植草さん提訴のやじうま予想   

植草さんが週刊誌四誌を名誉毀損で提訴した。
・・・のはとっくなんだけど、うちのブログは植草さんはしばらく「禁じ手」にしようと思っていたので、何も書かなかった。
しかし、今日になって、この件についての質問コメントが来て、そのレスを書いていたら、なんかだらだら長くなりそうだし、最近記事少ないし・・・
ということで、まあ、結局記事の形にした。

今回は、法律的に名誉毀損が成立するかしないか、見通しを考える。
情報が少ない(訴えられた雑誌の記事すら読んでいない)ので、あくまでやじうま予想だ。その辺よろしく。

名誉毀損罪についての刑法230条の2は、民事の不法行為訴訟でも違法性要件の阻却事由としてはたらく。
その要件は3つ。1「公共の利害に関する」2「公益を図る目的が主」3「真実証明」。
この3つすべてをクリアすれば一円たりとも払わないで済む。
また、要件3「真実証明」については、クリア出来なくても、3’「真実と間違えたことが確実な資料、根拠に基づいて」いれば、故意が阻却されて、やっぱり支払わないで済む。


まず最初の要件、「公共の利害に関する」について。
植草さんの場合は、痴漢の余罪についての記事だそうで、公訴提起前の犯罪行為に関する刑法230条の2第2項をそのまま当てはめれば「公共の利害に関する」ものとみなされる。
ただ、公訴提起前の犯罪行為に関する事実が、公共の利害に関する事実とみなされる理由は、それを公表することが捜査の手助けになるためだ。
既に示談を経て、不起訴の見通しが大きく、捜査はもうしないであろう事実にも230条の2第2項がそのまま適用できるかどうかは問題になりうる。

まあ、仮に230条の2第2項が当てはまらないとしても、230条の2第1項が当てはまればいいわけで、
それは、TV「行列のできる・・・」に出ていた弁護士がキャバクラでやんちゃしていたという記事には公共性が認められている(東地H16.2.19)ことと比較しても、植草さんの社会的地位やマスコミを通じて活動していること、社会的な発言をしていることからしても、「公共の利害に関する」といえると思う。


「公益を図る目的が主」については、当の記事を読んでいないので分からないが、部分的に侮辱的であっても、公益を図る目的が「主」であればオケ。
ここで切られるものは、文面から確実に私怨の匂いがぷんぷんするもの(「終始人を愚弄する侮辱的な言辞をこれに付加摘示した場合」)や、相手から金をせびり取ろうという意図がはっきりしているもの。
「読者の興味本位のもの」もダメだが、このへんは結局、発表に正当な公共性があるかという、いわば結果から判断される傾向がある。
植草さんの社会的地位からみて、いわゆるブラックジャーナリズムでなければクリアできるのではないかと思う。


「真実証明」は、まあ、出版社のがんばり次第。
名誉毀損が認められたら、お上に「嘘つき」と認定されることになるので、出版社は、すげーがんばるか、または、相手に和解を申し込んでgdgdに持ち込むか、のどちらかの途を選ぶ。
確実に真実だ、という見込みがあれば、強気に出るだろう。
ここで証明の対象になるのは、示談という事実ではなく、「公訴提起前の犯罪行為」である、わいせつな行為をしたという事実だ。
示談自体はわいせつ行為をしたことの証明になりうる資料に過ぎない。
仮に示談書が出てきたとしたら、その内容が問題になる。

ゆうたまさんブログに「2004年示談とは完全に否認している事を理解してもらった上での示談なのです」とあることから想像すれば、示談書の記載上で痴漢の事実をはっきり書かず、例えば「迷惑をかけたこと」に対してお金を払う、というような表現になっている可能性がある。
まーオトナであれば、あまりその辺相手を追いつめたりしないで手を打つものだからだが、その記載をどうとらえるかも争点となりうる。
場合によっては、「真実と間違えたことが確実な資料、根拠に基づいて」いる場合、に当たるかもしれない(実際上認められるケースは少ないのだが、無くはない)。

