お一人様1公演のみ4枚まで、を考える

朝日新聞の読者投稿欄「声」に、ラーメンズのチケットの高額な転売を嘆く投稿が載っていた。
ラーメンズだと名指しはしていないが、まあ、ラーメンズだろう。
ネットオークションで高額で買ったのだが、手元に届いたチケットを見てもあまり嬉しくなく、公演に行きたくなくなったんだそうだ。
「声」欄は実名掲載の上に、投稿主は16歳の高校生なので、いちいち引用してツッコミを入れるのはさすがにオトナとして気が引ける。
自分で金を出しておいて文句を言うとは、さすが16歳。
とだけ言っておこう。

・・・大体、小林賢太郎が転売についてどう思っているかも、何か含みがあるような感じがするんだよな。ビジネス的な思惑とはどっか違うような気がするし。
などと、高校生の愚痴を見ながらぼんやり考えているうちに、「お一人様1公演のみ4枚まで」の法的意味、というネタを思いついた。


今回のラーメンズの公演「TEXT」では「お一人様1公演のみ4枚まで」という制限が付いている。
で、買うときも、一度に5枚以上は買えないようにシステムが設定されている。
こーゆー制限自体は、人気のあるアイドル、タレントの公演では珍しくないらしい。
特にジャニーズでは本人確認がうるさいようだ。
しかし、少なくとも「TEXT」の場合、数回にわたって購入したり、友人に頼んだり、複数の購入手段を使うなりすれば、簡単に制限は突破できる。
実際、ネットオークション上でも、4枚を超えるチケットの出品者はいる。
じゃ、「お一人様1公演のみ4枚まで」制限に反した購入をしたら、どーなるんだろう。



法的意味ってことで考えれば、これは、契約内容かもしれない。
もし、契約内容であれば、この制限に違反すれば、契約の相手方は債務不履行責任を問われる可能性がある。
ところが、ラーメンズと私たちお客さんは、チケット購入に関して契約は結んでいない。
私達の契約の相手方は、つまり、私達がチケットを買った相手だ。
ローソンチケットならローソンチケットだし、ヤフオクなら、出品者だ。
ローチケや出品者が言うことだけが契約内容なのだ。
じゃ、「お一人様1公演のみ4枚まで」って何?

「TEXT」のチケットを見ながら、法的な流れを考えてみた。
この公演、企画制作がトゥインクル(ラーメンズが所属する事務所)、主催がTBSラジオ。
だから、ラーメンズがトゥインクルを通じてTBSラジオに企画を持ち込み、TBSラジオがローソンチケットなりなんなりにチケット販売を委託した、と把握すればいいだろう。
つまり、契約は、①ラーメンズ-トゥインクル間 ②トゥインクル-TBSラジオ間 ③TBSラジオ-ローソンチケット間 ④ローソンチケット-客間、と、簡略化しても4つある。
転売が入ればもっと増える。

ラーメンズ(またはトゥインクル)が言う「お一人様1公演のみ4枚まで」を契約内容と解しても、それは①の契約(トゥインクルの場合②の契約)でしか意味を持たない。しかも、契約の相手は客ではないから、せいぜい、「お一人様1公演のみ4枚までになるよう努力してみる義務」を負うにすぎない。
③の契約にしても同じことだ。せいぜい契約の相手方に努力義務を負わせられるだけ。
4枚までしか買えない設定にしたローチケは十分努力したと言えるから、ローチケは契約義務は果たしたといえると思う。
④契約で初めて客を拘束できるのだが、「お一人様1公演のみ4枚まで」も「お一人様1公演のみ4枚までになるよう努力」も④契約の内容ではない。そんなこと、客は承諾していないから。
だから、④契約の客が、仮に、別の手段で5枚を超えるチケットを手に入れていたとしても、ローチケも客も債務不履行責任は負わない。
ローチケは③契約の内容として、4枚までしか買えないという設定にして、「お一人様1公演のみ4枚まで」と記載しただけなのだ(・・・書いてあったよね?たしか)。

