カテゴリ:エンタ系2(ライブレビュー)( 80 )

 

『アウェイ部 完全版』

1月にやった第0回アウェイ部ライブ『アウェイ部』の再演。

浅草橋はプロの街だ。タオル、販促品、風船、造花、などの問屋が軒を連ねる中、アドリブスタジオ小劇場に向かう。
小さい劇場だが、補助椅子も出ていて、ほぼ満員。100人入ったか、というとこ。
舞台の床に近いとこが補助椅子の客の陰になって見えなくて、
ころがりながら面白い顔してる(らしい)とこが全然見えなかったのが残念だった。

前回のライブのネタは小林賢太郎が指導しながら1ヶ月で作られた物だそうで、今回の完全版はそれにアウェイ部が手を加えたものだ。
新作1本を加え、かつ、体裁と内容を大きく変えたネタが1本。
小林さんは「まあ僕に言わせりゃちっとも完全じゃありませんが、」と、言っていたが(あいかわらずツンデレだ)、
完全じゃないにしても、前より良くなっていると思う。
前回はラーメンズに似てるのが気になったけど、今回は慣れたのか、新ネタがラーメンズっぽくなかったせいか、それほど感じなかった。

「国民性」のネタを、各話の間に挿入してゆく、というように作品の構成を変えたので、全体通しても新しくなった感じがする。

ノアの箱船の話のラストがわかりやすくなっていて良かった。
前回は、なぜ神様がノアに1番のクズだと言われなければならないのか全く分からなかったが、今回は感覚的につかむことができた。

新ネタも下らなくて面白かった。ONYのやる「サイボーグの電子音」が超うまい。

ただ、「国民性」は、全体通じての話になってしまったので、何か素敵な大オチを考えざるを得なくなり、最後に新しい話が加えられていたが、
最早「国民性」の話じゃなくて、単なる個性の違いの話になっていた。

これに限らず、話がアイデアに寄りかかっている感じでテーマの掘り下げが浅いため、話のドラマ部分に盛り上がりが欠ける点がひっかかる。
辛抱さんなんか、彼が喉の渇きや可愛い物を我慢しているだけではなく、「友情」も我慢していた、って設定にすれば、
もっと誕生日のシーンを楽しめる、とか思ってしまった。

まあ、そーゆー叙情的なことをあえて避けるって方針なのかもしんないけど、
それならそれで、何らかの別のテーマの掘り下げをしないと、結局何がしたいのか、何を見せたいのかがよく分からないままになってしまう。


最後の観客の拍手が鳴りやむタイミングで、「辛抱さん」のおまけのオチをやる予定だったところ想定外のアンコールが出てしまい、
2人がおたおた舞台を走り回るのが受けた。

10月に次の単独ライブをやるそうだ。
次はアンコールにもびびらないよう頑張って欲しい。
[PR]

by k_penguin | 2011-05-01 00:12 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)  

LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』

はじめに

ワタシが公演を見た次の日に東日本大震災が発生。『THE SPOT』の残りの東京公演は全て中止となった。

東京は地震による直接の被害は少なかったのだが、震災によって、娯楽を控える世間の空気が生じた。
この記事を書いている今も、頻繁に余震が来ているし、電力不足の恐れが報じられている。
そんな中でも娯楽を求める人は少なくはないと思うが、
14日時点で公演の先行きは不透明であるし、また、公演が続いたとしても客が求める娯楽の方向も変わると思うし、それが今後の公演の受けとめかたに変化を生じさせ、間接的に公演自体を変えていくかも知れない。
そんななかでどう記事を書くかを、記事を書かないことも含め考えたが
とりあえず

