カテゴリ:エンタ系( 175 )   

『バウドリーノ 上・下』   

夏休みの読書として、ウンベルト・エーコの新作(と言っても出たのはかなり前)を選んだ。

エーコは一般的には『薔薇の名前』の作者として知られていて、知的サスペンスものの作家と思う人もいるかもしれないが、記号論の学者であって、むしろ「あの(くそ難しい文章の)エーコが推理小説を書いた!しかも大ヒットてw」という印象だった。
だから彼の作品は、自分としては推理小説だとは思っておらず、記号論の実験小説だと思っている。
記号論とは、簡単にいうと、表現するものと表現されるものとの関係の研究である。
『薔薇の名前』でバスカビルのウィリアムが言った言葉に、たしか、
真実は虚構に影響を与え、虚構は真実に影響を与える。
といったものがあって、この言葉の後半部分、つまり虚構が真実に影響を与える部分が記号論である。
もっとも、今のこの部分を書くために、「薔薇の名前」を読み返してみたのだが、どうしてもこれに相当する部分を見つけることができなかった。

『バウドリーノ』においては、語り手のバウドリーノが最初から自分を嘘つきであると言い切ることで、この、虚構が真実に影響を与えることが作品のテーマに据えられている。
と同時に、歴史小説の面とファンタジーの面と、下巻に入れば推理小説の面も持ち合わせる盛りだくさんの小説である。
もっとも、「虚構が真実に影響を与える」という作品の因果律を心得ていれば、推理小説の謎はあっさり解けてしまうから、あまり面白くはない。要するに、考えすぎたあまり単純な事実を複雑化してしまうというオチなんだろーなー。と、予測できるからだ(『薔薇の名前』もそうだし)。
 
また、この話は西欧的な構造とテーマを持っている。バウドリーノは嘘つきである自分を自嘲し、神とは何かにこだわり、世界の構造にこだわる。
神やイエスに関する様々な学説が登場し、でもどんなに東の最果ての地まで行っても、原住民の信仰には必ずイエスが登場して、仏陀とかは登場しない。
日本人の自分としては「別にどーでもいーじゃんよ」という悩みに見える。
いや、神にこだわるのはまだわかる。神は権力の正当化の淵源であって、神聖ローマ皇帝フリードリヒの権力を正当化してあげるために、バウドリーノは司祭ヨハネの王国という自分で作り出した嘘の国を探すことになったのだから。権力には力だけではなく、正当性も必要なのだ。
しかし、これまた日本人としては、「正当性ほしけりゃ京の帝に一筆書いてもらえばいーじゃん」程度のもんで、京都の帝に一筆もらえなかったからっつって、どっか遠い外国に「帝」が居れば都合が良いのに、とかは考えない。
そう思うと、「天皇家」以外に正当性の淵源を求めることを自然と避けてきた日本は、やはり表徴の帝国であって、記号的に正しかった、というか、大規模な戦争が嫌いだったのかもしれない。正当性が2つ以上あると、ジェノサイドは避けられないからね。

そして、この物語は、バウドリーノがニケタスに語り、さらにそれがパフヌティウスに語られるという三重構造をとっている(エーコも入れれば四重構造)。
そして、語り部が語るとき、そこには必ず語り部によって嘘が含められる、ということがこの物語の因果律である。
どの部分が誰による嘘なのか。パフヌティウスがフリードリヒ殺人事件の真相を解いたことはどう影響するのか。
そう思うと、まじめに取り組むほどはぐらかされる様な気分になってくる。

そんなわけで、一般日本人読者としては、この話はむしろなーんも考えんと、
バウドリーノという、ついた嘘がなぜか真実になってしまう男の人生の物語として楽しむのが正解なんじゃないかなー、と思う。それだけでも十分楽しめるし。
神とか世界とか、よくわかんないけど、自分の生活が守れるんなら嘘でもよくね?
でも、さらに考えてみれば、
そう思う人たちのためにバウドリーノは嘘をついてきたんだよね。彼の嘘は他人を喜ばせるための嘘が多いから。
バウドリーノは最後、真実の愛のために帰らぬ旅に出る。男が生きて行くには、やっぱり真実が必要なのか、それとも、「真実」という名のロマンが必要なのか。

考えれば考えるほど謎めくけど、考えなくてもオケな万能タイプの物語。
関係ないけど、雌牛のロジーナの存在感が良かった。


バウドリーノ(上)
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by k_penguin | 2013-09-02 00:03 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

