カテゴリ:裁判(判決評)( 45 )

NHK受信契約の締結と受信者の承諾

原則
契約は、申し込みと承諾があって初めて成立する。

NHKのマイルールは、
NHKの対応窓口を受信料特別対策センターに変更する旨の通知をもって受信契約締結の申し込みをし、この通知がYに到達した日から2週間が経過した時点で受信契約が成立したとする。

第1審 横浜地裁相模原支部判H25.6.27
原則通り、NHKの申し込みだけでなく、Yの承諾が要る。
承諾を得るためには、NHKは裁判を起こし、放送法64条1項に基づいて、「Yは受信契約の申し込みを承諾せよ」という判決をとる。
その判決確定を条件として、Yは受信機設置の時点から受信料の支払い義務を負う(という判決もとる)。

第2審 東高判H25.10.30
NHKのマイルール採用

別事件
東高判H25.12.18
横浜地裁と同じ。この事件の第1審も同じ結論。

NHKはいちいち裁判するのはイヤだと思ってるのに対し、
裁判所はいちいち裁判してね、と言っている。
結局受信料を払うことになるという結論は変わらない。
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by k_penguin | 2013-12-19 00:13 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

婚外子の相続分規定違憲判決(最大判平成25年9月4日)

出るべくして出た判決であるが、問題も含む判決である。
非嫡出子(婚外子)の相続分が嫡出子の半分という民法900条4号ただし書きについては、以前から平等原則違反であるという見解が学説の主流になっており、その点では「違憲判断が遅すぎた」と文句をたれることも可能なのであるが、違憲判断をずっと控えてきたのにはそれなりの理由もある。
pdfで20ページあるこの判決のうちの約半分が平等原則違反について論じたものであるが、残り半分は、
 この違憲判決が出ても、婚外子の相続分を半分として処理済みになった今まで(平成13年7月以降)の紛争の効力は覆らないよ。
ということをずっと言ってるのだ。
この判決の扱う事件が、平成13年7月に相続があった事例であるため、民900条4号ただし書きが無効と判断されたのは、その時点である。それから今まで、無効のはずの規定に従って処理された相続は数多いであろうし、今だって民900条4号ただし書きは一応生きている。
それらの事件の処理をどうするのか、ということについて、何のガイドラインもないのだ。
立法で民900条4号ただし書きを処理していれば、こういう問題は起こらないので、できれば法改正で穏便に対処してもらいたかったのだろう。
しかし、安倍政権の元では法改正は望み薄なので、ついに強硬手段に出たわけだ。
議院定数不均衡も立法府ががちゃがちゃモメるだけで話をまとめようとしないから違憲判決が連発され、中には違憲無効判決まで出ているし、どうも立法府の無策が目立つ。
ついでに言えば、薬事法のネット販売規制だって、判決中で立法過程における議論がはっきりしてないことが指摘されていて、どうも政治部門の空騒ぎに最高裁は眉をひそめているご様子なのだ。

個別的効力説を採ったとしても、法令違憲判決は消極的立法作用の面が否定できない。婚外子が絡む相続というたくさんある事例に関わる法律はなるべく法令違憲は使いたくなかったのだろう。
今回だって、千葉勝美裁判官補足意見は
本件遡及効の判示は,いわゆる傍論(obiter dictum)ではなく,判旨(ratio decidendi)として扱うべきものである。

