聞に、この件に関する社説が出た。
橋下さん個人を批判するのではなく、懲戒請求する個人に向けて、その適切な運用を求めるメッセージになっているのが特徴。

最高裁的には、大した証拠もそろえずに軽い気持ちで懲戒請求した個人については、
 そーゆーバカは想定の範囲内ですから。
ってだけで、特に文句も言わず放っておくことにしている。
誰でもできるのが懲戒請求なのだ。
その点、「言論でなく懲戒請求という手法に訴えることの危うさを、一人ひとりが認識する必要がある。」といっている朝日の社説は、いわば、最高裁がプロの弁護士である橋下さんに求めたレベルの責任を一般人に求めるもので、ちょっと立派すぎて現実的には無理があるんじゃないかって気がするんだけど、

・・・ま、言うだけならタダだしな。
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by k_penguin | 2011-07-16 00:08 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

更新料は有効 最判H23.07.15   

とりあえず走り書き。

最高裁HP判決文
更新料は賃料の2ヶ月分という事例。

更新料の性質については
一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する

とされた。よくわかんねーけど。
とにかくそれで世の中が受け入れてきたんだし、裁判でも当然有効ってことでやってきて不都合もないんだから、いーんじゃねーの?
的なことを言っている。


俺としては更新料については、いきなり無効にすることはないにせよ、消費者契約法10条との関係でもう少し否定的なニュアンスになると思っていたが、
いままでの判例とほとんど変わらないという感じがする。
高額すぎる更新料はダメとか、別に言われるまでもないことだし。

更新料を否定した判決も、更新料分は家賃に加算して請求すればいい、と言ってるから、実質的には変わらないんだけど、やはり最高裁は保守的なのかな。
公序に関することじゃないと、あまり意見を動かさないという気がする。

以前の高裁判決に関する記事

確かちょっと前に
敷引きも有効という判決が出ていたと思う。
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by k_penguin | 2011-07-15 22:05 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)