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小林賢太郎ソロコントライブ『ポツネン』

小林賢太郎の初のソロライブに行ってきた(前から1桁台の列の席をオクで安く落とせたし)。
ちなみに、前から俺は彼にダメ出しばっかりしている。
だいたい、チラシがこれだ。コントのチラシではない。綺麗すぎる。美術さんは彼を止めなかったのか?!と思ったら、コバケン本人が美術だった。
で、「SOLO CONTE LIVE」と言い切っている。
つまり、こういう綺麗なコントが成立する、と彼は言いたいのだ。
しかし、おあいにくだが、俺は彼がコントを作っているとは思っていない。
彼は「たまたまコントに見えることが多いもの」を作っているだけだ。「現代片桐概論」からずっとそうだ。
しかし、コントだと思いさえしなければ、つまり、「さー、腹がよじれるほど笑ってすっきりするぞお。」などと思いさえしなければ、十分楽しめるものを彼は作る。
何も考えずに、ただ、見て受けとめることだ。



で、何も考えずに見た結果を一言で言えば、すごく良い舞台だと思うってこと。
特に最初のジョンの話と、お好み焼きの話が良かった。
ジョンの方は開始後5分でジョンの正体に気づいたが、逆にそれで舞台に引き込まれた。
ただ、オチ的には、ジョンに食べられてしまうべきなんじゃないかって思う。
お好み焼きの方は、「絵かき歌」(『鯨』)の延長に位置づけても良い作品で、出るべくして出たテーマ。俺はこれを期待してチケットを買ったといっても過言ではない。
見終わった後結晶のような悲しさが残る作品。
全体的に『鯨』を思わせるほどの美しい舞台だった。まさしくチラシ通りだ。


なら問題ないはずだが、周りを見回せば、そうも言っていられない。
眠ってる奴が1人、2人・・・。
前の列の女の子は「アナグラムの穴」前半戦で眠り込んでいた。また、舞台が終わった後、ロビーで「動いてくれないと眠っちゃう。」と言っていた女の子がいたので、ネックは一連の「テーブルコント」だろう。
俺自身は楽しく見られたからいいのだが(「アナグラムの穴」は、前半で、絵を使って説明されると、想像力が制限されちゃうなあ、と思ってたら、後半では演技でやってくれたし)、しかし、いくら何でも、客が途中で寝るコントって。
客が悪い、というのは簡単だ(また、そう言っても全くの嘘ではない)。
でもそれは作り手が言って良い言葉じゃない。
やっぱり俺は、あれはコントではないと思うのだ。
見た後にすっきり何も残らないのが、コントだ。お客さんに笑っていただいて、何もかも忘れさせて、明日の仕事に備えてぐっすり眠っていただくために、コントは見た後に何かを残してはいけないのだ。
見た後に、悲しみの結晶が胸を刺す様なものはコントではない。

なんでこーゆう作品になっちゃうかっていうと、俺は、ジョンのせいだと思うのだ。
または、最後に出てくる黒い翼の悪魔のせい(あ、今思いついたけどジョンって悪魔かも)。
ジョンは社会じゃ認めてもらえない。
ジョンと一緒じゃ暮らしてゆけないのだ。


