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小沢氏裁判の判決でなく、控訴について

小沢一郎の裁判で無罪が出たのは先月のことなんだが、忙しくて記事が書けないままだっだ。
いや、忙しいだけではない。正直書く気が起きなかったのだ。
無罪であろうとは以前から予想していた。だから最初は、「フロッピー前田は無罪にどの程度の影響を与えたのか」という観点からの記事を考えていた。
でも、なんつーか、全体的なふいんきっつーか、なんか、みんなそんなことに興味持たないんじゃないかなって気がしだした。

はっきりそう思ったのは、判決出る1週間くらい前に新宿で偶然デモに出くわしたときからだ。
小沢さんのプラガードを掲げたそのデモ隊は、俺にはまったく理解不能なことを怒鳴りながらねりあるいていた。
「小沢さんは無罪」で「起訴は不当」で「裁判を止めろ」で「検察は汚れている」のだそうだ。
いやいや。起訴がなければ無罪はとれない。裁判を止めても無罪はとれない。そして、小沢さんを起訴したのは検察審査会の決定であって、検察は起訴できないと判断したのだ。
この、ツッコミどころ満載の行進は「ネットで集まった人たち」であって「政治的な団体ではない」そうだ。
すげーそこんとこ自慢してたが、つまり、ネットって、理論すら一貫している必要がないんだなってことがよくわかった。
判決が出たときも、ネットではもう工作員vs工作員って感じで、パンピーは引いてる感じだし、その工作員も最近は尖閣買うことの方に興味ありそうだし。
で、一般人も、証拠が足りてないだけの無罪だと言うことはみんな把握しているし。
なら別に、俺があれこれ書いても誰も興味持たないんじゃないかなあ。

グチっぽくなったが、そんなわけで、判決に関しては特に何も書かないことにした。

判決については書かないが、控訴についてはちょっと書く。
これについては個人的に興味があるので、誰も読まなくても書く。

指定弁護士(検察官役弁護士)の控訴は検察官の控訴と基本的に違う。
つか、違わざるを得ない。
検察官の控訴は、検察官だけが決めるのではなく、持ち帰って組織で決める。
有罪の見通しと、裁判が長引くことのデメリット、あと面子とか、それから面子とか…まあ、俺にはよくわからん組織の諸々だ。
控訴した結果は検察組織全部の評価に繋がるわけだから、組織で決定するのだ。
しかし、指定弁護士は組織に所属していないのだから持ち帰っても指示を仰ぐ先が居ない。
趣旨からすれば、控訴のためにまた検察審査会を集めるのが筋なんだろうが、そーゆー規定はないから自分達だけで決めなくてはならない。
(指定弁護士の控訴に関しては、具体的根拠規定すらない。指定弁護士は検察官と同一の権限を有するから検察官ができる控訴も出来るんじゃねーの、という感じで運用されている。)
なのに、控訴審でまた無罪でも出ようもんなら、きっと検察がなじられちゃうのだ。
まあ、検察も無理な賭をやって負けたのだから、多少なじられても仕方がないといえば仕方がないのだが、起訴したくないと言ったのに、起訴されて無罪出されてさらに控訴審で無罪となったらずいぶんな踏んだり蹴ったりだ。

そんなわけで、指定弁護士がどういう点を気にして控訴を決定するのかに興味があった。
朝日新聞によれば判決前に決めていた控訴の基準というのが
①起訴を決めた検察審査会の手続が無効とされた場合は控訴する。②政治資金収支報告書の虚偽記載があったと認められずに無罪の場合も控訴する。③虚偽記載は認められたが、小沢氏と元秘書との共謀が認められない無罪の場合は控訴断念を検討する。
だそうだ。
検察審査会の意思を尊重することを重視しつつ、証明の難しさとのバランスを図った線引きになっている。
で、判決は小沢氏の共謀の故意を証拠不十分として無罪としたわけだが、
こうみると、③に近いよね。
指定弁護士側が明確に争点としていなかったところを認定されたというのは悔しかろうが、法廷で小沢さんにいくら質問したとしても、彼の言葉はまったく信用されていないから、この点にらちがあくとは思えない。
控訴しないのが妥当なんじゃないかな、と思う。

控訴か否かの決定は9日に出る。


追記 9日
控訴することにしたそうで、意外だった。
指定弁護士は有罪がとれる見込みがあると見たそうだが
共謀の客観面まで成立を認めておきながら主観面で罪の成立を否定するという、
いわばイレギュラーな解決方法をとった裁判所の判断をどうとらえたのだろうか。
気になるなあ。

追記 14日
裁判所認定事実からなら、
虚偽記載の共謀共同正犯は無理でも幇助犯は可能という見解を聞いたのでメモ。
その発想はなかったわ~。
 でも、幇助犯で指定弁護士は満足できるのかな?
by k_penguin | 2012-05-05 03:03 | ニュース・評論 | Trackback | Comments(0)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


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