 「震災前」の時点に見た公演を、それから「何事もなかった体」で書く。

ということにした。
それではお楽しみ下さい。なお、深読み編はまた後日。
  *                *                *

「これで笑わないと知的じゃない人にみられるから笑っておく」と絶望先生で評されたラーメンズ。そのブレーンである小林賢太郎の一人芝居。
今回はめずらしくフライヤーに紹介文もついていて、やる気を感じさせる。なになに?
「…2010年に上演され、その完成度から最高傑作と評された『SPOT』。さらに洗練されて『THE SPOT』として全国12都市で上演決定!…」
寡聞にして俺は『SPOT』が最高傑作と評されていたというのは初耳だった。最高傑作の割には今回の公演は地方でチケットが余っていたが(ラーメンズだったらあり得ないことだ)。
『SPOT』はまとまっているという点では完成度は高いと言えるが、ミニマムに過ぎた。広く人を呼ぶにはわかりにくすぎる。
そんなことを考えながら舞台上を見て、俺はイヤな予感がした。
前回と同じ、上演する各都市の名前が書かれた幕があるのみ。前回は舞台の隅に置いてあったガジェット群すらなくなっている。
たしかに「さらに洗練」されているようだ。・・・もっとミニマムになるのかー。

俺の予感は当たった。
演目は前と同じだったが、話は短く切りつめられているものが多かった。
ときには、そこを削ってしまうとオチが分かりにくくなってしまうのに、と思うところすら削られていた。
ガジェット群は舞台上にはなくなり(パンフレットに出てくるアイテムすらない)、必要最小限の小道具と、スクリーン、白い布があるだけになり、舞台上はポツネン氏と、灰色の紗の後ろを行ったり来たりするスタッフのおぼろな影だけだった。
そのかわり、1つ1つの美しさは際だっていた。
白い布はいつの間にか白衣に替わり、スタッフのおぼろな影は夢のよう。
そして、やはり小林賢太郎のマイムは美しかった。
「見えないはずの物が見える」マイムをするには、リアルな動きをするのではなく、美しい動きをするのだ、そうすれば客は自然にあるべき物を想像する、
と、赤川次郎が言っていたが、なるほど納得だ。

全体的に夢をそのまま見せられているみたいな舞台で、そういう意味では、維新派の印象に似ている。モノトーンで基本1人の地味な維新派。
 まあ、俺は維新派の舞台は10分と見ていられないのだが。変化がないんだもん。

んで、そんな舞台で笑えるかっていると、もちろん笑えない。
作者も別に積極的に笑うことを期待してないんじゃないかって思う。
前回とギャグはほぼ同じだったが、どうも自己流の練習をやりすぎたようで、しゃべりの間は逆に悪くなっていると感じた。
新しく加わったものも、単によく分からないだけのものやネットのパクリだし(「カードはお餅ですか?」はネットでもあまり面白いと思ってないのに)。
要は、客にそっぽを向かれない程度に面白がらせておけばよい、と言うことなのだろう。

ところが、客席は大受けなのだ。
前回の『SPOT』同様、2階席に俺はいたのだが、前回は1階席は笑っていても2階は静か、ということが多かったが、今回はなぜか2階も大受け。
言ってることは前と同じなのに。
別にみんながみんな「知的じゃない人にみられる」ことを恐れているというわけではなく、とにかく積極的に笑うつもりで来ているので、雰囲気で笑うのだと思う。
小林賢太郎は「お笑い」に分類されているからだ。
でも、作者は別に積極的に笑うことを求めているのではなく、自分が受け入れられていることさえ確認できれば、それが笑い声だろうと拍手だろうと構わないんじゃないかって思う。

ポツネンは「可笑しくて美しくて少し不思議な一人芝居の短編集」と銘打たれているが、それは、
期待するほど可笑しくもなく美しいと言い切るにはミニマム過ぎることを「少し不思議」という言葉で誤魔化した感がある。

ま、誤魔化しでもそれで受け入れられれば問題ないけどね。

なんか、客が作品に求めているもの(笑うこと)と、作者が、他人からこう見られたいと思っている作品像(パンフレットに示される美しさ)と、作者が表現したいと思っているものの三者相互にズレがあると感じる。

あと、細かいとこだけど、うるう人のあとの、王様の導入部は、切り替えをぱしっとした『SPOT』の方が良いと思う。
泣いてる人は、なかなか人の話を聞く気分にならないから、静かな導入だと言葉が耳に入らないから。