『森のレシオ』メモ   

NHKプチプチアニメの「森のレシオ」が好きなんだけど、いつやるのかよくわかんなくて、第二話の「ほこらのふしぎ」がいつまでたっても録画できないので、ネットで調べて、ここにメモる。
作者(村田朋泰)のHP情報からして、次回はおそらく11月。

このアニメは、マテリアルがすばらしい!
質感を損なわないために、ブルーレイ画質で録画しなければならないが。

同じ作者によるもの。




「森のレシオ」は、言葉をしゃべらないので話がよくわからないんだが、話を順番に見ていくと謎が明かされていく部分もある。


第一話「レシオとジャモン」
女の子のレシオと妖精かトロールの類いのジャモンは、光るコンペイトウを生成して森の妖精にお供えし、その恵みを受ける仕事をしているらしい。

第二話「ほこらのふしぎ」
レシオ達は光るコンペイトウを生成するのがおつとめなのだが、ときには良くないものが出来てしまうときもある。
そういうものをお祓いするのもレシオのおつとめの1つ。

第三話「光のいせき」(最近は「こおりのいせき」となっている場合あり) 
光の橋をスケートで滑り抜け、レシオ達は不思議な氷の遺跡へ。

第四話「ちょうちょと青い泉」
レシオが枯れかけた大樹の根元に光るコンペイトウをお供えすると、大樹の魂は蝶になる。
魂達は青く光る泉に集まる。そこにはうさぎを被った妖精(おそらく賢者)が居る。なお第1話に出た妖精達も居る。その場所は多分レシオ達が居る世界とは別次元の世界なのだろう。

第五話「こうかんトリ」
レシオ達とこうかんトリの商談。レシオは鍵を集めている。

ちなみにこのトリがほぼ唯一の声を出すキャラ。

第六話「ゆりかごの木」
泉のほとりのウサギ妖精によって、レシオの過去が明かされる。レシオは両親の顔を知る。
泉のほとりに行くとき必要な鍵は、こうかんトリから得たものかもしれない。
 
第七話「つららの音色」
日本の東北のような暮らしをしているアライグマたちに頼まれ、大きなつららを戸口の前からどける手伝いをするレシオ。
光の粒がつららに当たって出る音にあわせて、レシオが炭琴をたたくと、つららは光の粉になる。
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by k_penguin | 2013-08-26 23:18 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

小林賢太郎テレビ5 の2(マルポ便)   

KKTV5については、以前にもう書いたんだけど、重要な作品であるマルポ便については書いてなかった。
 なんでかっていうと、明らかに『うるう』と同じテーマを扱っているであろうと思われたから、自分的にしんどかったから避けたのだ。
『うるう』については、このブログに記事がいくつかあるから、詳しくはそれを見てもらうとして、まあ、自分としては、あれは息子のことを扱ったのだ、と、婉曲的に主張していて、で、あの作品はソフト化されなかったから、今やその当否について誰も検証できない、という状況の訳で、
そんな状態だから、多分ソフト化されるであろうマルポ便について、おさらいの意味も込めて、1度ちゃんと書いておきたいな、と思ったのだった。
最近ようやく休みがとれたので、あらためて録画を見て、書いてみる。

長いよ
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by k_penguin | 2013-08-15 00:42 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

瀬戸内国際芸術祭2013(ただし会期外)   

瀬戸内トリエンナーレ2013に行ってきた。
会期中に行けるかどうか、予定の見通しがたたなかったので、とにかく行けるうちに、と思って仕事を人に押しつけて、無理矢理行ってきた。
前回2010年に行ったとき回りきれなかったところを中心に、直島(約1時間)、宇野、豊島、犬島の2泊3日。
高松空港は一足早く、夏会期用の青い旗のポスター。
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海には、アカクラゲがいっぱいいた。
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直島
南寺、ANDO MUSEUM。
家プロジェクトでは、南寺ときんざを見ていなかった。前回は会期中で、人大杉だったからだ。
今回もきんざはダメだったが(鑑賞が1度に1人なんだもんなー)、南寺は待たずに入れた。
タレルの作品だったが、地中美術館のやつの方が仕掛けが大がかりだったな、と思った。
他の家プロジェクトでは、角屋が好き。
ANDO MUSEUMは今年開館。家プロジェクトではないので、別料金だよ。
ベネッセがらみの作品中心に紹介されている。地下の瞑想部屋が面白かった。
安藤忠雄の仕事を知るという点では、以前乃木坂「間」でやった展覧会の方が情報量は多い。