と言って、かなり強い調子で法的安定性を強調し、紛争の蒸し返しを防止しようとしている。

  とか言ってもねえ・・・。もっと取れるかもしれないとなったら、ラテン語で何言われよーが、みんな蒸し返すよね・・・。


平等原則違反については、さしていうことは無い。
法律婚の尊重という立法目的は正当であるが、目的達成手段としては、個人が尊重されるようになった現代においては最早合理性は認められない、という論法で、つまり、「本妻」と「妾」は法律婚の制度をとる以上相続分で差別しても良いけど、最早、「本妻の子供」と「妾の子供」で差別すべきではない、ひらたく言って、親の揉め事に子供を巻き込むんじゃない。ということだ。
 浮気の奨励であるとか、本妻をないがしろに!とか、おきまりの文句がネットに出回るだろうが、そういうこと書いてる方も流れ作業でやってるだけだと思う。
別に本気で、「妾の子の相続分が増えるから浮気しよう」っつー亭主がいるとか思う奴いねえし、民900条4号ただし書きを守ること自体が法律婚の尊重という目的と離れ、手段が目的化して政治の道具となっているだけだ。
 ただし、判例が変更された以上、今までとは考え方が変わったことも確かで、それは、法律婚という形の家族共同体と、事実婚としての家族共同体の差異が無くなってきている、ということだろう(岡部喜代子裁判官補足意見参照)。
法律婚自体は今も偉いけど、最早、非法律婚により形成された共同体に生まれた子供の権利を当然に制限するほどには偉くはないのだ。
男女のつながりの方式(結婚とか)と、それにより形成される共同体を別個に考える、ということが、今回の判決の言う「個人の尊重」なのだろうと思う。
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by k_penguin | 2013-09-05 20:43 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

前科は犯罪の証拠になるか(最判H24.9.7)

判決文(pdf)
ネットニュースでは「同種前科を犯罪認定に使うのは原則として許されない。」と、ざっくり伝えられているようだ。
これ自体は、刑事訴訟法をちょっとかじったことのある人は知っている、むしろ「常識」に類することなので、
「今さら最高裁がこんな当たり前のことを」と、なーんて言ったりもできる。
しかしそれは、「本にはそう書いてあるんだぜ」というドヤ顔の報告にすぎない。

そもそも、なぜ同種前科を犯罪認定に使うことは偏見であるとされるのか。
偶然見かけた見知らぬ方のツイートにこういうのがあった。
"検挙人数に対する再犯者率が年々増加しつつあり40%を越えている状況を考えると偏見とも言っていられないと思います。"
これは一般の感覚を表していて面白いと思う。
再犯率が40%を越えていれば、前科と犯罪の間には関連性が認められるといって良いだろう、という感覚は正常な感覚だ。噂話をする側としては。
しかし、それで人一人牢屋にぶち込むか否かを決めるにはちょっと軽いと言わざるをえない。
他にもいっぱい証拠があった上での話なら、まあ、それくらい混じっててもいいかなって気もするが、実際は2つ3つのしょぼい証拠しかなくて、ほぼ前科で判断せざるをえない状態だったりする。
この判決の事例もどうもその部類の様だ(つか、他に証拠あったら検察官も前科なんか出してこないし)。
裁く立場からすれば、「前にやってるんだから、今度のもそうだろう」というのは余りに無責任と言わざるをえない。「偏見」と言われる由縁だ。
裁判員裁判は、裁判への市民感覚の反映と言われるが、
市民感覚からすれば、基本的に犯罪は噂するものであって、自ら裁くものではない。
裁判員は評議にあたり、自らの「市民感覚」の修正を余儀なくされているはずだ。


次に、同種前科を犯罪認定に使うのは「原則として」許されない。のだから「例外」の話になる。
前科に係る犯罪事実が顕著な特徴を有し,かつ,それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから,それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって,初めて証拠として採用できる

というのが判決で、まあこれ自体はごもっともなのだが、具体的にどのような場合がこれに当たるのか、ということだ。
判決による限り、少なくとも今回の事案は「似てない」というのだから、今回の事案を見てみる。
と、これがなかなかビミョーなのだ。
事案は放火だ。放火というのは、火のつけかたに様々なものがあるので、同種前科による認定が可能な例としてよく上げられる。
前科は
窃盗を試みて欲するような金品が得られなかったことに対する鬱憤を解消するためになされたもので,いずれも灯油を撒布して行われたもの。11件。
ただし、金品が得られない場合でも放火してない場合もたくさんあるし、前科は17年前。
公訴事実は
被告人が500円硬貨2枚とカップ麺1個を窃取した部屋が最大で5時間20分後に石油ストーブの灯油をカーペットに撒布して放火。

なんかもう認めっちゃっていーんじゃねーのって気もするが。これがダメ。
判決の言い分だと、証拠から直接に事実を認定できるのではなく「実証的根拠の乏しい人格評価」が間に挟まった認定をするとダメって感じ。

今まで、職業裁判官相手の場合は、も少し緩い感じで前科は事実認定に使われていたと思う(それでもなるべくなら使いたくない証拠ではある)。
やはりこれは検察官にとっては厳しい判決なのではないだろうか。