また、俺個人的には医者話に注目。
この話だけは収穫だった。
この話の改変された部分だけで満足してしまった俺は、まだまだ甘いなあ。



『THE SPOT』その2 王様編、うるう人編

『THE SPOT』その3 医者編 縦のものを横にする
『THE SPOT』intermission 震災と小林さん
『THE SPOT』その4 東京延期千秋楽



りんごのけん玉 ¥6,825
公演と関係はない。
鈴木康広(ファスナーの船のひと)デザイン。



KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2011 『THE SPOT』 [DVD]
[PR]

by k_penguin | 2011-03-14 22:22 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(50)  

第0回アウェイ部ライブ『アウェイ部』

アウェイ部はスペースラジオという4人組から2人が抜けたため、残る2人が新コンビとして結成したものだ。
何で観たかっていうと、小林さんがらみだからだ。
すなわち今回は小林賢太郎がワークショップ形式により、アウェイ部を指導して、1ヶ月でコントを作り上げた物なんだそうだ。

ライブまで1週間を切ってから、なぜかスタッフコメントでいきなり「小林さんの公開ワークショップつき!」とか言い出して、それから1日しないうちにチケットが完売したといういきさつがあり、
アウェイ部の公演本体を見る気がない客もかなり来ていそうで、
…これでコントが面白くなかったら、目も当てられないぞ。
 と、思いながら俺は阿佐ヶ谷ザムザに出かけた。

そうはいっても、俺自身、アウェイ部に期待していたわけではなかった。
なにしろ、彼らを紹介する小林さんのコメントにもスタッフコメントにも「面白い」とか「笑い」という言葉が1つもない。
しかもYoutubeで見た前身スペースラジオのコントは、ただいじめているだけ、とか、ただ悪口を言ってるだけ、とかの1つも面白くないコントばかりだった。

そんなわけで始まる前からテンションが低い俺だったが、
しかし、ライブが始まったら面白く笑えた。
良かった良かった。

なぜかDVDやエアコンのリモコンで操作されてしまう羽目になり、一時停止や、タイマーで「おやすみ」してしまう人たち。
とか
「言葉」をピストルで撃ってくる「言葉つかい」の射撃を「かわす」(言葉をかわす)男。「俺は言葉使いに気をつけている。」
とか
ナルシストな国民性の国、陽気な国民性の国、思わせぶりな国民性の国、
それぞれ国民が朝起きて出かけるまで。
とか
ボクサーとトレーナーの会話のなかの「やばい」という単語を「大丈夫」「裏がある」「お母さんみたい」などの言葉に取り替えてやってみるもの、
とか…。

見て面白い動きをして、面白い言葉を連発するので文句なしに笑える。
 のだが…うすうす分かると思うが、
ぶっちゃけラーメンズのコピーみたい。

ここまで似ていると、
「こっちが小林で、こっちが片桐だな」なんて頭の中でおきかえて観てしまったりして、
そうなるともう自分が見ているものが何なのかよく分からなくなってくる、という感じ。

俺としては、言葉遊びの要素がない、ノアの箱船の話とか、辛抱さんの話とかの方が好きだった。
特にノアの箱船は、小林さんにはない下品さがあってそこが良かった。
でも、ノアが作った「箱船」がどんなものなのか、どの程度の規模で、他にどんな施設があって、全部で何人くらいのがさつな人たちが居るのか、はっきりとイメージできないのが残念。
山口晃の絵みたいなものが想像できたらいいなって思った。


まあ「第0回」なんだし、笑いがとれれば上出来かと思う。
言葉遊びは所詮入り口でしかないので、そのまた奥が問題であるところ、
今回は入り口止まりであったので、
後はアウェイ部ならではの独自の要素を加えて、奥が出来てくればもっといいと思う。

…まあ、そここそが難しいところなんだけどね。
c0030037_22102358.gif
[PR]

by k_penguin | 2011-01-10 01:56 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(7)  

