ナイロン100℃『世田谷カフカ』

ここ数ヶ月、舞台を観ていなかったので、とにかく何か観ようと思った。
で、ナイロン100℃のこの作品を予定に放り込んだ。
ほんとは今回のナイロンはパスするつもりで、なぜなら今回は今までの作品と違って実験的な作品だと聞いていたからだ。
ストーリーらしいものも無さそうだった。
でもまあ、いいや。何か観たいから。
期待しないで行けば、お、意外と良かったぞって展開になるかもしれないし。
とか思って俺は出かけた。
そしたら、期待に反して意外と良かった、という展開にはならなかった(自分が果たして期待したのかしなかったのか、最早自分でもよくわからない)。
がっかり、というほどではなかったが、3時間という上演時間の長さでぐったりはした。
学芸会だ、という批評があったらしいが、その気持ちもわからなくはない。
「稽古場でエチュードやディスカッションを重ね、アイデアを役者やスタッフにも出してもらう中からテキストを組み立てていった」(口上チラシより)ものだそうで、
見せることよりも、作品を作り上げる過程の方が重視されていて、その発表、という感じだった。

そーゆー、いわば掲示板のログを読むような作品というのも、別に悪くはないと思うのだが、でも、ちょっと疑問な部分もあった。
3人の俳優の「カフカ的な体験談」を元にした話と、カフカの未完の3作(『城』『審判』『失踪者』)を元にした話がいろいろ交錯するのだけど、計6つの話は俺の疲れたおつむには重荷だった。
作品を読んでないので『審判』と『失踪者』の区別がよくつかなかった。
「カフカ的な体験談」は、不条理な体験と言うことだけど、『城』『審判』『失踪者』のもつ不条理性が、社会との軋轢を感じさせる不条理だと感じた一方、3つの「カフカ的な体験談」はコミュニケーション不全がもつ不条理で、性質が違うように思った。



村岡希美が語る、義理の母親の預金を勝手に下ろしてしまうが、結局ばれないおばさんの話なぞ、俺にとっては仕事柄よく耳にする「ありがちな話」で日常の範囲を出なかった。保険金殺人しちゃったけどばれない話くらいにならないと、ちょっと「不条理」とは判定しにくい。
「カフカ的体験」といえば、このブログ的には「痴漢冤罪」をあげるとこなんだけどなあ(俺自身の体験ではないけど)、と、思っていたら、
廣川三憲が女のパンツの写真を携帯で撮ったとかいうあらぬ容疑をかけられ、携帯を奪われる展開になって、おっ、これは、とか思ったら、
携帯の写真を見たら(ブログ用の)食べ物の写真ばかりだったので、お前は彼女のパンツよりも食べ物の方が大事なのか、彼女はプライドを傷つけられて泣いているぞ、ひどいやつだ、と糾弾される、いう方向の不条理に流れていって、なんか肩すかしだった。

新谷真弓はいつもながら良い味出してる。
映像とリアルの交錯は素晴らしかった。最近のナイロンはこれを見るのが楽しみなんだけど、毎回いろんな技を繰り出してくるなあ。
水野顕子宅のビデオ映像を使った人形遊びが秀逸。
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by k_penguin | 2009-10-11 00:58 | エンタ系2(ライブレビュー) | Trackback | Comments(0)
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