親族代表 『忄(りっしんべん)』

俺は、喪服で夜の新宿を歩いていた。
法事でもないのに喪服を着ているというのは、なんだか落ち着かない。何となく周囲に言い訳をしながら歩きたくなる。
「いえ、コントライブを見に行くんですよ。喪服を着ていくとね、500円キャッシュバックがあるんです。」
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コントユニット親族代表の今回のライブを見に行くのは、小林賢太郎が脚本を提供している作品があるからだ。
俺は彼が他人のために書いた作品を見たことがない。バニーがどのくらい他人に配慮した作品が書けるのかな、と思ったわけだ。
ま、きっかけは何であれ、金払って見に行く以上はライブの雰囲気であれキャッシュであれ、享受できるものは何でも享受しておこう。
というわけで、俺は仕事が終わると、去年親父が入院したときに買っておいた喪服に着替えて新宿に飛び出したのだ。

紀伊国屋横の小劇場は、補助席も出てぴったり満員御礼、といった感じ。
男女比およそ1対1。喪服を着てきた人は約8分の1程度。意外と少ない。
トゥインクルから花くらい出ているかと思ったが、入口のとこには出ていなかった。

コバケンの作品は1番最初。独特の台詞回しなので分かった。
やっぱりわかりやすくて軽いのはほっとする。つかみとして良い感じの作品だし。
1つ1つの台詞がどんな状況で発せられているかがわかりやすいので、演者にとっても演じやすい台本だと思う。
設定的には「なりきり映画俳優」のバリエーション発展型といった感じ。

ライブ全体としては、脚本を書いている人がほとんど全作品違うので、統一感にやや欠ける。
「情熱の男たち」と「チキンブルース」をやってるときが楽しそうだったので、なんか、この人たち、ホントはこーゆー事やりたいのかな、と思った(この2つはリーダーの嶋村太一が書いている)。
今回のライブは、DVDが出るそうだが、「情熱大陸のテーマ」は大人の事情的に大丈夫なのかな。あれ面白かったから、入っていて欲しいんだけど。

ちょっと気になった点を言えば、最後の2つのネタでは人の死が扱われていたこと。
いや、死ぬこと自体はいいんだけど、やっぱ、人が死ぬのはたいそうなことなので、それなりの必然性と説得力が欲しいって思う。
「天文クラブ」は先生が飛び降りる動機がよく分からない。
多分、日頃のいろいろなことが少しずつ積もっていって、ほころんできて、最後の羽一枚で臨界点超えたんだろーなって思うんだけど、何でそれがその日のそのときに起こったのかっていうこと。引き金になる最後の1つが何なのかは重要だと思う。
「野間口徹と・・・」は、作り手側はやっていて楽しいと思う。野間口徹が死んでないし死ぬ予定もないことをよく知ってるから。
でも客席側、特に野間口徹をあまり知らない側はとまどってしまう。
それが明らかな嘘だと分かっていても、舞台の上で行われていることは本当の出来事だ、と見なすのが、「お約束」だからだ。
何らかの形で(翼を背負い込んで頭に輪っかとか)野間口徹が舞台にいた方が良かったのではないか、と思う。そしたら安心して笑えるから。
親族代表は基本喪服だし、喪服割引があることから多分「死んじゃうネタ」にはこだわりがあるのではないかと思うが、その辺がよく見えなかった感じがする。

基本的に面白いので、あと何か1つ、友達にその面白さを一言で説明できるような何かがあればいいなと思う。
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by k_penguin | 2006-08-13 20:47 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)  

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