シティボーイズミックスPRESENTS『10月突然大豆のごとく』

最初に言おう。

今回は大当たりだった!
よかったよかった。

そして、公演後半を選んでほんとによかった。
みんな一応台詞を覚えていたし、斉木しげるのやりたい放題もまあうまいこと処理されていたし。
今回は、ザ・ギースとラバーガールという若い人たちも加わり、初老のじいさん達の奮闘がより際だつ感じに。

「10月突然」いろんな変なことが起こる。
という出だしから、後はあまりそれとは関係なくいろんなコントが繰り出され、
斉木しげるははしゃぎ、大竹まことは怒鳴って頭上で扇風機を回し、きたろうは猫カフェコントをしてドヤ顔をし、大豆は結局出てこない。と。

特に印象に残ってるのは、「重厚な芝居」と、「chorus」でぜえぜえ言ってうずくまる大竹まことかなあ。
あとラバーガール大水の「山手線の中の人」。

もう毎年は出来なさそうな感じだけど、
また観たいなあ。



シティボーイズミックス presents 10月突然大豆のごとく [DVD]
[PR]

by k_penguin | 2010-10-25 12:51 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)  

小林賢太郎演劇作品『ロールシャッハ』 (KKP#7『Rorschach』)

KKPも7作品目。前回の『トライアンフ』が学芸会レベルの酷さだったせいか、小林賢太郎絡みなのに今回はe+が2次プレまであった。
小林賢太郎も公式HPで作品の内容を少し紹介する、という彼としては珍しいサービスを行った(今考えてみれば、あまり合致してない内容紹介だったが)。
そんなだからチケットがだぶついているのかというと、そんなことはなく、本多劇場はいつもと変わらず大入り満員であった。
…いや、少し違う雰囲気がした。
客同士の会話や、劇場の係員とのやりとりから察するに、初めて本多に来たらしい客が散見されるのだ。
…恐るべしテレビ!BSでしか放送されてないのに!

さて、フライヤーを取り出してみると、全体的に
 
c0030037_15293645.jpg

していた。
そのときは読まなかったが、後でフライヤーに書かれた英文を読むと、ストーリーがオチまで含め、全部書かれていた。

今回はそんな作品。

設定も、ストーリーも全体的に、
 
c0030037_15293645.jpg

している。
だから盛り上がりどころが分からない。
2時間10分の作品だが、ようやく話が始まるのは90分ほど経ったとき、3人が「肩書き」を貰ってからといっていい。
それまで何をやっているかというと、
『トライアンフ』の夏歩香があと3人増えてみんなで学芸会と会社の宴会の出し物をあわせたようなことをやってる。
「こーゆーことやっときゃ客は笑うだろう」ということをそつなくやっているのでそこそこ笑える(キャラが固まってる久ヶ沢徹はやはり強い)が、別にテレビの深夜バラエティでも同じくらい笑えるので、特に劇場に行く価値はない。

…これでは金を払って下北沢まで来た甲斐がない。
自分なりに話を詰め
 
c0030037_15293645.jpg

しているあたりをクリアにして、少しは作者の心情に触れたいものだ。

と、いうわけで、「深読み」に入る。

良いことは書いてないYO
[PR]

by k_penguin | 2010-10-16 15:34 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(60)  

NODA・MAP 第15回公演『ザ・キャラクター』

e+から「買ったチケット発券しろよ」メールが来たので気がついたが、俺はなぜかNODA・MAPを予約していたらしい。
NODA・MAPは『ロープ』『キル』を見てどちらもイマイチだったので、もう相性が悪いものと諦めたつもりだったが、何を考えていたんだろう。俺よ。
古田新太が出てるから、笑えることを期待してたのかなあ、なんて首をひねりながら劇場に。