なお、事実認定に前科は出ないが、量刑には前科は使われるので、裁判員や裁判官が全く前科を見ないで審議するわけではない。
ただ、判決作る際に、事実認定の理由として「前科があるから」って書いちゃいけないってだけの話だ。
だから、口には出さないけど、実は前科があるから今回もそうだろうと思って有罪を決める、というのも可能だ。
ただし、「前科があるから」って言っちゃいけないという縛りのもとで、説得力ある有罪の理由付けができるかというと、
さあ、どうでしょう?
ということになる。
刑事裁判って、建前と実務が二枚舌という面があって、
それもわかりにくい理由の1つじゃないかなって思う。
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by k_penguin | 2012-09-08 14:06 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

裁判員初の全面無罪判決、確定へ

朝日新聞
判決全文pdf

高裁判決の段階で書いた記事を読み直してみたら、最高裁は高裁判断維持であろうという予想をしていた(記事後半のチョコ缶のやつ)。
裁判員裁判の素人判断は全部高裁でひっくり返してやれ、と連中考えてるんじゃないかと思っていたのだが、
蓋を開けたら大ハズレ。破棄自判で無罪。

裁判員裁判だから第1審の事実認定を重視する、
とは言っていないが、控訴審の事後審性から
控訴審が第1審判決に事実誤認があるというためには,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示すことが必要であるというべきである。

と、積極的な間違いがなければ第1審の事実認定を通すよう求めている。
つまりこれからは第1審が裁判員裁判じゃなくても第1審の事実認定が尊重されるはずである。
リクツから言えばね。

補足意見において裁判員裁判の上訴審の裁判官に対し、
許容範囲の幅がないピンポイントの事実認定を改めるよう述べられているが、
それを故意の有無を争う(=有罪か無罪かが争われる)このケースで言われるとなー…。
それはちょっと難しすぎるんとちゃうんかって思うけどなあ。
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by k_penguin | 2012-02-13 22:51 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

Winny裁判 最三決H23.12.19

先月最高裁が出ていたのに、すっかり忘れていた。
多分二審と同じ無罪だったから、同じ理屈だと思ったんだろう。
で、今日ちょっと見てみたら、判例のpdfが20ページもあったのでびっくりした。

ウィニーを公開することが著作権法違反の幇助になるかについての問題点及びそれに対する一審(有罪)二審(無罪)の態度については、以前の記事にまとめてある。
要は「包丁を売るのが殺人の幇助なのか?!」的な問題ね。

で、最高裁は、二審よりは厳しい態度で臨んでいて、幇助行為については古典的な幇助に加え
当該ソフトの性質,その客観的利用状況,提供方法などに照らし,同ソフトを入手する者のうち例外的とはいえない範囲の者が同ソフトを著作権侵害に利用する蓋然性が高いと認められる場合で,提供者もそのことを認識,認容しながら同ソフトの公開,提供を行い,実際にそれを用いて著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソフトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害の幇助行為に当たる
としている。
二審が
著作権侵害行為に使われることを認識しているだけでは足りず、侵害行為をするようネット上で勧めてソフトを提供する場合に成立する
と、「違法行為をやる気」もサポートしろ、と言ってるのに対し、最高裁は
やる気のサポートは不要で、「やる気満々集団」だと知って道具を提供すればよい。
としている。この点で最高裁はむしろ有罪にした一審と同じ理屈をとっているのだ。
だから二審があげていた刑法の謙抑主義もあげてない。
そして客観的に幇助行為があったことも認定している。

ただ最高裁は一審と違い、故意を認めなかった。
これもなかなか薄氷をわたるぎりぎりな認定という感じがして、
「今回は特別に見逃してやるぜ」的なにおいがする。
このへん、幇助罪の成立を認めながらも実質的違法性を考慮した大谷裁判官の反対意見の方が理論的にきれいという感じがする(多数意見より反対意見の方が大体理論はきれいに仕上がっているものだ)。

総じて最高裁は、事件当時、ファイル共有ソフトはまだ新しい存在であったことをふまえ、ソフトの開発に過度の萎縮効果を生じさせないことを考慮したものと言える。
最初だから良いけど、次からはダメよ。
というところか。
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by k_penguin | 2012-01-14 23:14 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(2)

