VALUを買い煽っても違法ではない、のか?
2017年 08月 31日
最近全然法律のことなんて書いてなかったら、その間に、世間はすんごく進んでいたのだった。
どのくらい進んでいたかというと、こんなわけわかめなことが起きるくらい。
YouTuberがVALUで買い煽りをして売り逃げてフルボッコされてる(←今ここ)。
…いやー、横文字多くて、もうおじさん、さっぱりだよ。
YouTubeはよく見ているけど、YouTuberの動画は見たことがない。ああいうの見るのって、小学生とか、せいぜい中学生の暇つぶしだと思っていた。
で、VALUも何それおいしいの状態なんだけど、どうも、個人を会社と見立てた場合の株式にあたるもの(VA)を売買するところ。らしい。
つまり、このほどVALUに参加して、自分のVAをたくさん発行した「有名ゆーちゅーばー」のヒカルさんは「自分株」を買い煽って値段を上げてから、手持ちの株(VA)を全部売って、何千万の単位で儲けたらしいのだ。
この行為自体は金融商品取引法違反ではない。2重の意味で。まず、買い煽りは虚偽の風説の流布でなければそれ自体は金融商品取引法違反ではないからだし、次に、そもそもVALUには金融商品取引法の適用がないからだ。VALUの決済はビットコインのみであることが関係するのだが、VALUは金融商品に当たらないように設計されている。
VALUの中の人たちはVALUのことをSNSだと言ったりするのだが、それに見られるように、VALUは、個人のプロジェクトや、芸能活動をする人のファンとの交流、活動資金集めの手段として使用されることが建前となっている。転売をして利ざやを稼ぐことは、建前ではない。
しかし、そんなことを言えば、株式だって本来は会社活動の資金集めの手段として構成された技術だったのだ。でも、株を売ったり買ったりして儲ける方が手っ取り早く儲かるもので、みんなそっちに飛びついてしまったわけだ。VALUだってみんなが興味を持つのはそっちの機能だ。利ざやの方が魅力的なのだ。
VALU自体も、VAの譲渡自体を禁止しているわけではない。VAの持ち合いみたいな株の価値操作に当たる行為を規約で制限しているにとどまる。建前を貫くとVALUの魅力はなくなり、VALU自体広まらないだろう。
VALUのサービス開始から数ヶ月、サービスを盛り上げるために、有力ゆーちゅーばーさん達にも参加してもらった矢先に、当のゆーちゅーばーさんが買い煽って売り逃げという、建前に反し、かつ物欲に忠実な行為をやらかした。
この事件が起きてから,VALU関係の人がよく言うのはこの行為は「違法行為ではない」と言うことだ。でもそれは主に金融商品取引法の適用がないと言うことだ。金商法の適用の回避についてはVALUは細心の注意を払っている。しかし,それ以外の法律の適用性についてはまるで考えていない。たとえば,仮想通貨(ビットコイン)は「金銭」や「通貨」「債権」ではなくても、刑法の財産上の利益と言うことはできるから,刑法の適用(二項詐欺)は考えられる。「俺,すごいことやるぜ!」って言ってVAの値段上げたところで全部売り,それでいて,何の企画も出さないのでは詐欺って言われて仕方あるまい。
つか、法適用以前に、シンプルに、大損した誰かに刺されても不思議ではない事案だ。おかげでVALUの名は一気に広まったが、VALU自身は火消しに必死となった。規約違反を問われたゆーちゅーばーさんはネットで炎上,すぐに売った額での買い戻しを迫られ、後始末に追われるようになった。
ゆーちゅーばーさんに詐欺が成立するかどうかは,その故意の有無でほぼ決まる情勢だ。最初はゆーちゅーばーさんが荒稼ぎしたかったのかな、と思った。ゆーちゅーばーさんは、たかが数千万のためにこんなことしないとイキっていたが、もちろんそんな言葉を本気にとる人はいない。
しかし、これだけのことをやるなら、やった後すぐに逃げるとか、他人のせいにするとかの言い訳を用意しておくのが普通だ。それすらしていないというのは、自分のやったことがどういうことなのかわかっていないと言うことだ。
件のゆーちゅーばーさんのVALUでのアクティビティを読む限りでは、「自分の本当のファン」だけを選別したかったらしい。あーゆーことして、お金目当ての人をはじいて、残ったのが自分に付いてきてくれる本物のファンだと考えたらしい。
まあ、VALUの建前に沿う考えだが、二十歳超えた大人が本気で考えることとして、にわかに信じがたい。彼はバカなのだろうか。
YouTubeを俺よりも知っている友人に、あのゆーちゅーばーは馬鹿なのかと聞くと、そうだとの返事だった。面白いことだからと誰かに言われたら、やってしまうだろうとのことだった。なお、ヒカキンはやってることは馬鹿だが、言ってることは普通だそうだ。
