ラーメンズ第5回公演 『home』

制作元倒産のため、幻のビデオとしてオークションで骨董品のような高値で取引されていた作品が、ついに諸々の権利関係をクリアしたらしく、DVDで発売。
俺は脚本でしか読んでいなかったんだけど、「無類人間」と「無用途人間」は是非観たかったので、早速購入。
97年くらいの公演だろうと思っていたら、2000年1月と、意外と最近だったのは驚き。
カメラの位置があまり良くなくて、見えなきゃいけないとこが陰になって見えなくなっていたりした。
あと、片桐さんと比べて小林さんのアップが大杉。

観た後に幸せな気分になれるラーメンズって久しく無かったなあ、と、しみじみ。
現在の作品でも使われるモチーフのほとんどが既に出そろっているが、今と比べてノリが軽くて、お気楽な感じ。

「映画好きの二人」はオンバトでやって、俺は爆笑したけど、なぜか客には全然受けず、納得いかない低得点だった作品なのでちょっと思い入れがある。
今見ても、ふつーに面白いんだけどなあ。
「読書対決」や「縄跳び部」は、オンバトのDVDで見ていたが、オリジナルを見てみると、「謎の競技をやる人たち」というだけではなく、
一般に理解されないルールを共有する人たちの人間関係にも焦点を当てていることがうかがえる。
「無類人間」は面白いけど、最後、猫類と魚類の関係が逆転するところのダイナミックさがちょっとわかりにくかったのが残念。
脚本で読んだほうが面白かったかも。
「無用途人間」は脚本で読むよりも見る方が面白かった。




以下、私的メモ。

「無用途人間」
 片桐がモデルであろう。
「親切な嘘」という、嘘を正当化しようとする言い回しが使われている。
嘘の正当化は後期には見られない。

「ファン」
 既にこのころから、親しい友人同士の話はかみ合っていない。
話はかみ合わないが、同じ動作をする人たちというのはこれから後もよく出てくる。
友人というものは言葉ではないところでつながりが確認できるものだ、と考えているらしい。

「百万円」
 誰しも内面にもつ善い人と悪い人(実際は偽善者と偽悪者)をテーマにして、善悪の相対性をテーマにしている、
ようにみえる作品。
しかし、偽悪者チームが自分がもしかして善い人なのでは、と内省するのに対し、なぜか偽善者チームは自分が悪い人であるとは考えないし、また、悪い人であると指摘する第三者も現れない。
結局偽善者チームは「善い人」のままで終わる。善と悪を対比している構成なのにこれはおかしい。
考えるに、おそらく、「悪」よりも「偽善」のほうがより悪質であるという告発をものすごく言い辛い感じでやったもの。
従って「悪い人(偽悪者)」の方は作者の内面にあるが、「善い人」の方は何か外部にいるものを指している。

「漫画家と担当」
 繰り返し作品に出てくる「裏切る人」のモチーフ。
 単にこの漫画家は裏切る人であるという事実を述べたに過ぎず、裏切ることへの評価はなされていない。
 このパターンはしばらく続くが、徐々に深刻化してゆき、「採集」では裏切る人は罰を受ける。