裁判員制度は合憲 最大判H23.11.16 

合憲が出るのは分かっていることだったが、お上の見解が確定されたという点で貴重な判決。
弁護人もハッスルしていっぱい憲法違反を並べている。
特別裁判所(76条2項)違反なんて別に主張しなくてもいいと思うけど。

めぼしいとこは、
司法権は裁判所に属すると規定する憲法76条1項違反、司法の独立(76条3項)違反、意に反する苦役に服させることを禁じた憲法18条後段違反。

以下は判決の俺流意訳w

76条1項違反に対して

憲法はもともと陪審制を導入できるように設計されているから、裁判官のみの裁判が憲法上保障されているとは言えないよ。
確かに刑事裁判は令状主義とか自己不罪拒否特権とか、プロじゃなきゃ扱えないめんどっちいルールが多くて、だから基本的に裁判官がやらなきゃだけど、素人が混じっても
国民の司法参加と適正な刑事裁判の実現の調和がとれてる制度なら、立法政策としてとってもいーんじゃね?
中身を調べても、裁判員制度は中立公正な制度だし、
素人が出来ないような専門的な部分は裁判官がすることになってるし。素人を裁判長もサポートするし、
いいんじゃないの?

76条3項違反に対して


国民の意見を取り入れるって制度なんだから、
制度の下でも
裁判官だけのときと結論変わらなかったら意味無いじゃん。

 なおこれは一般世論に裁判が左右されて良い、という論とは違うものであることに注意。
憲法76条3項によれば,裁判官は憲法及び法律に拘束される。
  ↓
裁判員法は憲法に適合するようにこれを法制化したものである
  ↓
裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があるとしても,それは憲法に適合する法律に拘束される結果である

 という論法だ。
制度内に裁判官の意見が尊重される制度もある、というのもあわせて述べられている。


18条後段違反に対して

民意反映の制度なのに「苦役」って言うなよw
いちおー参政権の仲間だぞ。

まとめ
裁判員制度は新しい実験的な制度で、うまくいくかはみんな次第なんだから
温かく見守ってやれよ。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111116154348.pdf
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by k_penguin | 2011-11-16 19:49 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

橋下さんの懲戒請求祭り、不法行為不成立

*7月25日 追記しました

この件に関しては、もうあまり覚えていないんだけど、
不法行為不成立は意外、という印象を受けた。
で、調べてみたら、以前に記事書いてました。

一審判決のときの記事 橋下さんの懲戒請求祭りに損害賠償命令
二審判決のときの記事 橋下さん、賠償金減額
そして三審でめでたく賠償金なしになったわけだ。

最高裁HP

法廷意見の重要部分(下線部)を、砕けた言い方で訳すと、

テレビの娯楽トーク番組の1つで、煽動してるってほど悪質なものじゃないじゃん。
弁護士としてはどうかと思うけど、一般の不法行為ってほどじゃないよ。弁護士会内で処分すればそれでいいんじゃね?
今枝さん達だって、
懲戒請求のほとんど全部は門前払いされているんだしさ、それほど業務に差し障ったわけじゃないじゃん。
ま、多少は差し障ってるけど、社会の耳目を集める刑事事件の弁護活動をしている以上、多少は批判されても我慢しなよ。表現の自由♪表現の自由♪

…って感じ。

大概の判決がそうであるように、補足意見の方が面白そうだが
判決が21ページもあるので、まだ全部読んでない。今忙しいし。
あとで追記するかも。


7月25日 追記

補足意見のうちでは、最も原告(光市母子弁護団)に優しい、須藤裁判官のものが緻密な印象を受けた。
橋下さんが数の圧力で懲戒請求の結果がどうにでもできるみたいな言い方をしたことは、懲戒請求の使い方としては正しいあり方とは言えないことを非難しながらも、結局違法とはしなかったのは、
弁護士の業務にそれほど差し障っていないことと、
公共性がある弁護士という仕事では、他の一般の職業と違い、世間から批判を受けて説明しなければならない場合があったり、
守秘義務との関係でおいそれと反論できなくて、罵られても我慢しなければならなかったりする場合があるよ。
ということ、
あと、弁護士同士の罵り合いは弁護士会に任せた方が良いんじゃね?ってこと、
この3つかと。