その一方で、ゆーちゅーばーさんが買い煽った直前に、新聞にユーチューバーを紹介する記事が載っていたのが俺はひっかかった。ユーチューバーと言えば、ヒカキンが1番有名なのは間違いない。俺が名前を知っているんだから。しかし、その記事が一番大きく取り上げていたのはヒカルだった。シンプルに考えて、提灯記事を書かせてまでヒカルの知名度を上げたかったということだ。これは本当のファンだけを募集する手段としてはおかしい。投資者募集と考えるべきだ。つまり、ゆーちゅーばーさんの周りにゆーちゅーばーさんほど純粋な心を持っていない人がいて、最初から物欲一直線で動いていたわけだ。
その辺まで考えたところで、ゆーちゅーばーさんの所属する事務所の顧問で、VAの売り逃げで儲けた人が、買い戻しを渋ったあげく逃げたという情報を見つけた。やっぱりそうなんだなって思った。
ちなみに,ヒカキンの所属する事務所は8月30日に上場した。
もし本気で逃げた顧問を見つけたければ、警察の力を借りなければいけないが、それをやると、ゆーちゅーばーさん達も無傷ではいられない。でも,せっせと買い戻しをしていると言うことは、あまり警察沙汰にしたくないんじゃないかと思う。別に顧問を守るとかそういう意図じゃなくて、なるべく大事にしたくないだけなんだろうと思うが。
そんなわけで、横文字は多いご時世になったが、人間がやることはあまり昔と変わらないなあって思ったのであった。
おまけ
仮想通貨を用いた先物取引等は金融商品取引法も商品先物取引法も資金決済法も適用がないから、良い子は気をつけよう
どのくらい進んでいたかというと、こんなわけわかめなことが起きるくらい。
YouTuberがVALUで買い煽りをして売り逃げてフルボッコされてる(←今ここ)。
…いやー、横文字多くて、もうおじさん、さっぱりだよ。
YouTubeはよく見ているけど、YouTuberの動画は見たことがない。ああいうの見るのって、小学生とか、せいぜい中学生の暇つぶしだと思っていた。
で、VALUも何それおいしいの状態なんだけど、どうも、個人を会社と見立てた場合の株式にあたるもの(VA)を売買するところ。らしい。
つまり、このほどVALUに参加して、自分のVAをたくさん発行した「有名ゆーちゅーばー」のヒカルさんは「自分株」を買い煽って値段を上げてから、手持ちの株(VA)を全部売って、何千万の単位で儲けたらしいのだ。
この行為自体は金融商品取引法違反ではない。2重の意味で。まず、買い煽りは虚偽の風説の流布でなければそれ自体は金融商品取引法違反ではないからだし、次に、そもそもVALUには金融商品取引法の適用がないからだ。VALUの決済はビットコインのみであることが関係するのだが、VALUは金融商品に当たらないように設計されている。
VALUの中の人たちはVALUのことをSNSだと言ったりするのだが、それに見られるように、VALUは、個人のプロジェクトや、芸能活動をする人のファンとの交流、活動資金集めの手段として使用されることが建前となっている。転売をして利ざやを稼ぐことは、建前ではない。
しかし、そんなことを言えば、株式だって本来は会社活動の資金集めの手段として構成された技術だったのだ。でも、株を売ったり買ったりして儲ける方が手っ取り早く儲かるもので、みんなそっちに飛びついてしまったわけだ。VALUだってみんなが興味を持つのはそっちの機能だ。利ざやの方が魅力的なのだ。
VALU自体も、VAの譲渡自体を禁止しているわけではない。VAの持ち合いみたいな株の価値操作に当たる行為を規約で制限しているにとどまる。建前を貫くとVALUの魅力はなくなり、VALU自体広まらないだろう。
VALUのサービス開始から数ヶ月、サービスを盛り上げるために、有力ゆーちゅーばーさん達にも参加してもらった矢先に、当のゆーちゅーばーさんが買い煽って売り逃げという、建前に反し、かつ物欲に忠実な行為をやらかした。
この事件が起きてから,VALU関係の人がよく言うのはこの行為は「違法行為ではない」と言うことだ。でもそれは主に金融商品取引法の適用がないと言うことだ。金商法の適用の回避についてはVALUは細心の注意を払っている。しかし,それ以外の法律の適用性についてはまるで考えていない。たとえば,仮想通貨(ビットコイン)は「金銭」や「通貨」「債権」ではなくても、刑法の財産上の利益と言うことはできるから,刑法の適用(二項詐欺)は考えられる。「俺,すごいことやるぜ!」って言ってVAの値段上げたところで全部売り,それでいて,何の企画も出さないのでは詐欺って言われて仕方あるまい。
つか、法適用以前に、シンプルに、大損した誰かに刺されても不思議ではない事案だ。おかげでVALUの名は一気に広まったが、VALU自身は火消しに必死となった。規約違反を問われたゆーちゅーばーさんはネットで炎上,すぐに売った額での買い戻しを迫られ、後始末に追われるようになった。
