KAJALLA#1『大人たるもの』

カジャラ、と読むらしい。
この記事を書くにあたって、ちょっとだけネット検索をしてみたら、なんか知らんけど、カジャラをラーメンズの新作ととらえてる人もいるみたいで、そんなこと露程思ってなかった俺はびっくらしただよ。
ラーメンズなんてどこにも書いてないし、小林と片桐だけじゃなくて、竹井亮介と安井順平と辻本耕志も出るわけだしね。

俺的に気になっていたのは、小林と片桐の共演じゃなくて、「高校生以下のお客様を対象としたチケット」(公式HP)である学割チケットがあることだ。この作品は、高校生以下のお客様を意識したものなのだ。
ということは、タイトルからして、これから大人になろうとする人へのメッセージが含まれていると思って良いんじゃなかろーか。と、俺は思ったわけだ。
そういえば、今年は2016年で、2000年に生まれた人は16歳になり、その多くが高校に入った年なのだ。そうか、もうそんな経ったかしみじみ。
しかし、それはおいといても、小林さん自身があんまり大人とも思えないので、大人になろうとする人へのメッセージなんて、果たして上手くいくんだろうか。いやそれ以前に、ちゃんと面白いんだろうか?

ともあれ、仕事の後に、ポケモンがたくさん出そうな外観のグローブ座に向かった。客の構成は、いつもの小林さんソロの舞台よりも男性率が高いように感じた。
チケットをもぎるときに、劇場スタッフから撮影、録音の禁止を伝えられた。さらに、場内アナウンスで撮影・録音の禁止、携帯電話の電源オフが伝えられ、ご丁寧に開演5分前に舞台に黒子が出てきて、マイムと場内アナウンスで、携帯電話の電源オフを指示し(黒子の中の人は小林さんでは無いようだった)、さらに劇場スタッフがさざ波のように携帯の電源を切るよう呼びかけた。
俺は小林さんのこの手のしつこさが嫌いだったのでうんざりしたが、携帯の電源OFFは確認した。確かに上演中に携帯を振動させてしまうのは大人的では無い。

内容は、GOLDEN BALL LIVE+ラーメンズ÷2という感じで、ひらたく言って、面白かった。久々に小林さんの舞台でよく笑った。
全員が基本的にスーツ姿で、ほとんど着替えをしなかったから、場面転換が早い。さらに、場面転換の間も照明を落とさずに、全員が計算された動きで場面転換を行う。
連続医者コントがしんどかったが(医者コントは、医者がイカレているか、患者がイカレているかの2パターンしかないから)、後は面白かった。
片桐は天然を発揮していたし、脚本も彼をよく生かしていたと思う。小林と片桐が絡むと客が無駄にきゃあきゃあ言うのが多少うっとうしかったが。

舞台は幕間も含めて流れるように進行し、メッセージ性は見事なほどに無い。
この手のショートコントが積み重なる舞台は、全体を通して語られる話があり、全体を通したテーマがあるのが普通なのだが、見事にそれが感じられず、後に何も残らない。
いや、あるはあるんだと思う。最後の第二成人式の話とか、やはり大人になろうとする人へのメッセージなんだとは思う。嘘をつかないようにとか、そういうことよく言ってるし。
でも、あの辺のメッセージは、いつも何言ってるのかわかんないし、今回も多分伝わらないんじゃないかと思う。いや俺なら第二成人式断るよ。60にもなって酒池肉林とか身体壊すじゃんよ。年寄りは健康第一なんだよ。どっちかって言えば野生の藪医者の方に興味あるよ!

口うるさく携帯を鳴らすなって言ってるんだから、この作品に力入れてることはわかるし、きれいに流れる優等生的な作品だとは思う。ただ、なんていうか、言ってることが宙に浮いてる感じ…。
 と、そこで気がついた。フライヤーの、びしっとスーツで決めた、宙に浮く男達。
   宙に浮いているオトナ。
大人になれと子供には言いながら、なぜ、何のために大人にならなければならないのか自分でもよくわからないオトナ
小林さんは、やはり、常に自分の現状を正確に作品にする人だ、ということなんだな。


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Commented by さと岡 at 2016-08-29 07:36 x
カジャラ横浜公演見てきました。
ペンギンさんの記事、今回もなるほどと読ませていただきました。