ま、どっちにしろ、あまり植草さんの良いような結果にならない様な気がするが・・・。


以上が、法律的な面のみから見た、植草さんの提訴の争点となりそうな問題点だ。
訴訟効果による事実上の損得勘定が入ると、またいくらか見方が変わってくるが、とりあえず今日はここまで。

・・・まあ、負けそうなら、訴え取り下げたり、和解したりしてフェードアウトすればいーしね。
[PR]

by k_penguin | 2007-04-27 19:53 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(4)

トラックバックURL : http://shiropenk.exblog.jp/tb/5960383
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by 七三 at 2007-04-27 21:07 x
貴ブログの事情がありながらも私的な質問に考察して頂きありがとう。中途半端に巻き込んでしまい申し訳ない。よく見てないけど、毎日新聞社、小学館、講談社、徳間書店の4つみたいね。結局俺の低レベルな予想では
・出版社側に損害賠償?的な支払い命令が下る
・でも額は微妙。事実の認定次第というか出版社側が出すもの出せるか。植草側リスク高くね?っていう。
なので「本当に訴えたらダンマリかプギャー」とか言ってた人も「で、訴えて勝ったはいいけど事実は?(・∀・)ニヤニヤ」となればダンマリ、みたいな。過去も今も事実無根を言ってる人は自信があるようだが。過去の例もgdgdで金を多少払ってうやむやが多そうだし。
Commented by k_penguin at 2007-04-27 21:40
「あられちゃん」みたいな、示談とすげーかんけーねー記事だったら損害賠償は取れると思うけど、
そうじゃなさそうだったから、難しいとふんだ。

>植草側リスク高くね?
訴訟効果による事実上の損得勘定については、書きかけてめんどくなってやめた。
書きかけをはっとく。


仮に「勝訴」して、名誉毀損が認められたとしても、認められる金額がしょぼければ、収支決算は赤字になる。
2004年の記事なんかは、提訴の時効ぎりぎりであることからしても、あまり実のある訴訟ではないから放っておけ、と今まで考えられていたことが伺える。
ただ植草さんは、今回、痴漢で刑事訴訟中であり、執行猶予がつかない有罪が出れば、最高裁まで戦うっきゃなくなる。
そんな中で、訴訟の勝ち負けはおいといても、週刊誌に面白おかしくはやし立てられることが、今回の提訴によって当面の間でも牽制できれば、それはそれで一つ意味はある。
Commented by uneyama_shachyuu at 2007-04-28 09:57
横から失礼。
訴訟の影響としては、一体どうだろう…
損得から言えば、「やっぱり」というイメージが固定してしまうような訴訟の流れだったら、藪をつついてキングギドラ…という感じもしないではない(←『そんなんつつかんでも見えるがな~』という突っ込みはナシ(笑)。彼の場合、もう既に見えているような気もするが(笑))。ただ、人が過去動いていた形跡は、何らかの形で外に出てしまうものだから、証拠として示談書が一通でも出て来た瞬間、本人はどうあれ、「やっぱり」の反応が固まるような気もします。
Commented by k_penguin at 2007-04-28 11:21
>藪をつついてキングギドラ
 まあ、植草側はキングギドラが出る前に、フェードアウトするっきゃないかなー、とか思います。

>証拠として示談書が一通でも出て来た瞬間、本人はどうあれ、「やっぱり」の反応が固まるような気もします。
 示談があったこと自体は、あのゆうたまさんですら認めているのだから、示談書は出るかも、と、思いました。

今回の提訴の意味って考えてみたけれど、マスコミ(と、ネットのアンチ派?)に牽制球投げて、支援派のテンションあげる意義くらいしか思いつかなかったです。
確かにネットでは、週刊誌を訴えないことが良いからかいのタネになっていたけれど、
それを気にしての提訴だとすれば、なんか自分を見失ってるような気がします。
・・・まあ、支援してくれる人のご機嫌伺いも大切だけどさ。

<< 手品種明かしで賠償請求 シティボーイズミックス 『モー... >>