近くの席に、制服姿の高校生の男女がいた。
高校生って、珍しいな、と思いつつ、その会話を聞くともなしに聞いていた。
男の方が誘ったらしく、女は「野田さんって女の人なの?」などと尋ねていた。野田秀樹が今回は女役だからであろう。
男はものすごい早口で、どうでもいい話をまくし立てていた。ぼーっと聞いていた俺は、
最近の子は、「女の子」といわず「女子」ということに気がついた。

それはともかく、開幕。

カルト宗教化している町の小さな書道教室(教祖・家元:古田新太)に、「弟」を探して姉のマドロミ(宮沢りえ)が潜入する。
そんなこんなで、ギリシャ神話の話と絡ませながら、地下鉄サリン事件を意識した結末に向かい、
どとーのごつ話は雪崩れ込んでいくのであった・・・!
っつー話。

「家元」「会計」「新人」と、その人の地位が墨書きされているひびのこずえの衣装は見て楽しいし、水を垂らすと墨のように黒く変色するシートを使って書を書きまくる舞台は迫力がある。
そして、俳優がみんな役にはまっていてすばらしい!
古田新太や橋爪功はもちろんだが、藤井隆も良かった。
そんなわけで、見るとこたくさんあるし、例のごとくテンポの良い野田節と、「俤の中に弟がいる」「魂の中に鬼がいる」などの漢字にちなんだ、ちょっと文学っぽい(or演劇っぽい)かっけーフレーズ満載で、
とにかく飽きない2時間15分ではあった。
最後は泣けたし、終わって、見て良かったという気分になれた。

ただ、情報量が多すぎて、頭いたい。

そして、ふと思ったのだが、これって一連のオウム事件をあまり記憶していない人達にとって、どーなんかなーってこと。

俺はオウム事件のころ、今以上にテレビとなじみのない環境にあった。
ネットはまだ無く、情報は主に新聞から入れていたので、映像のインパクトが強くても事件としては重大性のないニュース、例えば麻原の選挙運動の様子などはほとんど記憶していない。
劇中では、(おそらく)当時のワイドショーで良く流されたオウム関係の映像に似せたシーンや映像が多くあり、
そのシーンに心当たりがある人にはかなりのインパクトが与えられると思うのだが、
心当たりがない人にとっては、ふつーの「カルト宗教ものの話」にしか見えないと思う。

そして、個人的に気になったのは、
ラストで、マドロミの弟が「サイレンから逃れるために」ギリシャ神話に逃れる、と説明されたことだ。
マドロミの弟はジャーナリストとして潜入した書道教室で逆に狂信者になってしまう。
マドロミも書道教室に潜入するが、こちらは洗脳の危険を乗り越える。
2人を分けたものがどこにあったかといえば「逃れたいサイレン」の有無しかない。
そして、マドロミの弟を追うのはマドロミその人である。
つまり、マドロミの弟は、姉の拘束から逃れたいがために宗教に走ったということになるのではなかろうか。
ラスト、マドロミは、弟の背中に書かれた「幻」という字に斬りつけるように一筆加え「幼」にして、お前の考えは幼いと断ずるのであるが、

 自分で拘束しておいて、幼いって突きはなされてもなー
・・・って思ったのだった。


その一方で、マドロミの弟が「筆で世界を変えようとする」ジャーナリストであり、書道教室がまさに「筆で世界を変える」宗教団体であること、マドロミには実は弟はいないかも知れないとの示唆があることからすれば、
この話は言葉の力を盲信するものが陥る独善の罠への警鐘とも読める。
そうであるなら、ラストは納得できる。

と、言うわけで、オウム的な話と見ると、インパクトはあるが疑問が残り、
言葉の力の話とすると、うまくできてはいるが、抽象的に過ぎてしんどい。
ということになろうか。


ちなみに、終演後、高校生男女の方を見たら、「女子」は途中で帰ってしまっていた。
男子は、曖昧な半笑いの表情だった。

・・・がんばれ男子。お前は悪くないぞ!多分。
[PR]

by k_penguin | 2010-07-28 23:31 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(6)  