一審からの判決の推移は、
・・・最初はひでーことするなーって思ったけどー、時間経って後から見てみれば、そんなでもなかったよねー。
という感じなんじゃないかな。


なお、朝日新聞に、この件に関する社説が出た。
橋下さん個人を批判するのではなく、懲戒請求する個人に向けて、その適切な運用を求めるメッセージになっているのが特徴。

最高裁的には、大した証拠もそろえずに軽い気持ちで懲戒請求した個人については、
 そーゆーバカは想定の範囲内ですから。
ってだけで、特に文句も言わず放っておくことにしている。
誰でもできるのが懲戒請求なのだ。
その点、「言論でなく懲戒請求という手法に訴えることの危うさを、一人ひとりが認識する必要がある。」といっている朝日の社説は、いわば、最高裁がプロの弁護士である橋下さんに求めたレベルの責任を一般人に求めるもので、ちょっと立派すぎて現実的には無理があるんじゃないかって気がするんだけど、

・・・ま、言うだけならタダだしな。
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by k_penguin | 2011-07-16 00:08 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

更新料は有効 最判H23.07.15

とりあえず走り書き。

最高裁HP判決文
更新料は賃料の2ヶ月分という事例。

更新料の性質については
一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する

とされた。よくわかんねーけど。
とにかくそれで世の中が受け入れてきたんだし、裁判でも当然有効ってことでやってきて不都合もないんだから、いーんじゃねーの?
的なことを言っている。


俺としては更新料については、いきなり無効にすることはないにせよ、消費者契約法10条との関係でもう少し否定的なニュアンスになると思っていたが、
いままでの判例とほとんど変わらないという感じがする。
高額すぎる更新料はダメとか、別に言われるまでもないことだし。

更新料を否定した判決も、更新料分は家賃に加算して請求すればいい、と言ってるから、実質的には変わらないんだけど、やはり最高裁は保守的なのかな。
公序に関することじゃないと、あまり意見を動かさないという気がする。

以前の高裁判決に関する記事

確かちょっと前に
敷引きも有効という判決が出ていたと思う。
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by k_penguin | 2011-07-15 22:05 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(0)

裁判員裁判の無罪判決が高裁で破棄 2例

東京高裁での破棄が、29日30日と、2つ続けてぽぽーんと出た。

3月29日の放火の事例。
裁判員裁判の無罪、初の破棄差し戻し 東京高裁

初物ではあるが、こちらの実質は公判前整理手続における裁判官の判断に対する破棄である。裁判員の判断を認めなかったというわけではない。
その意味では、次の30日の事例の方が、裁判員裁判の破棄事例と言うにふさわしい。

放火において被告人の前科が証拠として重要な役割を果たすケースは多い。
その前科の証拠提出を公判前整理手続で認めなかったのだから、公判前に勝負は決まっていたと言ってもいいだろう。
その一方、「被告人の前科」は「予断排除との関係で原則出しちゃダメな証拠の例」として刑事手続法の教科書に必ず書いてあるほど有名な、「取扱注意!」の証拠だ。
例外的に出しても良い場合として、犯罪の手口などの態様に際だった特徴がある場合があり、この事例においてもそれが問題となっている。
つまり放火の手口に「際だった特徴がある」のか、大した個性もない手口なのか
が争点。

上告したので、最高裁の判断が待たれる。


次に、3月30日の覚醒剤密輸の件。
裁判員裁判の全面無罪判決を破棄 東京高裁、懲役10年

asahi.comの記事なんだが、30日には「裁判員裁判の無罪破棄し有罪判決 薬物密輸で東京高裁」という見出しだったのが、31日にはなぜか変わっていた。29日の判決との違いを出したかったのかもしれんが、あまり違いは出てないとおも。

こちらは、裁判員のした証拠の評価を真っ向否定、というきついものだが、この裁判については以前記事を書いていた。
裁判員裁判で検察側が初の控訴

事件の争点は、故意の有無という判断が難しいところにあるが、
決め手になるものがない場合、つまり調べたけどわかんない場合に「わかんないから(推定無罪で)無罪。」と素人なら言えるが、プロがそんなバカみたいなことなかなか言えない。仕事した感があるのはやはり「調べたら有罪とわかるもんね」だ。
高裁の裁判官はプロとしての仕事のやりかたで仕事したんじゃないかと思う。

