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『ガス人間第1号』

東宝特撮映画として公開された作品を後藤ひろひとが脚色・演出、そして東宝系のシアタークリエで上演。
前にシアタークリエに行ったのがこけら落としの時だったから、かなり久しぶりだ。
なにしろ
両手に紙袋を持って歩くと
猛牛による「引き裂きの刑」に遭う
そんな都市条例を持つ「有楽町」にある劇場だ!
(後藤ひろひとのブログより)

ケラとか、ラーメンズとか下北沢のごちゃごちゃした街でやるごちゃごちゃした舞台とは違うのだ!心してかかるべし!
と、ゆーわけで地下鉄有楽町の駅から地上に出ると、早速バカラとか、ロイヤルコペンハーゲンとか、あと、何か名前は読めないけどきっと超一流の店とかが軒を連ねている。
劇場内のお客さんも、普段の後藤ひろひと作品ではあまり見かけないタイプのおハイソな年配のご婦人があちこちに見られる。
後藤ひろひとどころか東宝特撮映画とも縁がないままこれまでの人生を送ってきたであろう人種だ。
そういう俺も『ガス人間第1号』の映画を観ていない人だが、こういうところで、関西のりの大王(後藤ひろひと)が作品を作るって大変そうだと思った。

俺の隣もおハイソおばさん2人組。作品については全く何にも知らないようで、チラシを眺めて「この方(後藤ひろひと)、脚色もして、自分でも出るの?あらまあw」
そして、作品自体は面白かったのに前半全く笑わず、幕間の休憩でチラシを見直して「・・・コメディタッチ、だったのね。ああ、だからね・・・」
「泣くお話なのに・・・コメディ?」
おそるべし、おハイソの壁。
作品自体は、笑いと泣きのメリハリ十分の上に、中村中の素晴らしい歌まで聴けてサービス精神十分の良いものだったのに、
周りがこんな調子なので思い切り笑えなくて、ちょっとストレス。

SFXをどう処理するのかと思っていたが、ガス人間がガスを出し、それを操る様が素晴らしい出来だった。

山里亮太(南海キャンディーズ山ちゃん)の気持ち悪さがサイコー(レッドシアターの「付き人小佐谷」みたい)。
そして水野透(リットン調査団)のスベリ具合は尋常じゃない。普通にやればウケないはずはない台詞もこの人がやると、クスリとも笑えない。
スベリ芸ですらない。最早スベリテロリスト。




一応原作映画のあらすじは「ウィキなんとか」で調べていたので、展開はわかっているつもりだったが、岡本(伊原剛史)が最後になぜ点火を止めたのかがよくわからなかった。ここだけが残念。
・・・単に2人を殺すのは忍びないと思って点火を止めたのかな、つまりそこから逃げろってことなのかな、と、最初は思った。
でもそれじゃあ浅いから、絶対藤千代が自分の手で決着をつけると知ってのことだよね。
でもガス化させといて点火っていう段取りは藤千代知らないはずなのに・・・いやこれはスルーがお約束なのかな・・・でも、藤千代が自ら決着つけるべきだと考えたのなら岡本が点火するかしないか迷う要素って無いはずだよね。
んー?

後から考えればすんなり理解できることで、
あの場で2人は死ぬしかなく、その覚悟もあったわけで、あとは誰が手を下すかの話になっていて、
岡本は刑事として自分が手を下すつもりだったけど、どうしても忍びなくて出来なくて、それで藤千代がやった。
 と言うわけだったのだ。

それがその場で理解できなかったのは、
点火の段取りが明示的に藤千代に伝えられていなかったから?
自分の「歌いたい」という願いのために多くの人が死んでいった藤千代の追いつめられた状況が今ひとつはっきりと伝わりきっていなかったから?
はたまた、客席横の扉からガス人間(高橋一生)が入場し、通路を通ってよろよろとステージに歩いてゆく感動シーンをちらとも見ない、ステージ以外の場所を見るという発想が無い、おハイソの壁のなせる技?
 もしくは、単に俺の頭が悪いのか?

そんなおハイソなシアタークリエから、少し銀座方向に歩けば、すぐに有楽町のガード下。赤提灯の飲屋街。
うーん、東京って謎だ。
Commented by パール at 2009-10-19 19:54 x
東宝特撮映画の系列が舞台化されているなんて、知りませんでした。
最近、某分冊百科のCMで見かけて、なんだか懐かしく思ったものです。
それにしても、いろんな舞台が見に行けるペンギンさんがうらやましい。
Commented by k_penguin at 2009-10-19 23:49
この作品も「某分冊百科のCM」にちょっと出ていましたね。
後藤ひろひとはマニアなので、特撮映画好きにも嬉しい仕上がりになっているようです。
特に水野久美さんを使った最後のどんでん返しとか。
(まだ公演中なので念のため伏せときますけど)

舞台が身近なのは、東京の恩恵ですねー。
Commented by パール at 2010-02-28 22:18 x
NHKの芸術劇場で先日放送されたので、
ラッキーにも見ることができました。

ガス人間になった(ならされた)理由については、
笑っちゃいましたけど、
原作どおりのライターのシーンは、やっぱり切なかったなぁ。
どんでん返しで ラストがピリッとして、
その後のカーテンコールで場が和らいだ感じに。
それに 中村中の音楽シーン と 
その他スベリのシーン等で 緩急をつけた演出だったんですね。
三谷昇がいい味出してた。
アレンジャー?てのは以外でしたけど。

カメオ出演かと思ったら、後藤ひろひとが結構出てたんですね。
動く 後藤ひろひと をはじめて見ました。
後藤ひろひとファン には失礼な話だとは思うんですが
私にとっては ローチケのメルマガに連載してる人って認識だったので。
Commented by k_penguin at 2010-02-28 22:38
芸術劇場御覧になりましたか。ワタシはまだ録画しただけです。
放映を知ったときはぶっちゃけショックでした。
多分テレビで見た方が面白いような気がするんですよ。
おハイソな客席の空気で、演出のメリハリがわかりにくくなっていたという印象だったので。

動く後藤ひろひと、私はけっこう好きです。
あの人は必ず「何か」やってくれるので、
出てくるだけで舞台がぴしっと締まる感じがします。
by k_penguin | 2009-10-17 19:20 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(4)

法律事務所勤務。現代アート、NHK教育幼児番組、お笑いが好きな50代。


by k_penguin