「無類人間」
 「無用途人間」とペアになる話。小林がモデルと考えている。
人間の姿をしているが実は人間ではないもの、
のモチーフはこの後繰り返し出てくる。
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by k_penguin | 2009-03-22 18:07 | エンタ系 | Trackback | Comments(6)
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Commented by りつこ at 2010-05-08 15:46 x
初めまして。いつも深読み楽しく拝見しています。
初期のラーメンズは軽いノリでいいですよねー。私も「映画好きの2人」好きです。ああいう場面、海外(というかアメリカ?)の映画ではよくありそうで面白いです。
>嘘の正当化
newsの「英語で話そう」でも片桐さんの恋路を応援する為に小林さんが嘘ついてますね。確かに正当化が後期で見られないのは意味深です。そんなことしても仕方ないと考えているのでしょうかねえ(だからstudyを作ったとか?)
あとあまり関係ない話ですが、私も小林さんにはお子さん(息子かどうかはともかく)がいるのかなと思いました。昔ベビーグッズを意識して鼻兎グッズを作ってたようなので。ATOMやバナナマンとユニット組んでた時は家族を意識したコントを作っていたのに、今の彼には家族の影をあまり感じなくて、ちょっと心配です。余計なお世話ですが、休んで欲しいなあと思います。
Commented by りつこ at 2010-05-08 15:48 x
私は想像の余地がある作品(主に漫画やゲーム)が凄く好きで、ラーメンズがすきなのもそういう要素があって面白いからです。しかし小林さんの作る話やペンギンさんの記事・コメント欄でのやりとりを見ているうちに、その考えは少し変わりました。想像の余地があるという事は受け手に負担をかける事でもあり、それは必ずしも良い事ではないんだな、と。
Commented by りつこ at 2010-05-08 15:49 x
補足しておきます。
>鼻兎のベビーグッズ
これはクラシックのログで知りました。エンドトークで試作品(鼻兎の子供用帽子やバッグ)を持ってきていたみたいです。実際に作られたのは指人形なんですが、こういうのは大人より子どもが使って遊ぶものだよなーと思いました(それか大人が子どもと一緒に、とか)。指人形で検索するとDズニーとかアンパン男とか特撮系のものがヒットするし。小林さんは自分に必要ない物は作らなさそうだなと。…根拠としては薄いですね(^-^;
この手のログは100%真実ではないけど全くの嘘でもないし、その場の雰囲気が伝わってきて好きです。でも小林さんはそういう所(自分の表現したい事が正確に伝わらない)が嫌なのかな? と例の名物エントリを見て思ったり。
最後に、これからもペンギンさんの記事を楽しみにしています。
Commented by りつこ at 2010-05-08 15:58 x
上の記事の訂正
× 自分に必要ない物は作らなさそう
○ 自分に必要ない物は欲しがらなさそう
です(あまり意味は変わらないかもですが)。
上のコメント送信した後で思いましたが(遅)指人形の用途ってあまり思いつかないんですよね。幼稚園なんかでも使ったりするのかな?
長々と失礼しました。
Commented by k_penguin at 2010-05-08 23:36
りつこさん初めまして。コメントありがとうございます。
「映画好きの2人」はオタクバカ2人大はしゃぎって感じが好きです。
何でオンバトで受けなかったのかなあ。
「下宿で友人とビデオ観てる」って設定にテレビ的なわかりやすさがなかったせいかなあ…。

>嘘の正当化
後期としては、GOLDEN BALLS LIVE「大人になって分かったこと」に「自覚がない場合は騙されたことにならない」という、いじけたコメントがみられるくらいです。
むしろ「嘘ついててごめんなさい」的な話が多いですね。

家族についてはTAKEOFFで割とがんばって取り扱ってから後、ほとんど見られませんが、
これについてはトライアンフのコメント欄に何気なく深読みを走り書きしました。
Commented by k_penguin at 2010-05-08 23:36
>想像の余地があるという事
 最近、同じく「想像の余地がある作品」を良く作るバカリズムをいくつか見たのですが、
やはりラーメンズとは違うなと思いました。

そしてラーメンズの良さは「自分で想像すること」にあるわけではなく、
「積極的に想像したい気分にさせられるところ」にあるのかもしれない。
と、思いました。
ラーメンズ初期のようなうきうきした感じであれば、想像したい気分になれますが、
後期のように鬱が入ってくると、想像すると同時に鬱も伝染してしまってヤな感じになってしまうのかな、と思います。
小林さんにはもう少し受け手側の負担も考えて欲しいと思います。


>鼻兎ベビーグッズ

 ・・・えー(´д`) かわいくなさそう・・・。
ニニコならいいかも・・・。