NYLON100℃ 『2番目、或いは3番目』

今回のナイロンは初めはパスしようと思っていた。
でも、新聞に『神様とその他の変種』と同じくらい良いと書いてあったので、急遽、行くことにした。
『神様とその他の変種』はかっこよくて好きだった。

で、今回は結論から言って、そこまで良くはないと思った。
まあ、大倉弘二と犬山イヌコが出れば十分笑えるのは保証されているし、その保証は裏切られなかったので気分良く本多劇場を出られたのだが、
なんか話が平板な感じがして、テーマに入りこむとっかかりがないままに話が終わってしまった感じがした。
開始から1時間30分ほど経った1幕の最後の方には、横と前の席の客が船をこぎ始めていたから、多分そう思ったのは俺だけではないのだろう。
白くてうにゅろうにゅろしたでっかい変な動物が出てくるんだけど、こいつが何を体現したものなのかも感覚的にもよくつかめないままだった。

後から考えてみると、
娘の記憶にとらわれているダーラ(峯村リエ)や、自分の不幸な記憶から逃れるために他人の不幸にどん欲なフラスカ(緒川たまき)から、好きな人をつい死んだ女房の名前で呼んでしまうヤートンさん(三宅弘城)、「デリカシーのある」惚れっぽい会長さん(マギー)まで(1度は声に出して言ってみよう「ガルゴロジム・ドントローフ」)
みんな「思い出」をキーワードに動いている。
そして、今は廃墟と化し、椎名誠の近未来SF的な怪し怪しの動物たちが跋扈しているらしい、昔は賑わったアーケード街だった街。
つまりこれは「思い出」をテーマにすえた話で、そう考えた上で思い返してみるといろいろしみじみしたりするし、
白にゅろにゅろも何となくこの町の「思い」的なものなのだな、だから政府の男(喜安浩平)がナイフで殺したのだな、と合点がいくし、
ラストの、この街も思い出に変わっていくシーンももっと味わい深くなるのだけど。
(いつもながらセットに映像を投影する手法が美しい)

で、その上で気になるのが、唯一「思い出」を拒否して生きているジョゼッペ(小出恵介)の今後や(多分「政府」の人間としてやっていくのだろうけど)、彼を殺そうとして思いとどまるトビーアス(伊予顕二)の心中だったりする。
…つか、あれで殺すの思いとどまるかなあ?ふつー。
単にジョゼッペに勝てそうにないから引き下がったみたいに見えたんだよね。
今から考えると、この辺、もう少し説明が欲しかったかなあ。


細かいけど、政府の男のドナー契約書に署名させようとするやり方はあまり「政府」っぽくないなあ、なんてことが気になったりした。
政府なら別に騙して契約させる必要ないじゃん?
強制的に契約させるか契約したものとみなす法律でも作れば良いんだから。NHKの受信契約みたくさあ。

…まあおもしろけりゃ何でもいーけど。

と、ゆーわけで今回の収穫は、

 ガルゴロジム・ドントローフと連呼すると楽しくなってくるよ。

…でした。
[PR]

by k_penguin | 2010-07-12 23:06 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(2)  

シティボーイズのFilm noir ~トーク祭り~

毎年GW頃にライブをやるシティボーイズだが、今年は諸事情で10月に延期になったとかで、5月に何もないというのも寂しいから、ということでこのイベントとなったらしい。
シティボーイズが絡んだ短編映画を見ては、合間になんかしゃべる、という感じで進行するんだそうで、
それって面白いのかなー、やっつけで片付けるつもりじゃないかなー、と不安に思ったものの、今年も5月はあのおじさん達を見るつもりでいたので、やっぱりチケットを取ってしまったのだった。

会場のゆうぽうとホールはなんかファンの集いみたいなゆるい雰囲気だった。
始まるという放送があってBGMが変わってから3分近く照明が落ちなくて、やっと落ちたかと思えば斉木しげるの肺活量自慢が始まって、
 …あー、いつもの感じでやるんだなー…
と思った。