宇野
前回もちょびっと参加していたのだったが、トリエンナーレは香川県主導のイベントであるため、あまり目立たなかった宇野(岡山県)。
今回はあやかるぞってことで、ねじこんできたらしい。
芸術祭オフィシャルショップもある。
アラーキーの写真が町のあちこちに貼ってあるけど、なんか、ひなびた地方の港町の風情と妙にマッチしてるんだよね。
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白井美穂
公式ガイドブックによれば、「宇野駅前の6体の動物たちが、変装して、芸術祭の来訪者を待ち受ける」
うーん・・・


豊島
豊島美術館、かがみ-青への想い、ストームハウス、トムナフーリ他
前回、豊島美術館の開館直後だったため、15分の入場制限をされ、たんのーできなかったので、今回の主目的の1つはそのリベンジなのであった。
客の人数が少ないと、美術館内の音の反響のすごさがわかる。
サングラスをたたんだら、その音が響き渡ったのにはびっくり。
おっちゃん達の団体なんて、入ってきただけでおそろしい騒ぎになる。
外の鳥の声も、中の人も、ひとしくその存在が響き渡るし、床を転がる水滴は、風向きが変わると微妙にその動きに変化が起きる。
いやー、すごいなー。

今回の目的のうちには、トムナフーリの近くに生息するサワガニを捕まえること。も、あったのだが、空梅雨のせいで、あまり出てきていなかった。
でも、よく見ると。
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そして、トムナフーリ近くの民宿に泊まり、夜のトムナフーリを見に行く。
ぼんやり光っているトムナフーリを見るなら昼より絶対夜なのだ。
ただし、1人では行けない。作品に至る山道に明かりはないし急勾配だし、何が出てくるかわからんし。
宿の他の宿泊者達とかたまって懐中電灯をもって見に行く。
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ウシガエルが鳴くなか、光るトムナフーリ。
こ-ゆ-もんを作っちゃうっていうのがすごいな~って思った。

あと、暗闇でぼんやり光る系って、多くね?

唐櫃岡地区では、ピピロッティ・リストが新しく作品設置したんだけど、
以外と面白くなかった。
Motにある作品はもっと面白かったのになあ。
蔵の中という場所を生かせていないように思う。

「甲生地区は、今は会期外なんだけど、作品は置いてあるから鏡の船を見てけば?」
と、民宿のおっちゃんが言うので、連れて行ってもらった。
かがみの船は海の景色も映り込む。
とても繊細で、ぶつかってすぐに欠けてしまうんだそうで、実際一部欠けていた。海藻やフジツボみたいなもんも下の方にいっぱい着いていて
「夏会期までに直さにゃならん。」
と、おっちゃん。
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犬島
家プロジェクトの展示が全部模様替えしたので見に行く。
もちろん精錬所美術館も。
俺の1番の好みはやっぱりこの犬島だなあ。

野バラが点々と咲いている。
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家プロジェクトは2つギャラリーが増え、島巡りの範囲が広くなった。
案内板には「A邸」とかしか書いてないから、どこを見たのかちゃんとチェックしておかないと、同じところを2回見に行く羽目になったりするよ。
あと、思うんだけど名和晃平のオブジェって、よく吾妻ひでおに出てくるよね。

以上、今回のトリエンナーレでした。
新しい展示にぱっとしたのが少ないように思うんだけど、
多分メインは夏会期に披露されるんだと思う。
島の皆さんも
夏の繁忙期目指して、がんばるぞーっ!
って感じだった。


美術手帖 2013年 03月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2013 公式ガイドブック アートをめぐる旅 完全版 春 [雑誌]
通常の美術手帖と同じ大きさなので、扱いづらいところがある。
多分そのうち大判の夏用公式ガイドブックが出ると思う。
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by k_penguin | 2013-06-11 23:54 | エンタ系 | Trackback | Comments(6)

小林賢太郎テレビ5   

エントリはたてたけど、そんなに感想は無いです。
最近は仕事が忙しい上に、体調を崩していて、テレビ番組自体をあまり見られなくなっています。
時間がないというだけでなく、テレビを見るという作業が目や身体に負担がかかる作業であることを実感するようになってしまい、少し気に入らないとすぐにOFFってしまったり、気に入っても連続して長時間見られない(録画した1時間番組は2回に分けて見る)、という具合です。15分番組なら1度で見られるので、Eテレを愛用しております。