「GOLDEN BALL LIVE+ラーメンズ÷2」というのが非常にしっくりきました。わたしも小林さんの舞台で久々に沢山笑ったなあ…!という感想です。
KKPもポツネンも作品として完成しているとは思いますが、笑わせることを第一義としてはいないと思うので(そこに含まれるメッセージを自分が受け取れているかはわかりませんが)、久しぶりに笑わせに来たな!と感じました。
医者のコントは、思いついたこと全部やりたかったのかな、という印象です。長かったですよね。ちょっと疲れちゃった。
小林信者(ということばは平たすぎるかな)は第二成人式のようなコントが好きなのでしょうかね。
わたしはあまおうのコントがとても好きでした。

ラーメンズ再結成か?!という風潮にはKKTV8のとき既に自分はうんざりしてしまい、カジャラ内での小林片桐の絡みへの黄色い声には辟易としてしましました。小林片桐が並んで舞台上でワイワイしているのを見るのはわたし自身もとても楽しいのですがね。
「コントマンシップに則り、上質なコントを」するのに対し、客席はどうあったらよいのでしょうね。
Commented by arancio at 2016-08-29 20:17 x
今頃になってしまいましたが、お邪魔します。

KKTV8、KAJALLAの流れで「私がホンモノの?一番の?片桐使いです」みたいなことかと思いました。確かに楽しかったけど、最近のドラマ「99.9」なんて、すごく洗練された片桐使いだったので、なんかもやもや。

ラーメンズで出来ることを役割分担してる印象があり、時間が経てば経つほど、ラーメンズは観られないのかなあという気分になっています。「TOWER」のラストで片桐さんが音楽を止めてしまったのも、「やめさせないと」でツルちゃんが言ってた「俺たちこれから変わるんだ」の答えもKAJALLAなのかと。2人っていうのは、気力体力ともに大変で、年齢的なこととかも考えた継続の形と見るのが幸せなんでしょうか。他の役者さんのプラス・アルファもあるし。

7年という歳月のせいか、ラーメンズの新作が観られないとしても、それほど悲しんでない自分がいて、それもとても悲しいです。


Commented by k_penguin at 2016-08-29 21:25
>さと岡さん
面白かったですよね、カジャラ。
あまおうのコントは、シティボーイズっぽいなって思いました。
第二成人式は人気があるのでしょうか。私はまるでぴんとこなかったですが、それは私がけちくさくて、日頃から節水や食べ物の買いすぎに気を遣っているせいもあると思います。

ラーメンズについては、ほんとに何も考えずに見ていたので、
保険屋コントでお茶彦が登場したとたんに、「おれ、お茶彦、気に入った~!」と叫ぶ小林さんに、初対面の男性にそんなこと大声で言うなんて…、とびっくりしましたが、客が大受けするのを見て、やっと気がつきました。
それで、小林さんが自分を「片桐大好きキャラ」として位置づけたシナリオにしていることに気がつきましたが、それは、その方が客に受けるから、というだけの理由のように思いました。おかげで、小林さんが嬉しそうにやっていても、それも演技のうちなのでは、と疑ってしまいました。
ただ、小林さんと片桐さんの関係性については、作品から何も読み取れなかったので、本当に演技なのかもわかりませんでした。
勝手に考えすぎて自分で楽しさを半減するのもつまらないので、そのことについては、それ以上考えませんでした。

ラーメンズ再結成については、それを明確に否定せずにしておいて、客の食いつきをよくしようという意図はあると思います。
Commented by k_penguin at 2016-08-29 21:56
>arancioさん
>ラーメンズで出来ることを役割分担してる印象。
 そうですね。KKTV8の桶屋のような作り方が基本なのだと思います。
2人きりの、人間関係ぎちぎちなやつじゃなくって、適度に第三者が入って、でも、「あいつ、片桐に甘いからなー」というキャラで通用する緩い集団の方が今は作りやすいということなのでしょう。
(経験から言って、四十越えると、精神的に弱くなるし、めんどくさいのが先に立つと思う…)

でも、そうすると、深読み部の楽しみは無くなるんですよね。
しかも、自分の心の状態を詩的に作品化することが小林さんの作品の唯一の作り方で、メッセージを投げかけるのは苦手ですから、テーマ性っていうのはどうしても薄くなる。
面白いけど、それだけでプラスαがない。山小屋コントみたいに、「すごいけど、だから何?」って感じになる。