ローソンチケットの裏を見てもらいたい。
「主催者からのお願い」というのが書いてある。これはあくまでも「お願い」なのだ。主催者は④契約の当事者じゃないから、基本的に、横からお願いするだけなのだ。
なお、「危険物やペットの持ち込み禁止」のように、イベントの円滑な開催にとって必要だと思われる事項は例外的に、法的権利の事前告知の性質を持つが、これも別に、書いてあるから初めて禁止されるわけではない。
④契約の当事者じゃない点では、主催者も、演者も同じだ。また、「お一人様1公演のみ4枚まで」はイベントの円滑な開催にとって必要な条件とも思われない。
結局、「お一人様1公演のみ4枚まで」は、我々客にとっては、事実上のお願いにすぎないのだ。

小林賢太郎は、公式HP上
「心無い人が、定価以上の価格で売買するケースもあるようですが、
ラーメンズにとってもスタッフにとっても、それは本意ではありません。
みなさんの良識に頼るほかないのが現状です。」
と、述べている。
以上に述べたことからすれば、「良識に頼るほかないのが現状」というのはまったく正しい。
ジャニーズだったら、枚数制限にある程度の事実上の強制力を付けられるが、あいにくトゥインクルはジャニーズではない。
ただ、それを公式HPや舞台で言っても、ダフ屋対策にはならない。
ダフ屋はファンじゃないからそんなこと聞いちゃいないからだ。

小林賢太郎がそれをそこで言うことに、いったい何の意味があるのか。
なぜ、TVをやめた後の舞台『ATOM』でやっと転売について言及したのか。
ダフ屋が出ることが逆にブランドイメージになってしまっているラーメンズって何なのか。

謎は謎を呼ぶ!待て!次号!
    (↑嘘。)

・・・思いつきで書き始めたけど、結構大変だった~゚(゚´Д`゚)゚。
チケット販売の流れなんて知らないから、ほんとにチケットだけ見て法律構成したしなあ。
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by k_penguin | 2007-01-11 00:55 | エンタテイメントと法 | Trackback | Comments(2)
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Commented by せっきー。 at 2007-02-09 01:33 x
オヒサシブリデス。
あああ。いつか書かれると思っていましたが、お疲れさまです。
この手の問題はラーでけでなく、色々ありますよね。
もう、完全に抽選制にするしかないのかな、とも思ったり。
しかし、それでは結局、転売はなくならないし。
どうしたらいいんでしょうか?教えて息子の人・・・。

ところで個人的な話なのですが、どこへメッセしたらよいのか解らなかったのでこちらへ書き込みさせていただきます。
先日、銀河劇場にて「TEXT」見て参りました。
大満足ではあったのですが、自分が落ち込んでいた時期だったからか、「○maru」の「丸の人」を見たような感覚が再来しました。オチが読めてしまったにも関わらず、半分は感動と、もう半分は
しんどい・・・で涙してしまいました。
k_penguinさんは見に行かれたのであれば、これについてきっと書かれると思いますので、楽しみにしております。
Commented by k_penguin at 2007-02-09 22:33
せっきー。さん、お久しぶり。
本日「TEXT」観てきました。
最後の話は、私も涙しましたよー。
ただ、「丸の人」よりは壊れたところが少なくって、
よくぞここまでまとめ上げたと思いました。
しんどいと感じるのもよく分かりますが、希望も見える話だと思います。

転売について
アイドルのコンサートによく行く人に聞いたりしていくらか調べたのですが、なんかいろいろめんどーそうで、あまり深入りしない方が無難なお題かな、と、結局、法的構成しか書きませんでした。
転売って言葉が一人歩きしてるようですが、
転売それ自体に違法性はなくて、ダフ屋の収益が暴力団の資金源であることとかが本来の問題なんですよねー。