法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。
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『小林賢太郎テレビ 1・2』 (DVD)
小林賢太郎のライブポツネンでのキャラ「ポツネン氏」を主人公にした、NHK-BSの特番をソフト化したもの。
テレビ放送の時の記事はこちら。
小林賢太郎テレビ 1
小林賢太郎テレビ 2

美しくてちょっと不思議なので、ふつうのテレビに飽きてる人とか、2355など、ピタゴラスイッチ系実験映像が好きって人は、楽しめると思う。
お笑いのソフトだと思っちゃダメ。   以上。

小林賢太郎テレビ 1・2 DVD-BOX


・・・と、早々に、普通のレヴューを切り上げて、と。



最初はテレビの時点で記事書いたんだからソフトは別に良いかなって思った。
前から言ってるが、小林賢太郎の作品っていうのは、その時点での彼の心のありようを表現したもので、それ以上でもそれ以下でもない。俺はそう解釈している。
昨日の天気図が明日には役に立たなくなるように、タイムリーであることが必要だ。
放送時から既に1年以上経過している「小林賢太郎テレビ 1」(以下KKTV1と表記)とか、もう「おっくれてるー」て感じ。
現時点では『THE SPOT』が最新情報だし、それだってツアー中に東日本大震災が起こってしまった今となっては、果たして本当に「最新」なのか怪しいものなのだ。

ところがソフト化にあたりいくらか手が入っていて、KKTV2の方はコントが2つほど加えられていて、それにより「リマスター最新版」となっていた。
そこで、それにあわせて当ブログの記事の方もリマスター版を書こう、と思う。

まず、「心の空模様」の天気概況を見る。
作品の流れは、
TRIUMPH(KKP)→KKTV1→TOWER(ラーメンズ)→SPOT→KKTV2→ロールシャッハ(KKP)→DVD・THE SPOT、
と、なっているのだが、流れの大まかな道筋を言えば、
 失っていた表現のテーマが一応見つかった、らしい。と、いうことにつきる。

以前は「表現したいもの」を表現すれば良い、ということですんでいたことなのだが、ま、何らかの事情によりそれが失われて「いくら言っても分かってもらえない」という喪失感にとって変わった。
しかし、そんな状況でも表現は続けなければならない。仕事だからだ。
仕事は大切だ。
経済的な意味ばかりではなく、精神的な自己実現という意味においても、仕事は大切だ。
と、いうわけで、「お仕事」自体に表現するモチベーションを求めて、「お仕事で表現したくな~れ」という方向にもっていったのが、『TRIUMPH』じゃないかな、と。
ま、失敗してるけど。

仕事で表現と言っても「お仕事」自体はモチベーションにはならない。お仕事を頑張るには、お仕事するにふさわしいテーマを見つけなければならない。
何かみんなに誉めてもらえるようなこと、えーと、他人に思いやりを、とか?「ありがとウサギ」とか?
残念ながらそれらは社会性に欠ける小林さんの表現意欲をかきたてることができなかった。
でも、仕事である以上、何かみんなに誉めてもらえるようなことを扱う必要がある。さて、どうする。

と、この状態が『KKTV1』だ。

KKTV1においては、ポツネン氏は「腑に落ちない」物を制作して好事家に商っている。「自転車」をもつ彼は「機関車」に憧れている。
つまり仕事に不満を待っていて、より大きな評価を得ることをしたい、と考えている。
彼は、話がかみ合っていない写真屋とかみ合わないなりに友人になり、その夜、機関車はやってくる。

TV放送時には機関車が来るのは明示はされていなくて、俺はブログで
作者は機関車が来たと言いたいんだろうけど、そう解釈することはできない。
と、書いたのだが、ソフト化にあたって、機関車の到来が明示された。
そのおかげで、TV放送では、機関車が来るか来ないか、がラストの焦点だったが、ソフトの方では、機関車が来た後ポツネン氏はどうするのか、に焦点が移っている。

これは、KKTV1の放送の時点ではまだ表現のテーマ(機関車に象徴される)が決まっていなかったので、機関車の到来は明示されなかったが、ソフト化の時点ではテーマが一応決まったので、機関車もめでたく到着した、ということだ。
(放送時の内容ではわかりにくかったのでわかりやすくしただけ、という解釈は当たり前すぎるので俺は採用しない。)


『SPOT』においては求めるべきテーマについてより絞った考察がされている。
「機関車」であったものはここでは「象」であり、なぜ「象」であるのかが言葉によって説明される。
象は最後に王様の手からリンゴを飛べ、心が表現のテーマにこめられる。
…と言えば聞こえは良いけど、平たく言って「お仕事で表現したくな~れ」ってこと。


『KKTV2』で、テーマはようやく全体像が見えてくる。
「象よりでかい」バクの一種。孤独。
それは『Potsunen』のジョンを思わせるが、ジョンよりも大人しい。何より「孤独」という正体が明らかなだけ、名前のないものであるジョンよりもずっと扱いやすい。

KKTV2ではポツネン氏は「そうだけど」な物を商っている。
死ぬまで生きる薬、新潟県で作る日本地図、それらの物にかけられる「そうだけど」の言葉の後に省略される言葉は「お前の中ではな!」
自分の中だけで通用する話を孤独(鳥かご)に語りかける。その場限りの気晴らしを提供する。
そのテーマは?

テーマは「ない」と言うこと。

単に「ない」のではない。そもそもテーマがなければ作品は作れない。
『ない』と明言することがテーマなのだ。

コエンザイムQ10配合の毒薬と死ぬまで生きる薬。
「腑に落ちない」と「そうだけど」と呼び方は違っても、どちらも、「意味がない」物であることには違いはない。
テーマがない、という問題を、発想の転換をすることで彼は切り抜けようとしたのだ。
早い話が、どう考えてもテーマのありようがないと気づいたので、「ないです」と言い切ってしまうことにしたのだ。

思いを伝える人がいくなってしまった以上、テーマは「ない」。
そして孤独である以上、テーマは「ない」。
ありようがない。
孤独を慰めるその場限りの気晴らしだけ。

それが無茶苦茶なことは百も承知だ。
でも、多分テーマなんてなんだって良い。みんなどうせ気にしないだろう。
不思議できれいで面白いものさえ提示できればきっとみんなにも誉めてもらえる。
みんなに受け入れてもらえれば
それは仕事としても成立するだろう。


まあ
仕事は成立するかも知れないが、
俺としては、所詮その場限りの気晴らしでは根本の問題解決にはならないと思う。
このままでは
すべての人はいずれ彼の元を去っていくだろう。


なお、『KKTV2』に加えられていた白やぎ黒やぎ話について一言。
(この話は本編に挿入しないでボーナストラックにした方が、話の流れを切らないからいいと思うのだが)

maru○の「やぎさんの郵便」を思わせるが、KKTVでは白やぎと黒やぎは完全に同一人物。同一人物であるので、話し合いを重ねても「ループ」する。
ただ、白くま黒くまは別人であり、「わかってもらえない」者である。黒くまは白くまの話には興味が無く、新巻鮭にしか興味がないからだ。
白くまと黒くまが和解するにはパンダか灰色グマが必要、
なんだそうだ。
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by k_penguin | 2011-03-24 23:27 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)
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