さて、KKTV5ですが、最近小林さんから遠ざかっていたので、何か新鮮な気持ちで見始めたのですが、すぐに、小林さんの作品は「ながら見」に向いていなくて、ちゃんと見なくてはいけなくて負担がかかることを思い出しました。
わざとらしい小芝居風の独特の言い回しがさらに強くなっていて、なれるまで時間がかかり、最初の15分を3回に分けて見る羽目になりましたが、慣れれば残りはすんなり見ることが出来ました。
で、「このネタ「デザインあ」で見たのと同じ」とか、「「シャキーン」で見た」とかは禁止だったな、というのも思い出しました(自分的に「○○のパクリ」というのは批判として禁じ手としています。あれはこちらの意図と無関係に強引に決め技になってしまいます)。
忍者ネタとか、作ってる方は面白いだろうけど、見てる方にそれが伝わらなくて、同じことをだらだらやっている感じがしてしまうなってコントが多いです。お題コントにそれがはっきり出ていたように思います。
どうやって無重力の表現をしているんだろう、とか、見てる側はあまり気にしないものです。CGなどを使わないことにこだわっていることはわかりますが、そのこだわりに何の意味があるのかがわからない。
作り手的には、こだわることにこそ意味があって、そのこだわりに意味が無ければ無いほどコーフンするものなんですが。それはわかってはいるんですが。

全体的な印象としては、まさに「うそつき君、絶好調」という感じでした。
周囲の人たちに良い感じに配慮してもらって、操作してもらえれば、僕、うまくやれるよ。てな感じ。

「マルポ便」について最後に残しました。あの作品が現在の心のお天気模様を示しているのは間違いないのですが、「座敷わらし」の存在がちょっと重くてしんどいせいもあって、あまり読んでいません。
メモとしては、番組導入部より、大泉さんは小林さんと同一人物と読むべきであろうこと、マルポ便の仕事仲間の妖怪は、公式HPで毛虫だといってるので、Dropの毛虫と考えて良いであろうこと、当然宅配便の仕事はツアーのことだということ。
あとはP+見てから考えた方が良いんじゃないこと思って、保留にしています。
なお、新しいアイテムとして、「牛」がでてきました。

あ、音楽にところどころペンギンカフェ・オーケストラが使われていて、嬉しかったです。
私が着メロにしている「Telephone and Rubber Band」も使われていました。



ペンギン・カフェ・オーケストラ-ベスト-




NHK DVD 小林賢太郎テレビ 4・5
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by k_penguin | 2013-06-01 19:53 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

デザインあ展・「テクネ 映像の教室」展   

デザインあ展。
21_21DESIGN SIGHT。
デザインあ展は、休日は入場制限がかかるほど混んでいるとのことなので、
無理矢理平日昼間に行く。
平日でも混んでいた。子供連れと若い友人同士が目立つ。
体験型の展示が多い上に、いろいろ楽しい。
若いおねーちゃんが、
「4時間はここに居られるわ、私。」と言っていた。
1000円であっこまでいろいろ遊べたら、そりゃ混むわ。

写真は撮ってない。
写真撮影可で、Twitterに投稿できるので、みんないっぱい撮ってるからだ。
会場の様子はそっちを見てね。

「テクネ 映像の教室」展 東京ミッドタウン・デザインハブ
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こちらは無料。
無料だけあって、内容は、TVとほとんど変わりない。
ただ、プロジェクションを使った井上涼のインスタレーション「マチルダ先輩」の新作が見られるのはすてき。



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by k_penguin | 2013-03-06 21:38 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

アノニマス・ライフ 名を明かさない生命   

ICCにて。
人間と無機物の境界をテーマにした展覧会。
ニンゲン側からアプローチしたものは、昔のやなぎみわの、制服嬢達の群像写真や、コスプレのスプツニ子!、義足を着替えて変身するパフォーマーの方のTEDでの弁論、そして、整形を繰り返し、その際切り取った肉体の一部から作品を作るオルランなど、身体張ってる方々。
無機物側からは、アンドロイド、リプリーQ2と美容師さんとの会話のパフォーマンス、CGの女性がただずーっとこっち見てる、《アエウム》など。
リプリーQ2は、写真で見るとさしてリアルに出来てないように思えるが、実物を見ていると、息遣いや身体の微妙な傾きが妙にリアルで、不意にこっちを振り向くんじゃないかと、ぞっとするくらい。美容師さんとの会話も、美容院での、「多少かみ合ってなくても、その場が会話でうまればいいや」的特徴を踏まえれば十分成立する範囲。美容院という設定が秀逸。

