『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』

後藤ひろひと(大王)の「笑えるし泣ける」という定評のある作品(今秋映画化)。
なのでタオルハンケチを装備して臨む。演出G2。

最初から泣く気満々なので、舞台は病院で、無邪気な女の子の入院患者がいる程度のベタな設定でも構わない。
が。
1日しか記憶がもたない設定、狂言回しに使われる甘いお話の絵本、素人たちによるはちゃめちゃ劇中劇。
・・・って、全部ここ1年ほどで見た劇や映画の中で使われてる設定やんけ。
しかし、これはもともと5000円札が新渡戸稲造だったころの作品。作者は1こも悪くない。あの作品はあの作品、この作品はこの作品、ということで割り切ってしまうことにする。
ちなみに思い出した作品は『博士の愛した数式』(小説を読んだがおとぎ話チックであまり好きではない)、『泥棒役者』(DVDで。そこそこ。) 『恐れを知らぬ川上音二郎一座』

さて、内容は、『ダブリンの鐘つきカビ人間』にスケールでは及ばないがちゃんと泣けたし、良い作品だと思う。
みんながパコ(志村玲那)のため、いや、それだけじゃなくて、大貫(吉田鋼太郎)のため、室町(笠原浩夫)のため、お互いが自分のためじゃなくて、相手のために協力し合ったところに、元の物語『ガマ王子vsザリガニ魔人』を超える物語ができる、といういい話。

みんなが割とこぢんまりとまとまっていた中で、山内圭哉が劇中劇で自由に振る舞っていて面白かった。映画でもこの人が龍門寺役なんだろーなー・・・。

ただ、やっぱり堀米は後藤ひろひとでやって欲しかったなー、と思う。
ここが大王じゃないと、なんで浩二のところに唐突に堀米が来たのかがよくわからないのだ。


大王の話には、昔の話を誰かが誰かに語る、という形式が多い。
この「語り部形式」を取る場合、ストーリーは2つなければならない。
語り手が語るストーリー(たいてい話のどこかに語り手が登場する)と、
話者がなぜその話を語らなくてはならなかったか、というストーリーの2つ。
設定のナレーションが必要だというだけで語り部形式をとる作品は論外であり、まともな物語は、必ず2つストーリーがあると考えている。
俺としては後者の、語り手自身の持つストーリーの方により注目する。
『ダブリンの鐘つきカビ人間』はこちらも非常にうまくできていた。

絵本の作者堀米(中山祐一朗)は、なぜやってきて絵本にまつわる話をしたのか。
なぜ聞き手の気に入らないかもしれない「真実」をあえて語ったのか。
なぜ絵本の1ページを渡し、後はおまかせして去っていったのか。
そこには彼自身の理由があるはずなのだ。
堀米が大王ではなかったため、これがよくわからなかった。
彼は絵本『ガマ王子vsザリガニ魔人』の作者にすぎなくて、この脚本を書いた人じゃないからだ。

これが脚本を書いた大王であれば、
話をあなた方が作り上げてください、というメッセージだということになる。
なぜ大貫が死んでパコが治る目出度い結末にしなかったのか。
それをやると、客がその時点で満足してしまってこの話のメッセージが伝わりにくくなると考えたのだ。
なまじっか陳腐なメッセージであるがために、まともなやり方ではみんながまともに耳を貸さないと考えたのかもしれない。
病院のみんなが誰かのために協力して話を完成させたように、浩二のために協力して元の話を作り、そしてそれを超える新しい話を作って伝えていって欲しい、ということ。
浩二によって全員があらためて再会したとき、新しい話がまた出来る、という予感とともに幕が下りるのは、そういうことだと思う。

その辺の「作者のジジョー」をわからせるためにも、大王にやって欲しかったなあ。
田螺かぶってるとこも見たかったしね。
似合いそうだよね、田螺。
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by k_penguin | 2008-04-04 22:28 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 雑学的ブログ at 2008-04-27 07:39
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