以下、作品を上映順に。

「俺の切腹」監督:沖田修一
切腹を命じられた侍が自分の辞世の句に悩む話。
周りはみんな勝手なアドバイス。結局できた句は・・・。
監督は『南極料理人』の監督。主演夙川アトム。

監督が会場にいないとのことで、みんな言いたい放題のことをいう。
でも、侍の女房の朝ご飯の作り方がなっていないのは俺も気になっていた(御飯を炊いている最中に釜の蓋を2度も開けるな!)。

「遠き少年の日々」監督:福田雄一
シティボーイズが好きな監督が作ったシティボーイズのための作品。
哀愁漂うサラリーマン風の男(もちろんきたろう)は、多摩川の河原で「水切り教室」を開いている。生徒は元外資系だがリーマンショックで暇になった初老の男(もちろん大竹まこと)ただ1人。
そんな水切り教室を追うドキュメント番組という体。
いろいろな困難を乗り越え、続けられる水切り教室だが、そこに破天荒な水切りの「道場破り」が現れる!(もちろん斉木しげるだ!)
監督はTVドラマ『プロゴルファー花』の脚本、演出の人。

シティボーイズのコントを映像化したみたいな作品。
大竹まことが「舞台の笑いは映像で成立するのかしないのか?」といったことでしばらく悩む。
きたろうが「そういうことはお客さんの方が知ってるよ。・・・どっちだっていいっていうか。」


「ドキュメント中村有志」監督:きたろう
おまけの作品だそうで、きたろうが作ったきたろうが生で声をあてる、中村有志の生態にせまる意図がよく分からない作品。
撮影もきたろうなので、アップがやたら多く、周囲の状況がよく分からない映像が多かった。

中村有志は家庭の撮影を拒否したため、その驚くべき真実については、ドキュメントよりもその後のトークでいろいろセキララに明かされる!


「ダーク オン ダーク」監督:大竹まこと
Pカップの乳デカ女(風子。数年前に深夜バラエティで有吉弘行と大島美幸相手に堂々と振る舞っていたのを覚えている)やデブのオカマをつれて商売をやっている男(大竹まこと)の日常を描くストーリーらしいストーリーのない作品。

俺はこの作品が一番気に入った。
観客一般には「俺の切腹」が一番うけていたようだったが。
大竹まことが言うには、ダメな奴にもいろいろあって、その中でもこの類の「ダメ」
が描きたかったそうで、それをうけてきたろうが
「死んじゃったたこ八郎さんがゴールデン街でよく飲んだくれていて、そんなたこさんに酔ったサラリーマンが、『俺も飲んでばっかりいるんだよ』っていったら、ものすごい怖い眼して、『おまえとは違うんだ』っていったよ。」
という話をした。


全体的に観客が優しい雰囲気でウケが良かったせいか、最初予想していたよりも作品は面白いと思った。
大竹まことの作品は、上映後、きたろうが作品の分からないところを遠慮無く質問していたので理解が助かったし。
シティボーイズ好きなら楽しめる内容だった。
特に好きじゃない人が見たら・・・うーん、どーなのかなー・・・?

〆は斉木しげるの「ふわダンス」と中村有志のちんこパフォーマンスだよ。


シティボーイズのFilm noir [DVD]
[PR]

by k_penguin | 2010-05-16 00:07 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)  

Piper 『THE LEFT STUFF』

『ひーはー』『ペントラーペントラーペントラー』と似たパターンの舞台が続いたPiperの今回は、「かつてない観客参加型コメディ」だそうだ。
参加型と言っても、たいしたものではないだろうと高をくくっていたら、出演者の相武紗季がTVで、ストーリー展開をどうするかを客の多数決で決めたりするのだと言っていて、かなり本格的な感じなので驚いた。

本多劇場の白衣を着たスタッフが説明するところによると(大王の芝居はロビーからもう作品世界に入っている)、NEOという組織の行う「実験」に観客は参加してもらうのだそうで、実験を承諾する観客は舞台の上に置かれたボードに署名をするのだそうだ。
実験内容を知らされていないのに承諾も何もないが、本多劇場の舞台に立つ機会はそう無いのであがらせてもらって署名した。

