『サマーウォーズ』

ツタヤに会員証の更新に行ったら、カウンターの横でめっさ宣伝されていた作品。
「心温まる家族」的なイメージの手作りのPOPや飾り付けよりも、モニターに映し出されていた電脳世界の配色とデザインのかっこよさにひかれ、
指さして「あれ観たい。」と言ったら、
更新手続きをし終わったツタヤのお姉さんがにこにこしながら棚から取ってきてレンタルの手続をしてくれた。
ええ人や・・・。

出来の良い作品だと言うことは映画公開の段階から噂で聞いていたし、CM観たときも楽しめそうな作品だとは思った。
田舎の旧家の大家族が最終的に一丸となって戦うって、ちょっとわくわくするしね。
それに加えて、キャラがアバターとしての姿で行動するネット世界のデザインのかっこよさも楽しめるのであるから、もうこれは鉄板作品。
期待して観た。
そしたら、

期待は違わなかったんだけど、期待を超えもしなかった、という感じ。

ネット世界は十分にかっこいいし、アクションは無重力感が気持ちいいし、とても満足した。
ただ、田舎の家族の描写が今ひとつ食い足りないような気がする。
どうも平板なというかテレビ的な「いろんな人がぶつかり合うが番組の終わる5分前に大団円の大家族」というイメージの範囲内で収まってしまう。
しかし、それってある意味当然で、だってこれは2時間以内に大団円にしなければならないアニメだからだ。
むしろ問題は、これが「2時間以内に大団円にしなければならないアニメ」であることを忘れさせてくれるような強烈な何かが欠けているということなんじゃないかなと。
で、その「強烈な何か」は多分90歳の誕生日を迎える栄(さかえ)おばあちゃんであろう、と。

ツタヤの手描きPOPには、この栄おばあちゃんがある意味主人公かも、というようなコメントが書かれていたし、このおばあちゃんは家長であるだけでなく作品の全体を通して精神的な支柱となる役割をする。
主人公の健二はこの出来事を通じて確実に1つ成長したが、
それは、家長であるおばあちゃんに「夏希をたのむ」と言われ、それを引き受けることを決意したことによる(決意したのは泣く夏希の手を握ったとき)。

しかし、俺はこのおばあちゃんのキャラには疑問を持った。
養子の侘助が10年ぶりに戻った来たのをみて、最初におばあちゃんは「お腹がすいていないかい?御飯をお食べ。」と言う。
田舎の名前だけの名家の女性の家長というものはそういう言い方はしない。
ただ「御飯を食べなさい」と上から命令するだけだ。
相手のお腹がすいていないとかの抗弁は一切受け付ける気はない。
だから相手に腹が減っているかなぞという愚問も発しない。そういうものだ。
どうもこのおばあちゃんは「孫に大甘」の普通のおばあちゃん要素を表に出しすぎて、それが家長のイメージを減殺するようだ(なお侘助は養子だが、実質は孫と祖母のスタンスらしい)。
昔の知り合いに電話をかけまくって発破をかける行動力のエピソードなぞは良くできていたので、こういう日常の言動で、イメージにぶれが生じてしまうのが残念だった。

従って、おばあちゃん退場後の後半の方がすんなり話に入って行けて楽しめた。


あと、自分的に面白かったのは、リアルな存在としてネットが描けていること。
ネットはリアルではないと言われるが、現実にネットは社会システムを動かしている。ネットは現実の存在である。
コミュニケーションツールとしてのネットも、現実の人間の語らいには及ばない場面もあるが、ネットとしての特質を生かしたコミュニケーションも存在する。
それはリアルに存在する。

最終戦を前に、家族が集まって食事をするとき、健二の友人で離れた地でともに戦う佐久間敬も、高校の部室でパンと牛乳の食事をとる。
そのシーンになんとなく「リアルなネットコミュニケーション」を感じた。

総合的に、良くも悪くも優等生作品、という感じかな。


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by k_penguin | 2010-03-14 22:47 | エンタ系 | Trackback | Comments(4)

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Commented by uneyama_shachyuu at 2010-03-20 14:22
ちっ!先を越されちまった(笑)。
という訳で、ワタクシも拝見しました。

命令するのが旧家…というのでもないと思いますよ。地区の違いもありますが、その家の品と人格の問題でしょう。

いわゆる良家のおばあちゃんでも、ああいう感じの人、こちらには一杯いましたよ~。だから、全く違和感なかったです。こちらは、ちょっと街中から離れると、それこそ室町からなんて旧家が結構まだまだ残っているので。
結局、品(というか見栄??)とプライドの履き違えがない旧家を結構見る機会があるものでして←ただし、外部の人間が信用されるまでのハードルの高さと多さは、半端ではない。

それよりも、「東京マグニチュード8.0」を通しで見たいです。
Commented by k_penguin at 2010-03-20 17:03
ワタシも田舎のおばあちゃんのキャラについて余り知っているわけではないので、
その辺については何ともいえません。
ただ、信玄公ゆかりの地で武家気質が強い土地であるという設定と少しなじまないような気がしました。
設定としては、基本気が強いおばあちゃんだが根は優しい、というところだと思いますが、
ワタシには「気の強さ」が余り感じられなかったんですね。

おばあちゃんと侘助の関係については、もう少し複雑な思いがあるのではないか、という気がして(侘助は私生児であり、その件について栄が何も思っていなかったとは思えない)、
優しさだけの描写では物足りなく思いました。
もうちょっと掘り下げて欲しかったと思います。


録画した「時をかける少女」まだ観てない・・・。
Commented by uneyama_shachyuu at 2010-03-20 17:30
>電脳世界の配色
真っ白なのは、グーグルがモデルだからだそうです(監督・談)
Commented by k_penguin at 2010-03-20 17:44
なるほどねー。
アクションが見やすくてうれしかったです。
作品公式HPには、誰がどのアバターなのかの対応図もあります。
アバター見ただけて誰だか見当つくものもあるけど、家族全員のアバターを見るとまた面白いです。

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