 以前3DCGで人間の動画を作ったときに思ったのだが、
じっと動かないシーンで、生きてるかのようなリアルさを出すのってビミョーな難しさがある。動いてるうちは何とかなっているのだが、静止画で代替できそうな動かないシーンでは急にお人形のように見えてしまったりするのだ。
お人形に生気を漂わすにも、動かすことしかこちらは手段を持っていないので、瞬きや呼吸時の肩の上下の動きを加えるわけだが、それもなんだかわざとらしいのだ。
生身の人間の動画を見るときは、普通の状態では瞬きや呼吸による動きが気になることはないのに、3Dの場合は妙に気になったりする。

しかしそれは、もしかして”生きてる様に見せる=動かす”っていう先入観がこちらにあるからで、そんなこと気にしない純粋のお客さんには気にならないのかもしれない。
「生き生きとした女の子」の静止画をその女の子の動画の間に挟むと、どうしても「固まって」見える。それは見る側が「動いている状態」になれてしまっているからで、「生きてる」と感じることは見る側の問題でもあるのだ。
お人形を見るとき無意識のうちにその中に自分自身を見ているのかもしれない。

などとしみじみ考えながら見た。

並行して開催中の
「オープンスペース2012」展については既に記事書いたけど、
前行ったときは見られなかった無響室の《moids 2.2.1――創発する音響構造》が体験できて良かった。

500円(HP上の割引券で400円)でこれだけ体験できるのは、お得だなあ。
と、ICCに行く度にしみじみ思う。
まあ、単に自分の好みに合ってるというだけなんだろうけどね。
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by k_penguin | 2013-02-09 17:50 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

アートと音楽 & 風が吹けば桶屋が儲かる 展   

Motにて。

アートと音楽

"坂本龍一総合アドバイザー"というのは、単に名前を借りただけではなさそうだ。
Eテレの「スコラ・音楽の学校」を見たことがある方なら何となくわかると思うが、坂本龍一が好みそうな、音符を使わない系の音楽とかサウンドとかノイズとか、聞いて心地よいものからそうでないものまでいろいろ。
1100円とる割には展示数が少ないような気もするが、「音楽」がテーマだけあって、1つの鑑賞に時間がかかったりするのが多く、一回りするのに結構時間はかかる。
しかも、「音符を使わない系」のやつだから、聞いていてどこが盛り上がりどこなのか、いや、盛り上がるとこがあるのかすらよくわからない。
どのへんで鑑賞を切り上げるのか、見極めが大事。
そういう点では、最初の作品、水に流れるお椀がぶつかるインスタレーションのセレスト・ブルシエ=ムジュノの「クリナメン」はわかりやすいからいい(以前ICCで見たことがある作品だったが、何度見ても飽きないなあ)。

美術館エントランスにある「1分ごとに捧げるベル」は、毎時正時が盛り上がりどこ。
八木良太の氷のレコードは以前、めちゃくちゃ暑い夏の日に原美術館でリアル鑑賞したことがある。ぼうっとする暑さの中、みんな息を詰めて氷のレコード盤が溶けていくのを見つめていた。今は寒いから、あのときよりももっと長い時間レコードが溶けないでいると思うけど、暑いときの方がありがたみがある様な気がする・・・。
ちなみに今回は1日に2回実演するらしい。午後1時と3時。
同室にある木のレコードの方は、音は音楽みたいできれいなんだけど、年輪を読み取り、データに置き換えて音色を入れてるって点で、なんか本物じゃない感がある。アナログとでデジタルの違いなだけなんだけどね。



MOTアニュアル2012
Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる

田中功起っていわれてもわかんなかったけど、koki tanaka って書くと、
 あー、2355のプラスチックカップの。
って、わかる。
今回は、ハプニングっぽい作品が中心で、田中功起なんか、作品展示無し、という展示で、ただ暗い部屋なだけだった。
 と思ったら、係員が電気をつけていった。
館内のどこかで「誰かがうっかりして電気を消してしまう」という森田浩彰の作品はここだったわけだ。
 なお、森田浩彰の作品が入っているゴミ箱にはちゃんと「ここにゴミを入れないでください」と書かれていた。
 まあ、やっぱゴミ入れられちゃ困るよね。


