『ラーメンズの日本語学校』CDジャケットに関する一考察   

2006年 09月 09日

ラーメンズの日本語学校のCDジャケットについてふと思ったことがある(中身は知らない。買ってないから)。
ジャケットデザイン自体は相変わらず、「作ってる人は楽しいだろうけど、見る側は割とどーでもいい」という凝り方で、まあ、楽しいならそれでいいけど、頭良さ気なとこがイヤミな野郎だな、と、まさに小林賢太郎みたいな印象だった。
まあそれはいいとして。

妙に気になったのは、「このジャケットは傷つきやすいのでご注意ください」という注意書きだ。
確かに箔押しは擦り傷に弱い。光沢がすぐに失われてしまう。
しかし、あえて目立つところにこんな注意書きを入れる、というのはどういうことか。
買ったら、すぐにぷちぷちにくるんで戸棚の奥深くにしまえ、という意味ではないだろう。それは分かる。
俺のようにその辺のCDもDVDも本も一緒くたに積み重ねた挙げ句、ときどき雪崩が起きるところに件のCDを放り込み、5秒で表にひっかき傷を作ったとしても、それはそれ、人生いろいろ。そーゆーCD人生もあり、とコバケンは納得してくれるだろう。    多分。

一般に、ジャケットが傷ついて困る場合はどんな場合か。
コレクションアイテムにする場合と、転売する場合だ。
コレクションアイテムにする人には、これは親切な注意書きだ。取扱注意。
問題は転売する場合だ。ジャケットの傷は商品価値を下げるからだ。
ネットオークションでの取引では、写真を撮ったり、梱包して発送したり、CD自体をいじくる機会が増える。当然、どうしても傷を付ける機会が増える。
つまり、このCDは、転売をしにくい仕様になっているのだ。



ラーメンズの日本語学校はオークションで過去に高額なプレミアつきで取引されていたらしい。
このような現象は健全とは言い難いが、そこはそれ、市場原理。
需要があればお値段は上がる。
また、買った物は俺の物。いくらで転売しようが、ベランダにぶら下げてハト除けにしようが、所有者の勝手。
小林賢太郎がこのような現象を快く思っていないことは確かであるが、妙なのは、そのことをこのようなひどく回りくどい、嫌がらせのような手段で表明した、ということだ。
ジャケットに傷が付いたって、転売する奴は転売する。
また、プレミアという点なら、もう名前が浸透した今になって、プレミアの心配なぞしなくてもよろしい。むしろ売り上げの心配をした方がいいだろう。
こんなやり方をしないでも、嫌なものは嫌と言えばいいのだ。
もちろん彼が嫌といっても、転売する奴は転売する。権利だからね。
しかし、誰に転売する権利があろうとも、それは、高額な転売は嫌だ、という彼の意見表明の権利を奪うものではない。
HPもあるんだし。

ここではっと気がついた。
公式HPの8月15日付のコメント。あのコメントとものの言い方が同じなのだ。
例のコメントは全体としては趣旨が不明のコメントだが、彼がはっきり言ったことがある。
彼は、それが有償無償にかかわらず、自分がした表現を、客から他の者に伝えられることが嫌であり、そしてそれと同時に、それを止める権利が自分にないと考えている、ということだ。
彼は、CDもメモも同列に考えている。
つまりプレミアがついた転売が嫌なのではないのだ。
なんと、表現が転々流通すること自体が嫌なのだ。
考えてみりゃ、ジャケットが傷つきやすくて困る場合って、転売だけじゃなくて、友人同士の貸し借りも含まれるし。

表現者が、プレミアつき転売を嫌うのは、自分のネームバリューを赤の他人が利用して金を稼ぐからだ。また、それはブランドイメージを傷つける。
しかし、表現の転々流通自体が嫌となれば、理由は全く別のところにあると思わなければならない。
その理由は何か。

クラシックなどの分野で公演を大切にする演奏家には、それを記録されることを嫌がる者がいる。
その場だけの空気感が大切なのであり、消え去って2度と戻らないからこそ貴重なのだ、という考え方だ。
レコードというものができて、記録が可能になったとき、このような芸術家の中には「これは私ではない」と泣いてレコードを否定した者もいる(『海の上のピアニスト』という映画にそのような芸術家が出てきている)。
この考えは、決して今風ではない。このような考え方の芸術家はみな過去の人だ。
一般大衆が最も強力なパトロンである現代の消費社会では成立し得ない考え方とまで言っても良いだろう。
しかし、だからといって、頭から否定される考えでもない。
それはそれで理由あることだし、首肯できる。

これは、とりあえずぱっと思いついた理由で、今のところこれが彼のコメントに最も近いニュアンスを持っているが、確信はない。これとはまた別のものかもしれない。
しかしとりあえずそれは問題ではない。
問題は、小林賢太郎が、表現の転々流通自体が嫌で、しかもその考えが一般に受け入れられないと自分で思うが故に自己否定をしてしまって、変に嫌がらせをするような形での意見表明になってしまっているということだ。

一般に受け入れられ難い考えだからといって、そのことを考える彼自身が悪いわけではない。
言い方さえ工夫すれば、きっと伝わる場合があると思う。・・・まあ伝わらないことも多いだろうが。
一般に受け入れられない考えだからといって初めからあきらめて、拗ねた言い方をするというのは、一番よくないと思う。分かる人も分からなくなるからだ(『TAKE OFF』にもこの傾向が認められる)。
表現者であれば、そこんとこの説得が腕の見せどころだと思うんだけど。
いったい何のためにコント屋になったんだお前は・・・って、また親戚の親父モードになってしまいましたので、この辺でm(_ _)m


*追記 9月26日
今日になってやっとYouTubeで 爆笑オンエアバトルの「ラーメンズ 日本語学校イタリア編 」を見たが、何となく思ったのは、彼は『新日本語学校』のCDを出したくはなかったのではないか、ということだ。
少なくとも俺だったら、ちょっと今これを出すのは辛い。
まあ、俺は、「売れるんだったら、ま、いっか。」と思う手合いなので、売上高の数字を見れば、気が進まなかったことなど頭から吹き飛ぶが、コバケンはその辺の融通が利かないこと山の如しの奴だ。
CDを出したのは、おそらく、息子さんが小学校に入ったからではないかと思うのだが(『ATOM』などから逆算して2000年頃に男の子が生まれたと勝手に推測している)、そーゆー事情でもなければ、出さなかったのではないだろうか。
[PR]

by k_penguin | 2006-09-09 00:52 | エンタ系 | Trackback(2) | Comments(0)

トラックバックURL : http://shiropenk.exblog.jp/tb/4519253
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from カロリーコントロールde.. at 2006-09-11 22:09
タイトル : ラーメンズ アルバム発売
お笑いコンビが音楽業界に殴り込み? 舞台でも異才ぶりを発揮しているラーメンズの『新日本語学校』というアルバムが、9月5日のオリコンのデイリーアルバムランキングでTOP10入りを果たしました。話題となっているのはその内容。実は音楽ではなく、彼らのコントが収録されています。... more
Tracked from お笑い芸人万歳 at 2006-11-16 23:53
タイトル : お笑い芸人万歳
お笑い芸人万歳 お笑い芸人と言っても色々です。 日常のストレスを吹き飛ばすお気に入りを探してみては?... more

<< おじゃる丸の思い出 CMペンギン >>