今回の作品は、絶対失敗したくなかった、かっこいいとこ見せたかった、という気持ちだけは作品から読みとれるし、それは、「高校生以下のお客様」を意識してのものなんじゃないかな、そういえば、子供がいるとしたら、今いくつくらいなのかな、程度のことは漠然と考えられるのですが、それだけでは記事のネタにはならないので、ここに書いとくだけにしようっと。
Commented by なの at 2016-08-30 11:21 x
カジャラ、結構好評みたいですね〜!
みたかったです、、
場転の美しさって結構全体の出来を左右したりしますよね。
今回は観に行けなかったけれど、わかります。
内容は観ないとわからないものですが、褒められているのをみると本当に今回の公演は良かったのだなぁというのが伝わりました。
ぜひ次の小林作品は私も観に行って、感想を照らし合わせたいなぁと思いました(笑)
Commented by k_penguin at 2016-08-30 23:58
>なのさん
勉強お疲れさまです。
カジャラは面白くてかっこよかったです。が、それだけの作品でした。
だから、手放しで誉めるまでには至っていません。
第2弾もありそうな感じがするので、そのときは感想よろしくお願いします。
Commented by arancio at 2016-09-03 22:22 x
「高校生以下のお客様」と「かっこいいとこ見せたかった」ですごく納得しました。それってK.K.P.と同じ方向ですかねえ。

K.K.P.の「この仕掛けっこいいでしょ」みたいなのは苦手で、ロールシャッハを最後に以後の作品は観ていません。もうちょっと生の人間ドラマか、人間ばなれしたパフォーマンスが観たいアラフィフです。「若者向けのメッセージ」も若くないので興味ないし。

山小屋のコントは、凄そうに見えるけど、セリフつき振付と思えば特に歓心するような動きはないし、きれいだけど、新鮮味はないというか予定調和感がある、というのが感想でした。TEXT「同音異義の交錯」はスリリングなんだけど、これは受け取る側の問題なんですかねえ。

KAJALLAがラーメンズ方向なら2人じゃなくても観たいし、another K.K.P.なら観なくていいって難しいところにいきつきました。チケット取れれば行っちゃうと思いますけど(笑)。

ところで、ドラマの片桐使いですが、今週は朝ドラに登場だし、グラメのエンディングで剛力彩芽ちゃんと踊ってたりで残すは大河ぐらいになってきました。


Commented by k_penguin at 2016-09-04 23:23
K.K.P.は、多分普通のお芝居で、(普通っていうのは、観客一般に向けたメッセージがあるやつのことを言ってます)そういうのは小林さんの性格上苦手なんだと私は考えています。
今回も中途半端にメッセージを発信しているようですが、まるでイミフです。
小林さんはすぐ「メッセージを発信している僕」を意識しちゃって、「そんなメッセージ言うほど立派な人じゃないくせに」とか考え出して、その意識がメッセージを不可解なものにゆがめてしまうのです。
メッセージとかテーマ性とか考えないで、「かっこいいとこ見せたい」とかの方が、すっきりしたものができると思います。

で、かっこいいとこ見せたいのだったら、片桐さんは必要です。使わざるをえない。
KKTV8もKAJALLAも、片桐さんとは何の因縁も無かったことにして楽しくやっていく、というスタンスで臨んだようです。
2人だけの舞台だったらそれでは済まないところですが、他の友達達も居る舞台ですから、それでもいけるかもしれません。

でも、ワタシは、片桐さんとがっちり共演する以上、片桐さんとの今まで生じてきた因縁(どんな因縁かもはっきりとはわかっていないのですが)を、どうするんだ、ということが気になります。それ抜きでやられるのは、嘘をつかれている気分になります。
ただ、KAJALLAの#1でこれについて語られないのは、まあ仕方ないかなとは思います。
どうせこれをやるにあたって事前の話し合いとかされていないだろうから、語るべきことがまだ無いからです。
ラーメンズだってゴールデンボールズだってそうでした。舞台上で作品を通して語りあうだけです。

KAJALLAが今後どうなるのかはわかりませんが、ワタシが気になるのは、以上の点ですかねえ…
Commented by 五月 at 2016-09-10 23:36 x
こんばんは。豊橋公演見てきました。
とても楽しかったです。いつも小林さんの舞台はいろいろ考えることが多くて、もやもやして帰るのですが、今回はあとに残らなくてすっきりと帰ることができました。
それがいいのか悪いのかわかりませんけど。
♯2が楽しみです。
Commented by k_penguin at 2016-09-11 00:44
> 五月さん
楽しかったですよね。カジャラ。
今までの舞台見てきた人にとっては、これでよかったのかなという気も正直するのですが、
じゃあ、今までみたいなモヤるもの見せられた方が良かったのか?
というと、決してそんなことはなく、
たまにはすっきりしたい、というのが正直なところです。

これからこの調子でいくのかな?それとも、モヤり出すのかな?
と、なま暖かく見物を決め込むことにします。
by k_penguin | 2016-07-30 02:25 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(10)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


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