『しんぼる』

松本人志の映画第2作。
前作『大日本人』は見ていて憂鬱になるので気に入らなかったが、今回はCMで見た感じが気に入ったので映画館で見ることにした。
気に入ったのは、基本的に部屋の中という限定された空間で話が進み、登場要素もシンプルである点だ。
映画製作の経験が少ない松っちゃんなら、扱う要素が少ない方がまとまりやすいだろう。白い部屋の中なら、制作費も余りかからないしね。
ストーリーは多分わけわからないだろうな、と予想していた。
シュールな白い部屋の中に閉じこめられた男と、メキシコの売れないレスラーの話がわかりやすい理屈でリンクするはずはないからだ。

そんな俺の予想をも超えるラストは衝撃的だった。
帰りの映画館のエレベーターの中、乗り合わせた客は誰1人として一言も声を発していなかった。
全員の目が点になっていた。
恐るべし、松本人志。

少々のことでは動じないつもりだった俺でも、映画が終わったときは腕を組み、
今まで自分のブログで、話が尻切れトンボであると小林賢太郎さんを批判してきて本当に悪いことをした。
 と、反省しかけたほどだった。
しかし、長いスタッフロールが終わる頃になって、やっとラストシーンの理解の仕方がわかった。確かにあれでちゃんと終わっているのだ。尻切れじゃなかった。
よかったよかった。

『大日本人』よりは好きだし、見ていて憂鬱にならないだけ良い作品だと思う。
部屋の中でずーっと1人でいる話って、動きや表情の変化がどうしても乏しくなるし、考えていることを独白でぼそぼそ表現してしまって、結果、辛気くさくなりがちだが、バラエティに富んだ方法で感情表現している。
男(公式HPによればしん坊というらしい)が部屋を出るために奮闘する辺りから感情移入もできる。
松っちゃんが頑張らねば客の興味を画面につなぎ止めておけないので、ものすごく頑張っているし。
93分という時間もほどよい長さ。
ただ、最後の方でちょっと宗教臭くなった感じがするのが気分をそいだ。

タイトル通り、記号(シンボル)で構成されているミニマムな作品なので、
映画館で大きな画面で観るより、部屋のテレビサイズで観る方が良いかなって思った。

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ラストについて。

閉じこめられた部屋から脱出しても行く手には次の部屋があるだけ。
でも最後の部屋には、地球がある。
地球がある部屋にある巨大なちんこスイッチは何のスイッチか。
地球の次だから宇宙を司るスイッチかもしれない。
でも「未来」というタイトルの部屋だから、
それは多分これからの自分を決める未知のスイッチなのだと思う。
部屋からは決して出られない。決して自由にはなれない。
自由な天使達は、人間をあざ笑い、からかうだけ。
人間は自分で知らなくてもスイッチで何かとつながっている。地球上の総てのものが何かとつながっていて、自由ではありえない。

スイッチを押すことは怖くない。

・・・だからといって、余りにあっさり男がスイッチを押すから、客が何が何だかわからないままに映画を終わりになってしまうわけで。
・・・あ、もしかしてあの巨大ちんこスイッチは、映画を観た客の目を点にさせるスイッチだったのか!
そーゆー意味ではあの巨大ちんこスイッチは映画の世界と現実を繋ぐスイッチのわけだ。

うーむ、やはり恐るべし?松本人志。
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by k_penguin | 2009-09-17 23:34 | エンタ系 | Trackback | Comments(0)
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