署名すると参加気分が盛り上がる。何が起こるんだろう?
やがて出てきた司会進行役の大王によると、これから登場する7人のうちから、未知の海底資源を調査するための調査員を1人選ぶそうで、そのための「実験」を客の協力の下で行うのだそうだ。
その調査員とやらにどのような能力が必要とされるのか、全く説明がされていないのが「?」だったが、始まってみれば何のことはない。
実験の名目で7人をいじり倒すだけの話なのだ。

実験内容の一部を客からのお題で決めたり(当然即興になる)、話の展開を二択で選んだりする。
ストーリー的にもアドリブが多いようで、扉の影で舞台を伺う大王がくすくす笑い出したりしていた。
ラストも2種類あって、無作為に選ばれた客と後藤ひろひとのじゃんけんで決めていた。

More
[PR]

by k_penguin | 2010-04-16 22:01 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(6)  

LIVE POTSUNEN2010『SPOT』

小林賢太郎のソロライブもこれで4回目。
そして、今までの3回、俺はろくに誉めたことはなかった。特に前回の『DROP』はひどくて、虚しさを小手先の技術で誤魔化す器用貧乏といった体であった。

そんなわけで、今回は何一つ期待しないまま出かけた。
2階席だったけど、まあいーやって思った。


小林賢太郎ソロはラーメンズほどには人気はないと認識しているけれど、それでも東京グローブ座はほぼ満席だった。
客の男性率が前よりも上がっているような気がする。
フライヤーは相変わらずよくわかんない。
コバケン好みのブラックオンブラックの印刷だが、インクが変な匂い。
そんなわけでテンションもあがらないまま、舞台は始まった。

ライブポツネンはドミノ倒しみたいなものだ。
しかもドミノを並べる作業から見させられるドミノ倒し。
最初の方、つか大半は地味にドミノを並べているわけで、良く言えばミニマム、悪くいえば情報が薄い。
もはやコントだとは思っていないから、笑いどころがないのは別によいのだが(1階席から笑い声が立ちのぼっているのに、2階席は静か、ということがかなりあった。どうにもお追従笑いの客が多い)
見ているうちに眠くなってくる。
最後に向けて綿密な伏線が張られているので、物語を作る上にいろいろと目に見えない拘束があり、そのせいで情報が薄くなっているらしいと頭ではわかっているのだが。
 でも眠い。


今回のお題は「スポット」だが、スポットライトだけではなく、「すぽっ」という擬音とか、「ポット」とか、なんかちょっと苦しいものも出てきている。
また、1つ1つの技は今までとはさして変わっていない。アナグラムとか、謎の装置とか。
ハンドマイムなぞ、背景に流す映像が、手描きの一枚絵をなめ撮りしたものになっていて、技術的には後退している。

しかし、見ているうちに『DROP』とは違う気分になってきた。
・・・まあ、これはこれでいいじゃん。
と、いう気分になってきたのだ。
どの作品も一応「ないものを表現する」という方向で一致していて、全体的にまとまっている雰囲気をまとっている。

「(ないものをあるように)粧うこと」とか「(偽物が)本物のふりをすること」とかは小林賢太郎の十八番であったが、今までそれをこのように正面から肯定的にとらえたことはなかった。
この何気ない視点の変化が、何というか今までと同じなんだけど違う感じを漂わせている。
ちょうど、見慣れた小道具に当てるライトの方向を変えると、
何の意味もない影の形が象のシルエットに変わるように。


なんといってもミニマムにこぢんまりとやっているため作品自体の力がどうしても弱く、
観る方もなかなかテンションがあがらないし、相変わらずと言えば相変わらずの、なんか持って回った言い回しだしで、
今までと大きく違っているとは決していえないのだが、
とにかく俺としては
前と比べて良くなったということで、
今回は満足したのだった。

More
[PR]

by k_penguin | 2010-03-27 23:55 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(16)