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ラスト、ヤノベケンジ+ビートたけしの作品。
マンガっぽいけど精緻なヤノベケンジの形と、たけしのはりぼて感がちゃんと融合している。
毎時30分に、そこいらに水をはね散らかす。
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by k_penguin | 2013-01-26 23:03 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

会田誠展:天才でごめんなさい   

今年最後の記事は、森美術館の会田誠展
かなり疲れてたんだけど、いろいろむかつくことがあったから、すかっとしたいと思って行った。なお、会田誠は個展で見たことはまだ無かった。

で、結論から言って、すかっとするのもあったけど、モヤるのもあって、総合して、とんとんかな。
1500円じゃなくて、1000円だったら満足してたかも。便所の落書きみたいな作品(抽象的な比喩ではない)を見せられた瞬間に、窓口で差し出した千円札2枚が頭よぎっちゃうんだよな~。これがワタリウムだったらむかつかなかっただろうに。(もちろんミズマアートギャラリーでもね)
森美術館のキャパの大きさとお値段の高さに作品が必ずしも釣り合ってないって気がした。
森美術館はも少し作品がたまってからの方がいいんじゃないの?って思ったけど、会田さん、20周年なんだよね~。

『ジューサーミキサー』みたいな、何度見ても「すごい!」って思える作品がいくつかあるし、映像作品も面白いのあるし(自殺未遂マシーンは好き。もちろんビン・ラディンのも)、行って損したとは思わない。

で、この人は思いついたらすぐ作っちゃう人なんだなって言うのもわかった。『スペースウンコ』とか、思いついても絶対作んないけどな、ふつー。
思いついたら作るというのは、大事なことなんだけど、往々にして出来たものがただの、「最初にやったもん勝ち」で、かつ、「出落ち」である場合も多くて、そういうの作ってから何年かたってから見せられてもなって思う。
そのかわり、そーゆー作業繰り返しているせいか、印象で物事を把握することがとっても上手だと思った。戦争画RETURNSのシリーズもそーゆー感じで見ると、最後の爆発の絵が何となく納得。

新作が数点あったけど、どれも面白い。Twitter使ったやつとかスカッとしたし、電信柱とカラスのやつも好き。『大山椒魚』と並んであると、加山又造っぽいと思う。

18禁部屋があることは知らなかった。『犬』シリーズとかいいなと思うもののあったけど、
疲れてるときにアレはちょっと負担が重かった。

会場内で興味を持ったのは、撮影化の作品の前にあった掲示。
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撮影ができる作品を設けるというのは近時よく見かけるけど、ネットに載せる際の注意まで記載したものを見たのは初めて。

せっかくだから撮影。
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なお、横の黒板には新宿御苑改造計画についてずっと書かれていて、
 今の状態はすべてが中途半端で、近隣住民の憩いの場にすぎない
ってアジっていたけど、
近隣住民の俺としては、あっこは憩いの場、兼、火災時の緊急避難場所なんだから
密林化して欲しくないです。
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by k_penguin | 2012-12-29 22:40 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)

にょたいか!! 世界の独裁者列伝   

独裁者を萌えキャラ化する、というものです。表紙は毛沢東。

にょたいか!! 世界の独裁者列伝 (MC☆あくしずMOOK)

で、読んでみました。
結構独裁者の紹介記事が長いですが、独裁者はおもしろい経歴の人が多いので、それほど苦にはなりません。
記事読んでからイラストみて、どの部分に着目したのかな~とか思うのもまた一興。
気合い入ってる絵師さんあり、あまりやる気のなさそうな絵師さんあり。
自分的にはピノチェトがいい感じだった。

個人的に気になったのは、トルクメニスタンのニヤゾフ大統領の
「砂漠にペンギンだけの動物園を建てる」というもので、
ペンギンが好きなのかと調べてみたら、
ペンギンは温暖化で絶滅しちゃうかもしれないので、必ず動物園に入れる。
と決定したというのが正しいようです。
んん~、でも、日本の動物園には大概ペンギンいますからねえ。大統領命令無くても。
そーいえば、ニヤゾフは「メロンの日」を作るくらいメロンが好きだったそうで、
とすると、北海道が彼好みってことになるのかな?
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by k_penguin | 2012-12-05 23:33 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)