ゆーちゅーばーさんに詐欺が成立するかどうかは,その故意の有無でほぼ決まる情勢だ。最初はゆーちゅーばーさんが荒稼ぎしたかったのかな、と思った。ゆーちゅーばーさんは、たかが数千万のためにこんなことしないとイキっていたが、もちろんそんな言葉を本気にとる人はいない。
しかし、これだけのことをやるなら、やった後すぐに逃げるとか、他人のせいにするとかの言い訳を用意しておくのが普通だ。それすらしていないというのは、自分のやったことがどういうことなのかわかっていないと言うことだ。
件のゆーちゅーばーさんのVALUでのアクティビティを読む限りでは、「自分の本当のファン」だけを選別したかったらしい。あーゆーことして、お金目当ての人をはじいて、残ったのが自分に付いてきてくれる本物のファンだと考えたらしい。
まあ、VALUの建前に沿う考えだが、二十歳超えた大人が本気で考えることとして、にわかに信じがたい。彼はバカなのだろうか。
YouTubeを俺よりも知っている友人に、あのゆーちゅーばーは馬鹿なのかと聞くと、そうだとの返事だった。面白いことだからと誰かに言われたら、やってしまうだろうとのことだった。なお、ヒカキンはやってることは馬鹿だが、言ってることは普通だそうだ。
その一方で、ゆーちゅーばーさんが買い煽った直前に、新聞にユーチューバーを紹介する記事が載っていたのが俺はひっかかった。ユーチューバーと言えば、ヒカキンが1番有名なのは間違いない。俺が名前を知っているんだから。しかし、その記事が一番大きく取り上げていたのはヒカルだった。シンプルに考えて、提灯記事を書かせてまでヒカルの知名度を上げたかったということだ。これは本当のファンだけを募集する手段としてはおかしい。投資者募集と考えるべきだ。つまり、ゆーちゅーばーさんの周りにゆーちゅーばーさんほど純粋な心を持っていない人がいて、最初から物欲一直線で動いていたわけだ。
その辺まで考えたところで、ゆーちゅーばーさんの所属する事務所の顧問で、VAの売り逃げで儲けた人が、買い戻しを渋ったあげく逃げたという情報を見つけた。やっぱりそうなんだなって思った。
ちなみに,ヒカキンの所属する事務所は8月30日に上場した。
もし本気で逃げた顧問を見つけたければ、警察の力を借りなければいけないが、それをやると、ゆーちゅーばーさん達も無傷ではいられない。でも,せっせと買い戻しをしていると言うことは、あまり警察沙汰にしたくないんじゃないかと思う。別に顧問を守るとかそういう意図じゃなくて、なるべく大事にしたくないだけなんだろうと思うが。
そんなわけで、横文字は多いご時世になったが、人間がやることはあまり昔と変わらないなあって思ったのであった。
おまけ
仮想通貨を用いた先物取引等は金融商品取引法も商品先物取引法も資金決済法も適用がないから、良い子は気をつけよう
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agni88
at 2017-09-10 11:06
x
お久しぶりです。
僕は法には詳しくないのでこういう話にふーんと思うのと同時にバカだなと思うんです。多くのYouTuberのしていることは本当につまらなく、テレビのつまらないバラエティー以下です。なぜそれで稼げてしまっているのか。YouTubeに誰でも動画をアップできるシステムがいけないと思います。もはやどうしようもないことですが、リテラシーのない者は参入すべきでないと思うんです。
誰でも動画をあげられるこの情報社会はどうあるべきなんでしょうか。
後、横文字が多いのは別段最近の事ではないと思いますよ。
僕は法には詳しくないのでこういう話にふーんと思うのと同時にバカだなと思うんです。多くのYouTuberのしていることは本当につまらなく、テレビのつまらないバラエティー以下です。なぜそれで稼げてしまっているのか。YouTubeに誰でも動画をアップできるシステムがいけないと思います。もはやどうしようもないことですが、リテラシーのない者は参入すべきでないと思うんです。
誰でも動画をあげられるこの情報社会はどうあるべきなんでしょうか。
後、横文字が多いのは別段最近の事ではないと思いますよ。
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k_penguin at 2017-09-10 23:50
agni88さん、我ながら読みにくいと思う記事にコメントありがとうございます。
横文字が多いのは別段最近の事ではないというのにはウケました。
高校生のagni88さんと、50のおっさんとでは、「昔」と認識している時代が違うんでしょうね。
(ちなみに私は漠然とバブル期くらいを昔と認識して、あの文を書いた気がします)
YouTuberの動画がつまらないということを一番知っているのが、当のYouTuberです。
ヒカルさんだってつまらないと分かってやっていることと思います。
