「ぬぐ絵画 -日本のヌード 1880-1945」 展

裸で公園を歩くとお巡りさんに捕まっちゃうのに、どうして裸の彫刻はいいんだろう?

そんな疑問を感じたことがある方、例えば俺、なんかにはお勧めの、東京国立近代美術館、渾身の企画
はだかの人物を美術作品として描き表し、それを公の場で鑑賞するという風習は、実はフランス、イタリア経由の「異文化」として、明治の半ば、日本に入って来たものでした。以後、これが昭和初頭に定着するまで、はだかと絵画をめぐって、描く人(画家)、見る人(鑑賞者)、取り締まる人(警察)の間に多くの葛藤が生じることになりました。(紹介文から)

と、いうわけで、裸をどう受け止めるか、についてのいろんな考え方が示されている。
客のおっさん率が高い。
21世紀は裸を見るために美術館に来る人が居る時代じゃないと思ってたんだが、そうでもないのか?

所蔵作品展も含め、そうそうたるメンバーの裸婦像がそろっているが、絵画だけでなく、それが展示されたときの新聞記事や、雑誌に掲載された画家の本音っぽい言葉もとても興味深い。
「裸は芸術だもん!やらしー眼でみないで!」という思想を定着させようとした黒田清輝のがんばり、そしてそのがんばりを一蹴する「いや、裸は裸じゃんw」という一般大衆の常識感覚。
確かに人間の肉体は描くのに技術が必要であり、裸を極めることは芸術を極めることの1つのあり方ではあった。
しかし、だからといって「やらしくない」かというと、それは別の話だ。黒田清輝が導入した考えは西洋の「イデア」的な考えに似ていて、日本には最初から馴染みにくいところはあったのだろう。
画家の側でもすぐに裸の「エロス」の表現に興味を持ち出す。だって裸だもん。
その後も、立体としても裸や、お仕事としての裸婦像(この説明があると、安井曽太郎の画は断然面白くなる)、そして、命が消えた裸(熊谷守一がこんな画を描いていたとは知らなかった。この絵が目当ての人も結構いると見たが)。
いろんな裸、そして裸の見方が提示される。

絵の見方があらかじめ設定されているので、見るのがとても楽。
美術館はプロ又はプロを目指す人が勉強する場という概念を捨てて、「絵を見る」ということに焦点をあてた点が面白かった。企画の勝利。
所蔵作品展も併せると結構量があってしんどいが、所蔵作品にも大物がごろごろ居るので見といた方が良いと思う。
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by k_penguin | 2011-12-18 23:00 | エンタ系 | Trackback | Comments(6)
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Commented by みさと at 2012-01-02 10:28 x
はじめまして。
いつも楽しく拝見させていただいてます。

ラーメンズ経由でこのブログを知りましたが、こういった様々な面白い企画・商品を知ることができるのもこのブログの大きな魅力だと思います。

アリス・イン・ナイトメアやアリス・マッドネス・リターンズの画集も、ここで紹介されていて興味をもちました。

面白い記事がたくさんあって、それについて調べるのも楽しみのひとつとなっています。

裸は裸ですが、同性が見ても絵画としても裸としても魅力的だと思います(笑)

Commented by k_penguin at 2012-01-03 16:36
みさとさん、コメントありがとうございます。

この展覧会は、「裸婦像」という
ただ並べられただけでは興味を持つことはなかったであろうテーマを
企画力で面白い物にしたところがすばらしいと思い、紹介させて頂きました。

ワタシはアニメやゲームに詳しいわけではなく、
好みも主流から外れているっぽいのですが、
気に入ったものは今後もぽつぽつと紹介していきたいと思いますので
今年も当ブログをよろしくです。
Commented by K☆SAKABE at 2012-01-19 17:04 x
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

「うるう」は2月の大阪なので、あちらには後日お邪魔させていただきます。

高校生の時美術教師が
「裸婦には意味なんかないんだよね云々・・・」
と言っていたのを思い出しました。
その教師いわく、芸術(裸の絵)を興味本位で語ってはいけないなんてのはナンセンスなのだそうで
それが画家だろうが中学生だろうが男である以上、裸の見方は変わらない。黒田清輝も永井豪も一緒だと言われ当事の高校生は大喜びしたものです。

なんか正面から興味本位な展覧会のようで、それはそれで面白いですね。
Commented by k_penguin at 2012-01-19 21:47
SAKABEさん、今年もよろしくお願いします。
逃したとおっしゃっていたKKTV3の再放送は見られたんでしょうか。

いろいろお勉強になった展覧会でした。
「裸はエロい」に正面から向き合った良い企画だったと思います。

以前偶然見た放送大学で、
公演などの公共の場に裸の彫刻を置くことの妥当性について問題提起した先生がいて、
「公園で遊んでいる子供が、彫刻をじろじろ見ていると母親が"そっち見ちゃいけません!"と言う。
芸術に親しむために税金を使って設置した彫刻が"そっち見ちゃいけません!"では、何の意味もないから止めた方がよい。」
と、もっともな、しかし勇者な主張をしていたのを思い出しました。

うるうの方でも
ご来訪お待ちしております。
Commented by K☆SAKABE at 2012-01-22 02:21 x
>KKTV3の再放送
結局見られませんでした。
年末は毎年それどころじゃないので、留守録さえ忘れてました。
トホホ・・・

>"そっち見ちゃいけません!"
私もきっとそう言いますね。
洋服売り場のマネキンのスカートめくるのと、裸の彫刻を見つめる行為は親から見ればきっと一緒でしょうから。
Commented by k_penguin at 2012-01-22 08:14
KKTVは残念でしたね。まあまたそのうちやるでしょう。

考えてみりゃ公園に裸の彫刻おいてまで
「裸は芸術だ!」を主張する必要ってないわけです。
そういえば、公共の場に置かれる美術作品は多いけど、
それがどのように決められているのかっていうのは、よくわかりませんよね。
割と雑だったり、後ろ暗いジジョーがあったりするのもあるんだろうな~・・・。


法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


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