チェルフィッチュ『フリータイム』

土曜だというのに早起きして俺は横浜トリエンナーレ2008に出かけた。チェルフィッチュの『フリータイム』が目当てだ。

チェルフィッチュはNHKの芸術劇場でちょっとやったのを偶然見て、なかなか面白そうだと思ったし、『フリータイム』は朝日新聞に好意的な記事が出ていたので、これが横トリのチケット(前売り1600円で2回行ける)で見られるのならお得だと思ったからだった。
しかし、お値段が安いということはいろいろ苦労を伴う。
要予約なのだが、その整理券が配られるのは当日12時。定員は約70名。
今回の横トリ08は今までの2回と比べて有名なアーティストがいなくて、チェルフィッチュは有名な方にはいるのだが、どれほど人が集まるのかまるで予測できない。
と、なったら早く行くに限る。10時半には横浜赤レンガ倉庫についた。
整理券のために並ぶ客はまだ1人もいなかった。やっぱこんなもんかな。

しかし、11時半頃には、30人ほどになっていて、最終的には満員御礼になっていた。
整理券をもらってから、第2会場の日本郵船海岸倉庫に行く。
ざっと回ってから(勅使河原三郎が見られなかった・・・)トリエンナーレのチケットで乗れる水上シャトルで横浜赤レンガに戻る。
海の上を5分で駆け抜けるのは気持ちが良い上に、お得感も加わって、同乗していたおばちゃん達、おおはしゃぎ。つられてテンションが上がった俺もカメラを撮りまくった。
たたでさえ早起きのせいで眠かったのだが、おかげで『フリータイム』が始まる頃には俺はすっかりおねむになっていた。まずい。
周りのお客さん達の声に耳を傾けると、「舞台って初めてー」とか、「途中で外に出ても大丈夫だよね」とか、なかなか普段の劇場では聞けない言葉が。
うーん、どうなることやら、この公演。そして80分もつのか?俺。

そうこうしているうちに、なんとなく暗くなり、明るい舞台になんとなく数人の人が出てきて、女の子がゼミの発表でもするようなノリでもじもじ動きながら「フリータイムを、始めます」と言った。
おばちゃんが1人見当違いの拍手をバチバチしたが、もうこの瞬間から舞台は始まっていたのだ。
チェルフィッチュは今どきの若い人のしゃべり方と動きを誇張し、定型化させた動きを繰り返すところに特徴がある。
喋りながら無意識にするような動きや、逆に言葉にならない微妙なニュアンスを伝えようとするときの仕草をクローズアップする。
よく見かけるような気がするけど、はっきり意識したことはない、という動きが出てきて面白い。
ちなみに、俺のクセは、喋りながら両手の親指と人差し指で四角いフレームを作り、それを眺めながら喋るというもので(うつむいてこれをやるので、デスノートを読んでいる、と命名されたことあり)、これも似たような仕草が出てきていた。

但し話す内容は、朝のファミレスの光景およびそこにいる者の独白で、しかも同じ事を人をかえて何度も喋る。
今どき風だから、ちょっとまとまったことを言うと、すぐ自分でツッコミまたは自己否定的な言葉を付け加え、論の流れは水面をたゆたうよう。
案の定眠くなってきた。周りにも数人船をこいでいる人がいる。
真ん中あたりで、開幕前にあまり観る気が無さそうなことを言っていたおばちゃんが退場。
俳優さんはみな視線が真っ直ぐではなく、つまり素人っぽくあちこちに視線を動かすのだが、退場するおばちゃんを、喋っている俳優さんが間違いなく目で追っていた。

しかし、男の子達の、アフロの女ってありなんじゃないか論あたりから話が面白くなってきて、目が覚めた。
なるべく毎朝早起きして、会社に着く前の30分、ファミレスで自分のための「フリータイム」をすごし、日記に考えをまとめるための落書きをする女を中心に、「自由」な時間についてそれぞれとりとめなく考えを巡らし、なんとなくまとまってゆくような?なんか、そんな感じ?
って感じ。
途中船をこいでいた人達も最終的にはみな目を覚ましていた。
早起きがムダではなかったので、俺は満足した。


その他の横浜トリエンナーレ2008メイン3会場については、面白そうなものはメディアなどで取り上げられている。逆に言えば、それ以外は面白くないと考えて差し支えない。
大量のシャボン玉が街を飛び交う、大巻伸嗣《Memorial Rebirth》に出会えればラッキー。
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by k_penguin | 2008-09-28 00:31 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)
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