今はまだ物珍しいから、多くのアクセスを稼いでいますが、
YouTuberとしてどれだけの人が、YouTubeだけで食っていけるようになるかはまだまだ見えない状態です。
そのうち自然淘汰されると思います。
テレビ局を通さないでも、大勢の人に動画を見てもらえるかもしれない環境ができたということ自体は、面白いし、いろんな可能性を持っていることだと思います。
横文字が多いのは別段最近の事ではないというのにはウケました。
高校生のagni88さんと、50のおっさんとでは、「昔」と認識している時代が違うんでしょうね。
(ちなみに私は漠然とバブル期くらいを昔と認識して、あの文を書いた気がします)
YouTuberの動画がつまらないということを一番知っているのが、当のYouTuberです。
ヒカルさんだってつまらないと分かってやっていることと思います。
今はまだ物珍しいから、多くのアクセスを稼いでいますが、
YouTuberとしてどれだけの人が、YouTubeだけで食っていけるようになるかはまだまだ見えない状態です。
そのうち自然淘汰されると思います。
テレビ局を通さないでも、大勢の人に動画を見てもらえるかもしれない環境ができたということ自体は、面白いし、いろんな可能性を持っていることだと思います。
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agni88
at 2017-09-11 05:43
x
なるほど、僕は長い過程を考えてました。(笑)(僕の想像として、横文字はYouTubeとかではなく、社会人のよく使いそうな日本語の熟語にいいかえれるはずの英語ないしは独語等です)
YouTubeの安定もしくは衰退を待つべきですね。
確かにいい環境ですね。ニコ動や他のウェブでなく大きな人が見られる媒介ができたのは。ただ、食っていけるというのがYouTubeは前者たちと違っていけないのではと思います。
YouTubeの安定もしくは衰退を待つべきですね。
確かにいい環境ですね。ニコ動や他のウェブでなく大きな人が見られる媒介ができたのは。ただ、食っていけるというのがYouTubeは前者たちと違っていけないのではと思います。
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k_penguin at 2017-09-11 17:04
なるほど。agni88さんはYouTubeのアフィリエイトが良くないと思ってらっしゃるのですね。
それだけで食って行くにはメガレベルのアクセスを必要としますが,アクセス数と広告収入が連動しているシステムは,YouTubeに限らず,まとめサイトの記事の質の低下や,フェイクニュースが跋扈する原因にもなっていて,大きな問題になっていますよね。
ほっておくわけにも行かないのは確かですが,アフィリもまた新しすぎる案件なので,これの規制の可否や方法の適否については,今はまだ,みんな必要最低限の自主規制を,それも試行錯誤中という感じですかね(そういえば小林さんもつべの規制に誤射されてましたね)。
いろいろめんどくさい世の中です。
それだけで食って行くにはメガレベルのアクセスを必要としますが,アクセス数と広告収入が連動しているシステムは,YouTubeに限らず,まとめサイトの記事の質の低下や,フェイクニュースが跋扈する原因にもなっていて,大きな問題になっていますよね。
ほっておくわけにも行かないのは確かですが,アフィリもまた新しすぎる案件なので,これの規制の可否や方法の適否については,今はまだ,みんな必要最低限の自主規制を,それも試行錯誤中という感じですかね(そういえば小林さんもつべの規制に誤射されてましたね)。
いろいろめんどくさい世の中です。
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agni88
at 2017-09-11 20:53
x
「アフェリエイト」。ふむふむ。おもしろい言葉ですね。勉強になりました。規制されることを願って止まないです
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k_penguin at 2017-09-12 00:45
アフィリエイトの法による規制は、規制の仕方にもよりますが、表現の自由規制にあたる可能性が高いので、なかなか難しいと思います。いろんな意味で。
でも、面白い案件ですね。機会があったら考えてみたいと思います。
でも、面白い案件ですね。機会があったら考えてみたいと思います。
by k_penguin
| 2017-08-31 16:06
| ニュース・評論
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