ダメ出しのおわび告知
ラーメンズ公式サイト
http://rahmens.net/
2006.1.1より。

しっかし、今年のトリをしめるのが「エンタ系」の記事かあ。もうブログの方向性が・・・。
あ、来年一発目の記事はNAMIKIBASHI presents officialnight 「2forms」の予定ね。
Tracked from ペンギンはブログを見ない at 2006-01-11 00:52
タイトル : 『ポツネン』その2 悪魔にダメ出し
実は、俺は『ポツネン』とNAMIKIBASHIのライブに共通した印象を持った。 総合すれば出来は素晴らしいと思うのだが、ただ、シメが悪いのだ。 完全に引き込まれて、前のめりになっていたのに、最期の一瞬で急ブレーキがかかってしまう。 引いてしまうのだ。 『ポツネン』でいえば、最後の知恵の板を使って黒い翼を作り、悪魔になったときで、『2forms』でいえば、「木綿のハンカチーフ」をラストに選曲したことだ。 ラストが悪い、というのは、最初や真ん中が悪いことよりも、大量の減点対象となる。 下手...... more
Tracked from nyancosmo NE.. at 2006-02-03 19:25
タイトル : 小林賢太郎ポツネン「○ maru」追加チケット発売
KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN「○ maru」 【東京公演】  日程;2006年3月14日(火)〜21日(火)  開演;(平日)19:00(土)14:00/19:00(日・祝)14:00  会場;東京グローブ座 追加チケット発売;2月6日(月)AM10:00〜    前売発売所;ローソンチケット/楽天チケット       Lコード;36508 詳しくは上記のサイトで サーチ・ボックスを「演劇・ミュージカル」を選択...... more
Commented by やま at 2010-04-27 22:30 x
ラーメンズ関連のフライヤーはgood design companyというデザイン事務所がしています
フライヤーのデザイン案はgood design companyで考えているので小林さんからの指示は一切ないです
代表の水野学さんはラーメンズのフライヤーはラーメンズファンがファンであることに誇りをもてるようなものに、と制作されているようです。(多くのファンの心理をとらえたいいコンセプトだと思います)
私はデザイナーで、水野さんが好きなのでつい長々と書いてしまいました。
昔の記事なのにすいません。失礼します。
Commented by k_penguin at 2010-04-28 01:20
やまさん、コメントありがとうございます。
good design companyが以前からフライヤーデザインを手がけているのは知っています。
水野さんと小林さんは昔からのお友達であるようですね。
当初はワタシも、フライヤーと小林さんを一応切り離して考えていました。

しかしほとんどのフライヤーが、公演前には公開されず、公演と同時に公開されています。
これは宣伝というフライヤー本来の機能からすればおかしなことです。
(実は「ポツネン」は事前にフライヤーが公開されている珍しい例なのですが)
また、あくまでもワタシの印象ですが、
ラーメンズやライブポツネンのフライヤーは、通常の「一見して分かることを目指す」デザインにしては、過剰に意味が込められすぎているし、
また、込められているイメージが私的に過ぎます。

フライヤーは公演のご紹介という機能よりも、公演内容の一部ととらえていいと
今では考えています。

小林さんからの指示の有無とは関わりなく、
フライヤーのデザインが小林さんの意に沿わないものであるはずはないと思います。
Commented by こえ at 2010-04-29 14:36 x
はじめまして、いつも読ませてもらってます。

「デザインノート」 No30 4/1発売に
spotのフライヤーについて記事がありました。

>小林氏と水野の打ち合わせ後、小林氏から出たキーワードを元に社内コンペでたくさんのアイデアを出していく。

という点から、フライヤーと小林さんは一応つながっていると思います。

さらに記事に
>ラーメンズの公演のチケットは即日完売なので、宣伝のためのフライヤーは必要ありません。ラーメンズにとってフライヤーは、ラーメンズのファンがファンであることに誇りをもてる記念品なんです。

フライヤーは宣伝のためではなく記念品だそうなので、
「ポツネン氏の庭」時にフライヤーがクリアファイルに入っていたのも頷けるなぁと思いました。
Commented by k_penguin at 2010-04-29 23:17
こえさん、
コメント&フライヤーについての情報ありがとうございます。
「記念品」ですか。
なるほどそうであれば、「一見して分かる」ことは要求されませんね。

good design companyがデザインにどういう形でどの程度「小林」を取り入れているのかというのは、正直ちょっとワタシには分からないです。
ただなんとなく、デザイン会社にフライヤーを発注した一般的な場合と違うような、よりプライベートな作り方をしている感じがしたので
小林さんの作品の一部として扱っています。
「記念品」なら、それでいいのかな。
グッズみたいなものですよね…。
by k_penguin | 2005-12-31 22:49 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback(2) | Comments(4)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


by k_penguin