思うんだけど、
偽造旅券を運んだついでに、友人へのお土産としてチョコレート缶を持っていってくれ。と、頼まれたら、ふつー、「その中身は何だろな」とは考えないだろう。
考えない方が良いことだからだ。
そういう「考えないでおく」心理を故意ありとみるか故意なしと見るか、についてのプロと素人の感覚の違いが判断を分けた、と言えるんじゃないだろうか。
人格形成責任という概念を知っていたり、共謀共同正犯概念に慣れていたりする法律家の方が故意を認めることに抵抗を感じないと思う(道具型共謀共同正犯理論に裁判員は感覚的に納得しないことについては先に紹介した記事で述べた)。

この高裁判決については、裁判員制度の趣旨を没却するとか、民意を無視する、という反論が予想されるが、このケースに限って言えば、趣旨の没却とまでは言えないと思う。
趣旨っていうのは、検察側証拠の偏重の防止とかであって、そういう点から言えば、
事実認定の点で被告人が「考えないでおく」心理であったことは争い無いと判断できるこのケースでは、別に証拠の偏重はないといえるし
どういう心理状態を故意ありと評価するかという、事実の法律へのあてはめの部分は裁判員制度とは関係ないしね。

この裁判も上告された。最高裁の判断待ちになるが高裁判断維持かな、と予想しておく。
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by k_penguin | 2011-04-01 00:46 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(2)

空知太神社違憲判決と富平神社合憲判決のメモ

空知太判決(pdf)
富平判決(pdf) 

目的効果基準を使わなかった。

宗教施設の性格や無償提供の経緯と態様、これに対する一般人の評価などを考慮し、社会通念に照らして総合判断して

我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,
信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合に,これを許さない


とか言った。
でも津地鎮祭・愛媛玉串の判例は引用して、それと同じだと言った。
↓この辺は確かに大体同じ。
しかし,国家と宗教とのかかわり合いには種々の形態があり,およそ国又は地方公共団体が宗教との一切の関係を持つことが許されないというものではなく,憲法89条も,公の財産の利用提供等における宗教とのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合に,これを許さないとするものと解される。


この件に関し、藤田の補足意見は
むしろ逆に考えるんだ。俺たち、目的効果基準って物差しにこだわりすぎてたんじゃないか?
大切なのは物差しじゃなくて、ソウル、つまり個人の信教の自由を侵害しないことじゃん?そうじゃねーか、みんな!
的なことを言う。
目的効果基準は、世俗目的と宗教目的が混在しているような事例で使うのが向いていて、この件のような明らかに宗教だけって言うのには向いていない(玉串も同じのはず)とも言ってる。

でもまあ、俺的には、地鎮祭だってどっから見ても宗教儀式じゃんって思うので、これは言い訳で、もう目的効果基準は使わない方向なんじゃないかと思う。
目的効果基準って判例の使用法では、何でも合憲にする方向で使いやすい基準だったけど、
多分閣僚の靖国参拝のあたりから、最高裁的に政教をそこそこしっかり分離したいという気分になったんじゃないかなと思ったりもする。

空知太
釈明義務違反で差し戻したが、行政訴訟は職権証拠調なので、弁論主義を前提とする釈明義務ってどーよ。という問題もある。


空知太が違憲、富平が合憲なのは、
空知太は神社に敷地を無償で提供している事例で、土地の譲渡や有償提供といった手段を取るべきだと言うこと。
(そういう手段をとれなかったのが仕方ないという事情があれば、市に違法性はなくなるので、その辺の事情を釈明させろという点で差し戻し)

富平は、市有地だった神社の敷地を地元の町内会に無償で譲渡したもの。
もともと町内会の土地で、それを市に寄付していたものを返したものだから合憲。


追記 12.2
1回限りの作為的行為ではなく、きわめて長期間にわたる継続的行為であるため、目的効果基準で判断するのに向いていない。
だから、土地利用状況、構造、歴史的経緯などを総合的に判断する方法をとっただけで、判例変更ではない。
(判時2090・判批 野坂泰司)
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by k_penguin | 2010-01-21 01:48 | 裁判(判決評) | Trackback | Comments(2)


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